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2nd フェーズ 集

No.55 危険なテスト

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Mrs.ストレングスから情報を貰ったユキチカ達。彼らが次に向かったのはチーフ・マチェットと呼ばれる武器商人の所だった。

そこでまた何やら依頼をするユキチカだった、しかしマチェットはテストをすると言いだす。

しかもそのテストはジーナとシャロが受けるものだという。

「え?なんで?ジーナとシャロ?」
「お仕事だ、その二人が合格したら喜んで注文も受けてやる。どうする?」

そう言われたジーナとシャーロットは立ち上がる。

「受けますよ!」
「わ、私も出来る事があるなら」

この言葉を聞いて頷くマチェット。

「二つ返事か、若いってのは良いね、向こう見ずでさあ。だが言ったことは言ったことだ。おい、ショットシェル!パラベラム!」

先ほど銃の説明をしたパラベラムに加えて背の高い体格のいい部下が現れる。

「その二人がお前らのテストを担当する」
「カラ・ジーナ……お前だな。思ってたより細っこいんだな。ついてきな」
「じゃあこっちがシャーロットか、あんたはこっちだ」

案内する者達にそう言われたジーナはシャーロットを近くに引き寄せた。

「私達が呼ばれた理由がこれみたいだね、シャロ気を付けてね」
「う、うん。ジーナも」

二人はその場を後にしてテストを担当するという者にそれぞれついて行った。


ジーナはショットシェルという者を注意深く観察していた。

(でかい、身長は180cm、いや182cm。筋肉が分厚い、体重は85kgはある。古傷の感じからして危険な感じ。背中の筋肉の発達具合からみて打撃主体の格闘技やってる人かな。だとするとあの手足の傷……)

「その拳で何人病院送りにしたの?」

「はっはっは!よく観れてるじゃないか、だが質問が少し違うな。”病院”じゃなくて”墓場”だろ?」

ショットシェルはそういうって笑う。

「なるほど、ただの格闘技じゃないんだ。その拳や足の傷、格闘家でもそんな傷だらけにはならないよ。私も鍛錬でそうなることはあるけど、それとは別だよね」

ジーナは相手の手足を指差す。

「ああ、お嬢ちゃんが見れないような裏社会の格闘技大会があってな。私はそこのチャンピオンだった。そこでは無敗で出場から捕まるまでずっとチャンピオンだった」

「へぇ、すごいね」

この返事に対してショットシェルは鼻で笑った。

「そんなことねぇさ。つまんねぇ場所だった、相手が武器使おうがリングの上じゃ私の相手にならねぇ。勝てる試合ってのは戦略的には大正解なんだろうが、それが続くとなんともつまらないもんだ」

話しているとショットシェルとジーナは扉の前に着く。

「捕まってからも世界各地の刑務所の中で一番強いやつと戦った。それでも負けることはなかった。でもここに来て、私は初めて負けた」

扉を開けるショットシェル。

扉の先には大勢の囚人達がおり、二人が入って来たのを見ると一斉に歓声を上げる。

「うおーー!来たぞ!」
「今日のメインイベントだ!」

その巨大な空間の中央には高さ5m程の金網で囲まれた場所があった。

「あそこで私は初めて負けた。ようこそインファマス刑務所名物"蜘蛛の闘技場"へ」


リングに上がると、ジーナは丸い的がついたベルトを複数本渡される。

「この的がついたベルトを身体につけな。渡した分5つを全部付けるんだ。場所はどこでもいい」

「こんな感じかな」
身体に5本、しっかりとベルトを巻き付けた。

「ルールは簡単だ。ゴングなったらスタート、先に身体につけた的が5つ全部壊れた方が負けだ、分かったか?」

「なるほど、単純でいいね」
屈伸したり開始の前の運動をするジーナとショットシェル。

「さてじゃあこっちの説明が終わった所で、向こうはどうかな。ゴングは向こうの準備が整ってから鳴らすからな。おい!誰か映像出してくれ!」

ショットシェルがリングの外に向かってそう言うとリングの外にある大きなモニターに映像が出る。

シャーロットとパラベラムは丁度テストを行う場所に到着した所だった。


シャーロットとマチェットの部下、パラベラムは射撃訓練場に来ていた。

「テストは簡単だ。この弾十発を一発ずつ撃つ、交互にだ、両方撃ちきった後にポイントが多い方が勝ち。何重にも円が重なってるだろ?ポイントは的を外したら0点、当然だな。的の一番外側から1,2,3,4と来て、最後の真ん中の赤い円が一番高い点数の5点だ。分かったな?ギブアップも可能だ」

