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4th フェーズ 奪
No.98 カーチェイス、そして助っ人登場
しおりを挟むパトカーとカーチェイスを繰り広げながら、港を目指すキビ達。
「すごい数の車だな」
「国際指名手配が相手ですので」
「これ港に行っても船に乗る暇あるのかな」
「足止めする係と船を見つける係で別れたほうが良さそうだね」
シドー、ウルル、シャーロット、そしてジーナが後ろから追走してくるパトカーの集団をみて話す。
街中を走り抜けて港に到着する。しかし港には既に警察が待ち構えていた。
「港にこんなにも!」
「まあそりゃあ逃亡犯がいたら封鎖するよな」
「とにかく突っ切るしかない!」
「みんなは船を!私はここで食い止める!」
キビは車を盾にして銃を発砲する。
「援護します、装備が多少は役に立つかと」
ウルルも指先を変形させ、ビリビリショットを撃ち出した。
「撃ってきたぞ!犯人は銃を所持しているぞ!」
警察側も物陰に隠れ応戦する。
「船だ!でもどれも大きいね」
「さすがにあんな規模のは運転できないぞ」
港にはタンカーなどは止まっているが今の状況には適さない。
「そもそも時間も人手も全く足りないよ。もっと小型のを探さないと」
「どんどん集まって来ますね。ショット用の針が無くなりそうです」
「こっちもだ、どうせ追われるなら署に押し入って弾薬掻払ってくればよかった」
警官がこちらに来ないように足止めするのも限界が来ている。
「キビさん!ウルルちゃん!船見つけた!今シャロとシドーさんが準備してくれてる」
ジーナが物陰を使いながら二人のもとに駆け寄ってくる。
「そりゃあいい、だけどこのまま船に乗っても追手が多すぎるな」
どうするかを考えていると遠くの方でクラクションが鳴り響く。
なんと港に向かって暴走するトラックが突っ込んできたのだ。
「なんだあのトラック!」
「退避!退避ー!」
大型トラックは警察車両を弾き飛ばしながらキビ達の元に迫る。
「あぶねぇ!」
キビはジーナとウルルを伏せさせ、2人に覆いかぶさる。
3人の側でトラックが停止した。
「皆さんご無事ですか!」
運転席の扉を開けてそう呼びかけたのはオニツノ・モチの1番の部下、エンドウだった。
「エンドウさん?!」
「ジーナさんご無事で、手が足りないかと思いまして」
トラックの荷台から続々と彼女の部下が出て来た。
「姐さんの大事な人にチャカ向けるとはどういうつもりや!」
「サツだろうが関係あるか!やったるわ!」
「なんなのあいつら!」
「武器を持ってる!」
警察官に向かって突撃していく部下。
「どうしてここが分かったんですか?ニュース、にしても早いですね」
「それが……」
時は少しさかのぼる。
「あら、確かあなたは」
「夜分遅くに申し訳ありません、エンドウです」
エンドウはジーナの家を訪ねていた
「ジーナさんはまだご帰宅にはなられていませんか」
「ええ、一昨日からずっとね」
ジーナのおばあちゃんはエンドウの質問に対してこう答えた。
「そうですか……ニュースは見られましたか?」
「観たわ、あの子有名人になっちゃったわね。あの子に何かご用かしら?」
「ご無事かどうか確認しに来ただけですのでご安心を、私達はジーナさんがニュースで言われているような人じゃないのは理解していますから」
エンドウは自分がジーナを捕まえに来たのだと誤解されていると思い、来た理由を説明した。
「そういえばあの派手なスーツのお嬢さんは?」
「オニツノの姐さんですか。ここ最近連絡がつかなくて」
「それは心配ね」
話しているとエンドウの端末に連絡が入る。
「電話来てるわよ、どうぞ」
「失礼……」
一礼してエンドウは通話に応答する。
「あなたは……何?それは本当ですか!?」
エンドウは目を見開いた。
「あなた達がうちの姐さんを誘拐したと言われたんです。そして皆さんは港に向かうだろうと。勿論みなさんがそんな事をするような人達ではないと思っています。もし仮に本当だったとしても、ジーナさんに誘拐されたならうちの姐さんは喜ぶだけでしょうし」
