上 下
100 / 135
4th フェーズ 奪

No.100 決着に向けて備えよ

しおりを挟む

「私達を鍛えるって?」
「2人共最後までやりきるんだろ?そういう約束をしたよね、ユキチカを頼むってね」

 ユキチカ以上の巨躯であるストレングスは2人の顔がよくみえるように姿勢を低くした。

「これからウルティメイトと戦いになる、その勝率をあげるためにあんたらを鍛えるんだ」
 ストレングスはジーナとシャーロットを指差す。

「ジーナちゃんは私ともう一人で、シャーロットちゃんはブルズアイだ」

「人に教えるのは久しくやってないけど、まあ仕事ですし」
 ブルズアイがシャーロットの背後から現れる。

「あの私は」
「ウルルちゃんはアンドロイドだからね。強化するなら装備だな……だがここにあるものであんたの強化に使えそうなものは限られているからね」

 ストレングスが顎に手を当てて考える。

「暇なら私の手伝いをしてもらおうか」

「マチェット様、手伝いとは?」
「あんたのご主人様から依頼された品を準備するのに人手が欲しくてね」
 ウルルはマチェットに一礼する。

「あと3人はキビはジーナちゃんのトレーニングに、シドーさんはシャーロットちゃんのトレーニングに付き合ってもらえるかね。それとチザキさんは……」

「シャーロット」
 チザキはシャーロットの手をつかんで話さない。

「じゃあシャーロットちゃんと一緒にいてもらおうかね」
 ストレングスがそう言うとキビが両拳を鳴らす。

「豪華メンバーだな、徹底的にしごいてやる」

「さて、私は情報を集めるために外にいる部下に連絡してくるよ。また後でね」
 ストレングスはその場を去っていく。

「まずは皆の部屋に案内するから、荷物を置くなりして食堂に集合だな」
 ヤスシは皆を寝泊まりするための部屋に案内する。

「先に言っておくがうちはホテルじゃないから、あまり期待しないでくれよ」

 そんなヤスシの発言とは裏腹に案内された部屋は内装が揃っており、ベッド、大きめなソファにテーブル、そして冷蔵庫にテレビまでついている部屋だ。壁がコンクリートの打ちっぱなしなのもそういうデザインに見えてくる。

