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2nd フェーズ 集
No.31 二人は仲良くケンカしました
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拳鬼会会長、オニツノ・モチと喧嘩をする事になったジーナ。
極めて高い身体能力に加えてこちらの技術を即座に模倣する卓越した戦闘センスに苦戦するジーナ。
そんな闘いの中で彼女はオニツノに渾身の一撃を叩き込む。
空流奥義 【天蓋割り!!】
天蓋割り、側転しその勢いを乗せた黒鉄を体勢を崩した相手の頭部に打ち込むという技。これにより相手は地面と拳に挟撃を受ける形となる。技の難易度もさることながら相手の命すら奪いかねない危険な禁じ手とされている技である。
道場全体が揺れた。
「今のは……!?」
別の部屋でジーナのおばあちゃんとお茶を飲んでいたエンドウが席を立つ。
「ふふふ、じーなちゃん随分とはしゃいでるわね」
「はぁ、はぁ、はぁ……」
技を繰り出した後に距離を取るジーナ。
相当集中力を使ったのか息を切らしている。
(あれ、動かない……もしかして死んじゃった!?やっぱりやり過ぎた!?)
ジーナが焦り始めた瞬間、オニツノがゆっくりと立ち上がった。
「かぁぁぁぁッ!!なんつーエゲつない技や!一瞬三途の川が見えたかと思ったわ!
「うっそ……」
起き上がりそう言うオニツノは頭をさすっている。
どうして立って平然としていられるのか、あの技の直撃を食らったのにとジーナは相手のタフさに茫然していた。
「いやぁ~今のは受け身取らんかったら危なかったで」
両腕をぶんぶんと振るオニツノ。
「なるほど、攻撃を食らう瞬間に腕で頭部の前方と後方を守ったんだ」
「ご名答や、まあ拳を受けた方の腕は今絶賛シビれてる所やけど」
オニツノは明朗快活な笑い声をあげる。
「ああ、アカンわ、ジーナちゃん最高過ぎるでぇ。ワシこない熱くなったんは久しぶりや。お陰で体も温まってきたわ」
そう言ってオニツノは着ていた赤黒いスーツのジャケットを脱いだ。
「さーて、第二ラウンドや。……行くでッッ!!」
ジーナに急接近するオニツノ、ジーナは一瞬遅れて攻撃を繰り出す。
「え?」
「お?」
正面からぶつかる筈の二人の攻撃は止められてしまう。
「はい、そこまで」
二人の腕を掴み攻撃を止めたのはキビ・カオルだった。
「キビさん!?」
「なんや、キビはんやないか!」
二人はキビの顔をみて驚く。
「なんでキビはんがここに?」
「お前が呼んだんだろうが」
そう言われてオニツノは手をぽんッと叩く。
「ああ!さっきの通報で来てくれたんか!いや、まさかキビはんが来るとは思わへんだな!」
「やっぱりお前か。まったく、ほら行くぞ」
キビがオニツノを連れて行こうとする。
「はぁー、なんやもう時間切れかい。もうちょっと喧嘩したかったわー。まあ、しゃーない」
オニツノは脱ぎ捨てたジャケットを拾う。
「ああ、そや。ジーナちゃん」
ジーナに近づくオニツノ。
「ジーナちゃん達が事件を解決してること、小狡い大人達はよー知っとるみたいやで。気をつけるんやな、お友達にも伝えといてな」
そうジーナに告げて、オニツノはキビに振り向く。
「大変おまたせしました、ほな行きましょか!」
「ジーナちゃん怪我の手当しっかりしておくんだよ、それじゃあ」
キビはオニツノに手錠をかける。
「ほなな~、またやろうな~」
手錠を付けられた手を振り彼女は道場からでていった。
「はぁ、あ、どっと疲れた」
オニツノとキビが去っていくのを見届けるとジーナはその場に座り込む。
「お疲れ様です!」
先程のエンドウというオニツノの部下が現れて頭を下げた。