エンドウはトラックを降りてジーナ達の側に行く。
「ですからお手伝い出来ることがないかと思い、うちの者をかき集めていました。すみません遅くなってしまって」
「本当に助かりました!」
「アイツは本当に良い連中に支えられてるな」
ジーナとキビがエンドウにそう言う。
「そうだ、その連絡をして来た人って誰ですか?」
エンドウに連絡してきた者について質問するジーナ。
「ヒメヅカという人です、よく姐さんと仕事をしていた人です」
「ヒメヅカか……そうかそう言う事か、じゃあお前のところの親分はまだ元気にしてるだろうな。恐らくあいつはヒメヅカと一緒にいる」
エンドウにそう伝えるキビ。
「本当ですか!分かりました、ありがとうございます!」
彼女は嬉しそうな顔をする。
「さあ、行ってください!それと姐さんにあったら帰る時は連絡入れるように伝えてもらえませんか。飯を作って準備しておきますので、と」
「分かりました、必ず伝えます!」
「私らが出たらお前らもさっさと逃げるんだぞ」
「エンドウ様、それに皆さまもお気をつけて」
ジーナ、キビ、そしてウルルの三人はその場をエンドウに任せ船へと走り出す。
船へと走る彼女らに、大きな音を立てて空から接近する物が現れた。
「この音、嘘だろ」
ヘリコプターが上空から彼女らにライトを当てる。
「ヘリまで出してきやがった」
「無駄な抵抗はやめて大人しく投降しなさい」
キビ達は物陰に逃げ込む。
「このままだと船に乗ってもあれに追いかけまわされるな」
「今一瞬でしたけど、銃もってこっち狙ってました」
「狙撃手ですよね、もうこちらの装備では対応できません」
船の方に目を向ける3人。
「おいなんだあの飛行機は」
「うそヘリコプター?!これじゃあ逃げきれないよ」
シドーとシャーロットがヘリコプターを見てそう言う。
「おい!船に二人乗っているぞ、あれで逃げるつもりだ」
「了解、そちらに移動する」
船に二人が乗っている事に気付いたパイロットはヘリを船の方に動かした。
「ああマズイかも」
「ちくしょう、ここまで来て」
二人がライトで照らされる。
「照準に捉えています、いつでも撃てます」
「こちらも、どうしますか」
狙撃手は既に船上の二人に狙いを定めている。
「発砲の許可は出ている、撃て」
「了解」
狙撃手が引き金に指をかけた、その時だった。
突然ヘリが大きく揺れた。
「な、なに?急に制御が!」
パイロットが周囲を見渡す、突風が吹いた訳でもない、それなのにヘリの制御が効かなくなったのだ。
原因を探るために二人のパイロットは機体周りを見渡す、何かに接触したかもしれない。
結果から言うと何かに接触したわけではなかった。
「何だあれ……赤い、槍?」
赤黒い槍のようなものが機体に突き刺さっていたのだ。
「シャーロット、傷つける、ゆるさない」
「ッ!」
「なんだお前!いつの間に!」
狙撃手の背後に何者かが立っていた。
その者に向かって狙撃手が応戦しようとするが、それよりも早く掴まれ外に放り出されてしまう。
「「うああ!」」
続いてパイロットたちも何者かに捕まり外に投げ出される。
「な、なんだ?!」
ヘリから次々と投げ出される乗組員をみて驚くシドー。
「な、なんなのこの赤いの!」
「固まってて身動きが!」
港にある建物に投げつけられた乗組員は全員、赤い何かによって壁にはりつけられていた。
海へと墜落したヘリから何者かが飛び出し、そして船上で呆然としていた二人の前に現れた。
それは鮮血のように赤く長い髪を持つ女性だった。
「誰だ、あんた……っておわ!」
その者に話しかけようとした瞬間、シャーロットの前に立っていたシドーはその者に投げ飛ばされていた。
「シャーロット……」
その者はシャーロットを抱きしめていた。
「え、その声……チザキさん?!」
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