「こんな良い所にいんのかよ」

「思えば1番危険人物のストレングスさんも部屋に料理用のオーブンあったり結構自由ですよね……」



 各自、部屋を確認した後に食堂に集まった。
 
「元気そうだな、カラ・ジーナ」
「ショットシェルさん」
 ジーナを待っていたのはショットシェルだ。

「シャーロットちゃんはこっち」

「なんか前来たときと同じだね、ジーナ」
「それじゃあまた後でねシャロ」
 2人はそういって互いのトレーニングに向う。


 ジーナが案内されたのは以前も来た闘技場だった。

「なにするの?また的つけて闘う?」
「いや、今回はゲームじゃなくガチだ」
 リングにあがるジーナとショットシェル。

「じゃあ早速始めようよ」
「そうだな!」
 ショットシェルは砂を蹴り上げる。

「っ!目が!……がっ!この!」
 砂で目潰しをされるもジーナは拳を突き出す。

 彼女の一撃はショットシェルの顔面に命中する。

「目を閉じても当ててくるとは流石だね、だが!」
 ショットシェルはジーナの背後に周り、その両腕で首を絞めた。

「あ……!ぐ!」
「言ったろ?今回はガチだってな」


「さて、シャーロットちゃんは銃の扱い方を覚えてもらう。基本的な撃ち方は忘れてないよね」
 銃を渡されて構えるシャーロット。

「う、うん。こうだよね」
「そうそう、ちゃんと覚えてるね」
 2人のやりとりを黙ってみているシドー。

「……」

「あー始める前に1つ確認しておくよ」
「?」
 ブルズアイはシャーロットが構える銃をゆっくりと掴む。

「この前のはただの的を狙うだけだった、でもウルティメイトとやりあう時に狙うのは……人だよ」

 ブルズアイはシャーロットが持つ銃を動かし、銃口を自分の胸に押し当てた。
 
「ッ!」
「君は大事な人の為に人を殺せるかい?」


「さて、ウルルだっけか」
「どうぞよろしくお願いしますマチェット様」
 
 ウルルはマチェットの後について施設の中を歩いていた。

「あんたのご主人には色々と頼まれてね。まったく揃えるのに時間がかかったよ。だからまだ整備が完了してないんだ。あんた器用なんだろ?」

 いくつかの扉を通ると彼女の部下達が大勢集まっている場所にいた。彼女らはせっせと仕事している。

「あんな大量の銃火器……あれは戦闘機?」
「これらは全部ユキチカからの依頼だ。まとめ買いしてくれたから少しばかり特典をつけているがな」

「ユキチカ様が?どうしてこんな」
「そんなので驚くんじゃねぇよ」
 マチェットは更に奥に進む。

「あんたにはこいつらの整備を手伝って貰うよ」
「なんですか……これ?」
 その先で現れたものを見て固まるウルル。



「んー、おはよ!」
 ベッドしかない部屋でユキチカが起き上がる。

「おはようさん」
「あれ、モチさんだ!おはよ!」
 ベッドの隣にはオニツノが座っていた。

「あんなに色々とあったちゅーのに、ようあんなグースカ寝れるもんやな」
 ユキチカは周囲を見渡している。

「ここはどこか私らも知らん。あの施設を爆破した後に迎えに来た車に乗って気づいたらここにおったんや」

「モチさん迷子なの?」
「ちゃうわ!強いていうなら誘拐や」
 そう言ってオニツノはため息をつく。
 

「鬼丸ユキチカが目を覚ました」

「ああ、分かるよ。いや全くしてやられた、だがまだ終わってない」
 アルファの報告を受けて、カプセルから一人の男が現れた。

「お体の調子は如何ですか、ヴァ―リ様」
「ああ、同期が終わってないからな最悪の気分だよ。だがいつもの事だ慣れた」
 頭を抑えてそういうヴァ―リ。

「この身体の開発が間に合った、これもまた私が使命を全うすることを求められているからに違いない」

「感謝するぞイヴ、お前のお陰でこの最高の身体を手に入れることができた」
「彼らの件ですが、警察は彼らを捕える事ができず。今はインファマス刑務所に」
 アルファはシドーたちの動向を報告した。

「ならば備えるぞ、奴らは必ず島にやってくる。そこで決着をつけてやろう」

しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

スライム10,000体討伐から始まるハーレム生活

昼寝部
ファンタジー
 この世界は12歳になったら神からスキルを授かることができ、俺も12歳になった時にスキルを授かった。  しかし、俺のスキルは【@&¥#%】と正しく表記されず、役に立たないスキルということが判明した。  そんな中、両親を亡くした俺は妹に不自由のない生活を送ってもらうため、冒険者として活動を始める。  しかし、【@&¥#%】というスキルでは強いモンスターを討伐することができず、3年間冒険者をしてもスライムしか倒せなかった。  そんなある日、俺がスライムを10,000体討伐した瞬間、スキル【@&¥#%】がチートスキルへと変化して……。  これは、ある日突然、最強の冒険者となった主人公が、今まで『スライムしか倒せないゴミ』とバカにしてきた奴らに“ざまぁ”し、美少女たちと幸せな日々を過ごす物語。

惑星保護区

ラムダムランプ
SF
この物語について 旧人類と別宇宙から来た種族との出来事にまつわる話です。 概要 かつて地球に住んでいた旧人類と別宇宙から来た種族がトラブルを引き起こし、その事が発端となり、地球が宇宙の中で【保護区】(地球で言う自然保護区)に制定され 制定後は、他の星の種族は勿論、あらゆる別宇宙の種族は地球や現人類に対し、安易に接触、交流、知能や技術供与する事を固く禁じられた。 現人類に対して、未だ地球以外の種族が接触して来ないのは、この為である。 初めて書きますので読みにくいと思いますが、何卒宜しくお願い致します。

クラスメイトの美少女と無人島に流された件

桜井正宗
青春
 修学旅行で離島へ向かう最中――悪天候に見舞われ、台風が直撃。船が沈没した。  高校二年の早坂 啓(はやさか てつ)は、気づくと砂浜で寝ていた。周囲を見渡すとクラスメイトで美少女の天音 愛(あまね まな)が隣に倒れていた。  どうやら、漂流して流されていたようだった。  帰ろうにも島は『無人島』。  しばらくは島で生きていくしかなくなった。天音と共に無人島サバイバルをしていくのだが……クラスの女子が次々に見つかり、やがてハーレムに。  男一人と女子十五人で……取り合いに発展!?