パラベラムは的を指さして離す。

円が描かれた紙の的がぶら下がっていた。

「ようは射的でしょ。これがその銃?」
シャーロットは自分の前に置かれた銃を手に取る。

それを色々な角度から観察した。
流石のシャーロットも銃を手に取るのは初めてで、興味津々のようすだ。

その中で銃口を覗き込む。
するとそれをみたパラベラムが怒鳴った。

「おいおいおい!銃口を覗き込むな!弾が入ってないとはいえ何考えてんだ!テメェの頭ふっ飛ばしたいのか!?」
「ああ、そっか」
銃口を覗き込むのを止めるシャーロット。

「お前、銃を使うの初めてか?」
「そりゃあ銃社会じゃない国に住んでる一般人はそうでしょ」
シャーロットはそう言って的を銃で狙ってみる。

「あー!もう違う違う!銃の構えはそんなんじゃない、肘おかしくなるぞ!ちょっと一旦銃を置け!」

そう言われたシャーロットは素直に銃を目の前の台に置いた。

「いいか、お前の目の前にある銃はうちの商品だ。そして私は銃を愛している、この世の全ての銃を。だから当然、お前に貸すこの銃だって大切なベイビーたちだ。そんな大切なものを雑に扱われるのは辛抱ならない」

「ごめん、でも使い方よく知らないし」
パラベラムの熱のこもった発言に対しシャーロットはここでも素直に謝った。

「はぁ、しょうがない。教えてやる。いいか、大抵の銃は右利きに作られてるから右手で持て。こうだ、引き金に指をかけずに人差し指はまっすぐだ。引き金に指かける時は撃つ時だけだ」

「残った手は?こう?」
パラベラムは右手で銃を握った状態でシャーロットに見せた、シャーロットもそれを真似する。そして残った左手で銃身を握った。

「先走んな、左手で掴むのは銃身じゃない、そういう持ち方はライフルとかで……いや今は良いか。左手は右手の上にかぶせるように持つんだ、そうだ」

シャーロットの持ち方を注意深く観察するパラベラム、そして小さく頷く。

「よし、持ち方の次は立ち方だ。一番スタンダードなので行こう。お前の的があるな?あれに向かって体を正面に向け、そして脚は肩幅程度に開く。そうだ、足の位置は横並びでOKだ」

今度は立ち方を教えてくれるパラベラム。

「それでさっき教えた持ち方で銃を持って体の正面で構えてみろ」
「引き金に指はかけない、左手は上からかぶせるだけ。で正面に向ける」

シャーロットは先ほど言われた持ち方を最初から再現してみせる。

「よし、もう少しひじを曲げてみろ。真っすぐにすると銃の反動が関節に直に来るからな、曲げる事でその衝撃を逃がすんだ」

再びシャーロットの立ち方をチェックするパラベラム。

「よーし、できたな。それが銃の構えかただ」
「ふぅー、この銃小さいね、私の手でもしっかり持てる」
OKを貰えたシャーロットは一度構えを解いて話す。

「こいつはS19スナブノーズだ、コンパクトで携帯性抜群。おもちゃみたいだが性能は最高だ。ハンマー代わりにコイツで釘を叩きまくった後でも、しっかり正確に標的をぶち抜く。装填数は6発、これがお前の持ち弾だ」

パラベラムは弾薬が入った箱を渡す。
シャーロットが箱から弾薬を取りだした。

「説明いるか?」
「お願い」
そう言われるとパラベラムは少しだけニッと笑って説明を始める。

「よし、弾を込める時はここだ、丁度親指が当たる所にでっぱりがあるだろ?これを引くんだ。するとほら、このシリンダーが横に出るだろ?これで空いてる穴に弾を込めるんだ。向きは平べったいのが手前だ、弾を込め終わったらもとに戻す。しっかり左手で押し込むんだ」

「じゃあ弾を使い終わったら、同じようにすればいいんだね」

これも同じようにパラベラムの動きを真似しながら弾を込めるシャーロット。

「そうだ、弾を出すときは棒があるだろ、エジェクターだ。それを押せばいい、一気に出るから」



「よし、それじゃあこれで一通り説明は終わったな!」
一通りの説明を終えたパラベラムはそう言って射撃訓練場にあるカメラに向かって手を振る。

この流れをずっとみていたジーナ。
「随分と丁寧に教えてくれるんだね。まあこっちとしてはありがたいけどさ」

「まあ、パラベラムはああなっちまうとな。もうほとんど銃を売り込む時のトークだったな。まあ言ってくれれば売らせて貰うけどな」

ショットシェルも少し呆れた様子でジーナの発言に応える。

「ようやく準備が整ったみてぇだな!」

そんな話をしているとスピーカーから声が、マチェットだ。

彼女は別室でモニター越しに二つの会場をみていた。
そんな彼女は酒を一口飲み、息を大きく吸った。

「テスト開始だッ!!!」

危険なテストが始まる。

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