「あらまあ、派手に遊んだのね」
道場のひび割れた床等をみておばあちゃんが笑う。
「申し訳ありません。どうぞこちらをお使いください」
そういって相手はアタッシュケースを取り出す。
「まず修理代に500万、迷惑料でもう500万です」
彼女はジーナとおばあちゃんの前に綺麗な布を敷き、その上に札束を置き始めた。
「い、いや!貰えないですそんな!」
「ご安心下さい、こちら全て綺麗なお金ですから。お二人が面倒事に巻き込まれる事はありません。それでは自分たちはこれで、すみません」
深々とお辞儀してエンドウ達は早々に立ち去っていく。
「な、なんだったんだろう……あ!パーティの料理!今何時!?」
飛び上がって、キッチンに向かうジーナ。
キッチンには下ごしらえが済んだ食材が並んでいた。
「え?おばあちゃんやった?」
「いいや、さっきのエンドウってお姉さんがやってくれてたよ」
(う、私より手際良いかも……)
その下ごしらえをみるだけで相手の腕前が伺える。
「とりあえずちゃっちゃと作らないと!」
気を取り直して料理を始めるジーナだった。
料理を終えたあたりでシャーロット達が彼女の家にやってきた。
「おじゃま」
「お、おじゃまします!」
「本日は御呼びいただき誠にありがとうございます」
ユキチカ、シャーロット、ウルルが挨拶をする。
「いらっしゃい、シャーロットちゃんにはお帰りになるわね。今日からよろしくね~」
おばあちゃんがシャーロット達を招き入れる。
集まったみんなの中心には様々な料理が並べられていた。
「よし!それじゃあシャロの歓迎会始めるよ!いっぱいご飯作ったから遠慮せずに食べてね!今回は洋食にも挑戦したよ!」
「おおー!めっちゃ豪華!」
「すごいですね!これだけの量を!」
「あ、ありがとうジーナ!」
みんなで手を合わせる。
「いただきます!」
思い思いに料理を取り口に運ぶ。
「ん~~この唐揚げ衣の具合、噛んだ時の衣の音をずっと聞いていたくなるほどです!お肉もジューシーですね」
ウルルが唐揚げを口にいれて幸せそうに感想を言う。
「ありがとう!……ってあれ?」
「え、ウルルちゃんご飯食べられるの!?」
ジーナとシャーロットが驚く。
アンドロイドであるシャーロットが平然と食事をしている、前までは食べられないからと皆で食事をするときは一歩下がった所にいたのに。
「アップデート!ウルルは食事が出来るようになりました!食べたものは100%エネルギーに変換されるんだよー」
お皿に色々と盛り付けながらユキチカはそういった。
「そ、そうなんだ……」
「それじゃあこれから一緒にご飯食べられるね!あとどういう構造になってるかみせてね!」
ジーナとシャーロットがそう言うとウルルも嬉しそうに笑う。
「ええ、皆さんと食べるご飯とはこんなにも素晴らしい物なのですね」
賑やかな食卓を囲み、歓迎会は行われるのであった。
一方その頃、オニツノ・モチは留置所に入っていた。
「ワシにもコーヒー貰えへんか?喉乾いてきたわミルクと砂糖多めでな」
オニツノは随分とくつろいだ様子だ。
「こんな時間にカフェインとったら眠れなくなるだろ、水でも飲んでろ」
缶コーヒーをすすりながらキビが話す。
「子ども扱いせんといてや、ワシはカフェインなんかでどうこうなるタマとちゃうで。というかそれなら何でキビはんは飲んどんねん」
「お前のせいで報告書かかないといけないから。全くどうしてあそこにいたんだ?いや、どうやって知ったんだ?」
質問をするキビ、しかしオニツノはどこかあっけらかんとした感じで。
「なぁ、そんなことより久しぶりに喧嘩しようや。こうやって会えたんやし」
「はあ?なんでだよ」
「ええやんか!!どーせここにいてもやることないし!やろうやー喧嘩しようやー!」
