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4th フェーズ 奪
No.91 迷宮197
しおりを挟むイヴに言われてアンジェラの元にやって来たシドーたち、彼女の案内でゲームの中にあるイヴが残したデータを探し行く事に。だがそのデータが隠されている場所はいわくつきの場所らしい。
「そのダンジョンは攻略法が入る度に変わるの」
「問題の解き方が毎回変わるってこと?」
「ネットで一時期話題になったよね、ちょっと炎上よりだった」
ジーナとシャーロットはダンジョンの場所が記された地図をみる。
「このダンジョンは部屋ごとに仕組みがあって、そのパターンがいくつあるか未だに完全には判明してないの。当然出てくる敵はモブでも最高レベル、即死系のトラップも数多くあるし」
「本来なら可能な限り各部屋の攻略パターンを記憶し、適宜それを実行できるように試行錯誤を繰り返して、比較的攻略しやすいパターンを引き当てる。これをしないとクリアできない」
ダンジョンの説明をするアンジェラ。
「初クリア組がでるまで1年以上かかったからね。私の時は攻略情報は出始めてたけど、それでも2ヶ月かかったよ」
彼女の説明をきいて皆は思った。そんな時間などない。2ヶ月、その間にユキチカはどうなるか分からない。
話を聞いたシドーは頷く。
「話は分かった。ようはその滅茶苦茶難しい問題を解けば良いんだろ?さっさと向かおう、ダイキが待ってる」
「そうだね、とりあえず行ってみないと。でもその前に装備とか揃えないと、場所は高難易度エリアを幾つも超えたワールドの最奥だから」
アンジェラは装備集めに適した場所をマップにいくつか表示し始める。
「装備はどういうのがあるんだい?」
シドーは手を上げて質問した。
「防具は防御力、相手から攻撃を受けても体力が減りにくくなる。武器はそのまま攻撃力モンスターを倒しやすくなる。それに装飾品とかでスキルが……」
「アンジェラさん、それは無いと絶対に無理なのかな、その"だんじょん"に向かうのは」
「え……絶対に無理とは言いきれないけど」
「なら行こう」
「いやいや!行くだけでも大変なのにダンジョン攻略は流石に!」
シドーは空を見上げる。
「時間が無いんだ」
「それじゃアンジェラちゃんがみんなを案内したら?私が代わるからさ」
プライスがアンジェラに提案する。
「分かった、それじゃあちょっと待っててね」
少しするとみんなの元に独りの女性が近づいてきた。背が高く、青髪でローブを来た女性だ。
「お待たせー」
どうやらアンジェラのようだ。
「向こうと姿が違うね」
「アバターだからね。みんな好きなように自分の外見をいじれるんだよ」
ゲームの世界のアンジェラをみたジーナにそう説明するシャーロット。
「たしかに男性にされてる方も多いですね」
「ああそうか、この世界は男が殆どいないのか。ダイキも大変な世界に生きてるもんだな」
ウルルとシドーは周囲を見渡してそう話す。
「それじゃあこれ受け取って。アイテム一式と装備品。コレクションで揃えてた奴だけど無いよりはましだからね。一通り強化もしておいたし」
アンジェラは皆に回復アイテムや装備品を渡した。装備品はどれも新品で、みるからに強そうな装飾などが施されている。
「なんかウルルのは使い込んだ感じあるけど、そういうデザインなの?」
「ウルルちゃんには私が1番愛用していた奴を渡したの。よく似合ってるよウルルちゃん」
ウルルに見惚れるアンジェラ。
(露骨な対応の差だ)
ジーナとシャーロットはアンジェラの熱烈なウルルへの思いを感じ取っていた。
「ど、どうもありがとうございます」
ウルルはその間、写真を撮られていた。
「シドーさん何してるの?」
鎧を外しているシドーにジーナが話しかける。