いつか日本人(ぼく)が地球を救う

多比良栄一
SF
この小説にはある仕掛けがある。 読者はこの物語を読み進めると、この作品自体に仕掛けられた「前代未聞」のアイデアを知ることになる。 それは日本のアニメやマンガへ注がれるオマージュ。 2次創作ではない、ある種の入れ子構造になったメタ・フィクション。 誰もがきいたことがある人物による、誰もみたことがない物語がいま幕を開ける。 すべてのアニメファンに告ぐ!! 。隠された謎を見抜けるか!!。 ------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------ 25世紀後半 地球を襲った亜獣と呼ばれる怪獣たちに、デミリアンと呼ばれる生命体に搭乗して戦う日本人少年ヤマトタケル。なぜか日本人にしか操縦ができないこの兵器に乗る者には、同時に、人類を滅ぼすと言われる「四解文書」と呼ばれる極秘文書も受け継がされた。 もしこれを人々が知れば、世界は「憤怒」し、「恐怖」し、「絶望」し、そして「発狂」する。 かつてそれを聞いた法皇がショック死したほどの四つの「真理」。 世界でたった一人、人類を救えも、滅ぼしもできる、両方の力を手に入れた日本人少年ヤマトタケル。 彼は、世界100億人全員から、救いを求められ、忌み嫌われ、そして恐れられる存在になった。 だが彼には使命があった。たとえ人類の半分の人々を犠牲にしても残り11体の亜獣を殲滅すること、そして「四解文書」の謎を誰にも知られずに永遠に葬ることだった。

勇者一行から追放された二刀流使い~仲間から捜索願いを出されるが、もう遅い!~新たな仲間と共に魔王を討伐ス

R666
ファンタジー
アマチュアニートの【二龍隆史】こと36歳のおっさんは、ある日を境に実の両親達の手によって包丁で腹部を何度も刺されて地獄のような痛みを味わい死亡。 そして彼の魂はそのまま天界へ向かう筈であったが女神を自称する危ない女に呼び止められると、ギフトと呼ばれる最強の特典を一つだけ選んで、異世界で勇者達が魔王を討伐できるように手助けをして欲しいと頼み込まれた。 最初こそ余り乗り気ではない隆史ではあったが第二の人生を始めるのも悪くないとして、ギフトを一つ選び女神に言われた通りに勇者一行の手助けをするべく異世界へと乗り込む。 そして異世界にて真面目に勇者達の手助けをしていたらチキン野郎の役立たずという烙印を押されてしまい隆史は勇者一行から追放されてしまう。 ※これは勇者一行から追放された最凶の二刀流使いの隆史が新たな仲間を自ら探して、自分達が新たな勇者一行となり魔王を討伐するまでの物語である※

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

迷い人 ~異世界で成り上がる。大器晩成型とは知らずに無難な商人になっちゃった。~

飛燕 つばさ
ファンタジー
孤独な中年、坂本零。ある日、彼は目を覚ますと、まったく知らない異世界に立っていた。彼は現地の兵士たちに捕まり、不審人物とされて牢獄に投獄されてしまう。 彼は異世界から迷い込んだ『迷い人』と呼ばれる存在だと告げられる。その『迷い人』には、世界を救う勇者としての可能性も、世界を滅ぼす魔王としての可能性も秘められているそうだ。しかし、零は自分がそんな使命を担う存在だと受け入れることができなかった。 独房から零を救ったのは、昔この世界を救った勇者の末裔である老婆だった。老婆は零の力を探るが、彼は戦闘や魔法に関する特別な力を持っていなかった。零はそのことに絶望するが、自身の日本での知識を駆使し、『商人』として新たな一歩を踏み出す決意をする…。 この物語は、異世界に迷い込んだ日本のサラリーマンが主人公です。彼は潜在的に秘められた能力に気づかずに、無難な商人を選びます。次々に目覚める力でこの世界に起こる問題を解決していく姿を描いていきます。 ※当作品は、過去に私が創作した作品『異世界で商人になっちゃった。』を一から徹底的に文章校正し、新たな作品として再構築したものです。文章表現だけでなく、ストーリー展開の修正や、新ストーリーの追加、新キャラクターの登場など、変更点が多くございます。

日本帝国陸海軍 混成異世界根拠地隊

北鴨梨
ファンタジー
太平洋戦争も終盤に近付いた1944(昭和19)年末、日本海軍が特攻作戦のため終結させた南方の小規模な空母機動部隊、北方の輸送兼対潜掃討部隊、小笠原増援輸送部隊が突如として消失し、異世界へ転移した。米軍相手には苦戦続きの彼らが、航空戦力と火力、機動力を生かして他を圧倒し、図らずも異世界最強の軍隊となってしまい、その情勢に大きく関わって引っ掻き回すことになる。

処理中です...