寝っ転がりジタバタと駄々をこねるオニツノ。
「大の大人が駄々をこねるなみっともねぇ」
「いややー!キビはんと喧嘩したいー!」
呆れた様子のキビは頭を横に降る。
飲み干した缶の上下を両手で挟みこみ、潰した。
「しょうがねぇな、やってやる」
キビは鉄格子の扉を開けて檻の中に入る。
「よっしゃ!これで他のおまわりさんや留置所に入れらた奴らは救われたな!」
「お前そんな事する気だったのかよ」
格子の扉を閉めて、ジャケットを脱ぐ二人。
「お!今回はジャケット脱いでくれるんか」
「お前の返り血で汚れねぇようにな。お前みたいな色してねぇからな」
オニツノは袖をまくり上げる。
「まだジーナちゃんとの熱が冷めへんねん。さっさとはじめよや!」
「わーったよ、そら、来いよ」
ウキウキで笑みを浮かべるオニツノ。
それから暫くしてコウノが留置所にやってきた。
「キビ先輩!?」
二人はどっちの血か分からない程血だらけになり、オニツノは地面に大の字に倒れていた。
「何してるんですか!?」
「ああ、暇つぶしだ。それよりなんだ」
「え、ああ、えっとオニツノの身元を引き受けに来た方が、上も今回の件は不問にするのようにって」
事態を飲み込めないままだが報告をするコウノ。
「だってよ、タイムアップだな。さっさと立って出ていけよ」
倒れてるオニツノを軽く足先で小突くキビ。
「はあ、はあ、丁度いい、タイミングやな」
フラつきながらもオニツノは立ち上がる。
「ほな、お世話になりました。キビはんまた喧嘩しよなぁー。お?おねぇちゃんも強そうやな、今度ワシと喧嘩してくれへんか?」
「警官に言うセリフとは思えませんね。さ、行きますよ」
オニツノはコウノに連れられ外に出る。
「全く先輩もなんであんな事、言い合いにでもなったんですか?」
「はっはっは!そんなんちゃうよ、話すことも特に無かったから暇つぶしに喧嘩しただけや」
「そうですか……まったく、ほら来ましたよ」
彼女たちの前に車が停まる。
「どうもこの度はご迷惑を」
エンドウだ。
「ほな、おつかれさん」
コウノに別れをつげて車に乗り込むオニツノ。
「お疲れ様です、姐さん」
「いやぁー楽しかったのぉ~。あ、そういえば誰がワシを釈放させたんや?」
座席の間から軽く身を乗り出しオニツノはきく。
「ヒメツカさんです、先程連絡がありまして」
その答えをきいてオニツノは後ろに下がる。
「はぁー、やっぱりそうかー。あーめんどうやのー、絶対次あったらグチグチなんか言うてくるわー。だっる!」
「まあ、そう言わずに出してもらったんですから、お礼の一言でも」
「ぜっっっったいに嫌や!!」
オニツノの返しをきいてエンドウはため息をつく。
「姐さん……子どもじゃないんだから」
極めて高い身体能力に加えてこちらの技術を即座に模倣する卓越した戦闘センスに苦戦するジーナ。
そんな闘いの中で彼女はオニツノに渾身の一撃を叩き込む。
空流奥義 【天蓋割り!!】
天蓋割り、側転しその勢いを乗せた黒鉄を体勢を崩した相手の頭部に打ち込むという技。これにより相手は地面と拳に挟撃を受ける形となる。技の難易度もさることながら相手の命すら奪いかねない危険な禁じ手とされている技である。
道場全体が揺れた。
「今のは……!?」
別の部屋でジーナのおばあちゃんとお茶を飲んでいたエンドウが席を立つ。
「ふふふ、じーなちゃん随分とはしゃいでるわね」
「はぁ、はぁ、はぁ……」
技を繰り出した後に距離を取るジーナ。
相当集中力を使ったのか息を切らしている。
(あれ、動かない……もしかして死んじゃった!?やっぱりやり過ぎた!?)
ジーナが焦り始めた瞬間、オニツノがゆっくりと立ち上がった。
「かぁぁぁぁッ!!なんつーエゲつない技や!一瞬三途の川が見えたかと思ったわ!