「動きづらいから軽くしてるんだ」
「ちょっと!それじゃダンジョンのボスに一撃か運良くても2回攻撃受けたらおしまいだよ!」
アンジェラが忠告する。
「喰らわなきゃ良いだろ」
「流石地獄をくぐり抜けた軍人。一理あるな、私ももう少し身軽のほうがいい。一回受けても大丈夫なら上等」
キビも装備を外し始める。
「分かったよ。港まで向かおう、そこから船にのるのが最短ルートだよ」
アンジェラに案内され、船に乗り込む。そこから山やら城やらを乗り越えて目的のダンジョンに到達した。
入口らしき扉があるが、そこには鎖がぐるぐるに巻きつけられている。
「ここ実は閉鎖中なんだ」
「じゃあ入れないじゃん」
ジーナが扉の鎖を引っ張ってみるが不思議な力で弾かれる。これでは壊せそうにない。
「ハヴァさんが鍵を渡してくれたんだ。あれでもなんでそんな鍵を?まあとりあえず開けようか」
アンジェラが鍵を取り出し、扉にかざすと鎖が消える。
「でも急がないと、運営に絶対にバレないとは限らないから……」
「あぶねぇ!」
シドーがアンジェラを扉の前から引き戻す。
「え?」
アンジェラが立っていた所に巨大な剣が刺さっている。その剣の柄に見合う巨大な手が掴む。
「随分とデケェのが出てきたな!」
「うそ、ここのボスだよ!でもこのボスはダンジョンのギミックを攻略して弱体化させないと攻撃が激しすぎてまともに戦えないよ!それに目的の場所はここじゃない、図書室を探さないと!」
ボスは巨大な骸骨を背後に背負い、巨大な剣はその骸骨が握っていた。
「あいつの後ろに扉ないか?」
シドーがボスの後ろを指差す。
「それでも1人はここに残らないと、攻略放棄とみなされて強制ゲームオーバーになる!そうなればダンジョンの配置も変わるし、ここで入手したものも失う。あとボスを倒すのも、必要なものを手に入れるまではダメだよ。倒したらすぐにダンジョンの外に出されちゃう」
ボスの説明を聞くとシドーが前にでる。
「それならおれが残る」
「私も残る」
シドーとキビが並んだ。
「……分かった。もしやられたらダンジョンに再入場出来ないからね」
「一度死んだらおしまいの人生をずっと生きて来たんだ。まかせろ、あ、でもおれ一度死んでるんだったな」
「まあ、ここは大人に任せておきなさい。仕組みだのなんだの、私達には少しばかり難しい話だしな」
二人はボスを目掛け走り出す。二人に反応しボスは動き始めた。
「今のうちにいくよ!」
先に進むアンジェラたち。
アンジェラは部屋のトラップを完璧なまでに記憶していた。今までの傾向から初見のギミックも予測し対処していく。
「ついたこの部屋だよ!」
アンジェラたちは目的の部屋に到達する。
「ここにある本棚のどこか……って」
「広すぎない!?」
部屋をみたシャーロットとジーナが叫ぶ。
目的の部屋は非常に広かった。その広い空間に敷き詰められた棚、その棚に並ぶ書物、この中から一冊の本を探し出そうと考えるとここに住んだ方が早いのではと思えるほどだ。
「この部屋は宝箱が一つあるくらいで、中身もダンジョンランクに対しては大したものじゃないの。敵もワラワラ湧いて来るから攻略を考えるなら全力で駆け抜ける場所。隠し場所に選ぶなんていい趣味してるね」
部屋を見渡してアンジェラが言う。
すると部屋の端の壁から続々と敵のモンスターが現れた。
「さあ、敵が来たよ!」
「私はアンジェラさんと敵を押し止めるから2人はデータを探して!」
アンジェラとジーナが構えて敵を迎え撃つ。
「この中からか、やるしかない!」
「やりましょう、シャロ様!」
シャーロットとウルルはデータを探す為に走り出した。
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