「うっそ……」
起き上がりそう言うオニツノは頭をさすっている。
どうして立って平然としていられるのか、あの技の直撃を食らったのにとジーナは相手のタフさに茫然していた。
「いやぁ~今のは受け身取らんかったら危なかったで」
両腕をぶんぶんと振るオニツノ。
「なるほど、攻撃を食らう瞬間に腕で頭部の前方と後方を守ったんだ」
「ご名答や、まあ拳を受けた方の腕は今絶賛シビれてる所やけど」
オニツノは明朗快活な笑い声をあげる。
「ああ、アカンわ、ジーナちゃん最高過ぎるでぇ。ワシこない熱くなったんは久しぶりや。お陰で体も温まってきたわ」
そう言ってオニツノは着ていた赤黒いスーツのジャケットを脱いだ。
「さーて、第二ラウンドや。……行くでッッ!!」
ジーナに急接近するオニツノ、ジーナは一瞬遅れて攻撃を繰り出す。
「え?」
「お?」
正面からぶつかる筈の二人の攻撃は止められてしまう。
「はい、そこまで」
二人の腕を掴み攻撃を止めたのはキビ・カオルだった。
「キビさん!?」
「なんや、キビはんやないか!」
二人はキビの顔をみて驚く。
「なんでキビはんがここに?」
「お前が呼んだんだろうが」
そう言われてオニツノは手をぽんッと叩く。
「ああ!さっきの通報で来てくれたんか!いや、まさかキビはんが来るとは思わへんだな!」
「やっぱりお前か。まったく、ほら行くぞ」
キビがオニツノを連れて行こうとする。
「はぁー、なんやもう時間切れかい。もうちょっと喧嘩したかったわー。まあ、しゃーない」
オニツノは脱ぎ捨てたジャケットを拾う。
「ああ、そや。ジーナちゃん」
ジーナに近づくオニツノ。
「ジーナちゃん達が事件を解決してること、小狡い大人達はよー知っとるみたいやで。気をつけるんやな、お友達にも伝えといてな」
そうジーナに告げて、オニツノはキビに振り向く。
「大変おまたせしました、ほな行きましょか!」
「ジーナちゃん怪我の手当しっかりしておくんだよ、それじゃあ」
キビはオニツノに手錠をかける。
「ほなな~、またやろうな~」
手錠を付けられた手を振り彼女は道場からでていった。
「はぁ、あ、どっと疲れた」
オニツノとキビが去っていくのを見届けるとジーナはその場に座り込む。
「お疲れ様です!」
先程のエンドウというオニツノの部下が現れて頭を下げた。
「あらまあ、派手に遊んだのね」
道場のひび割れた床等をみておばあちゃんが笑う。
「申し訳ありません。どうぞこちらをお使いください」
そういって相手はアタッシュケースを取り出す。
「まず修理代に500万、迷惑料でもう500万です」
彼女はジーナとおばあちゃんの前に綺麗な布を敷き、その上に札束を置き始めた。
「い、いや!貰えないですそんな!」
「ご安心下さい、こちら全て綺麗なお金ですから。お二人が面倒事に巻き込まれる事はありません。それでは自分たちはこれで、すみません」
深々とお辞儀してエンドウ達は早々に立ち去っていく。
「な、なんだったんだろう……あ!パーティの料理!今何時!?」
飛び上がって、キッチンに向かうジーナ。
キッチンには下ごしらえが済んだ食材が並んでいた。
「え?おばあちゃんやった?」
「いいや、さっきのエンドウってお姉さんがやってくれてたよ」
(う、私より手際良いかも……)
その下ごしらえをみるだけで相手の腕前が伺える。
「とりあえずちゃっちゃと作らないと!」
気を取り直して料理を始めるジーナだった。
料理を終えたあたりでシャーロット達が彼女の家にやってきた。
「おじゃま」
「お、おじゃまします!」
「本日は御呼びいただき誠にありがとうございます」
ユキチカ、シャーロット、ウルルが挨拶をする。
「いらっしゃい、シャーロットちゃんにはお帰りになるわね。今日からよろしくね~」
おばあちゃんがシャーロット達を招き入れる。
集まったみんなの中心には様々な料理が並べられていた。
「よし!それじゃあシャロの歓迎会始めるよ!いっぱいご飯作ったから遠慮せずに食べてね!今回は洋食にも挑戦したよ!」
「おおー!めっちゃ豪華!」
「すごいですね!これだけの量を!」
「あ、ありがとうジーナ!」
みんなで手を合わせる。
「いただきます!」
思い思いに料理を取り口に運ぶ。
「ん~~この唐揚げ衣の具合、噛んだ時の衣の音をずっと聞いていたくなるほどです!お肉もジューシーですね」
ウルルが唐揚げを口にいれて幸せそうに感想を言う。
「ありがとう!……ってあれ?」
「え、ウルルちゃんご飯食べられるの!?」
ジーナとシャーロットが驚く。
アンドロイドであるシャーロットが平然と食事をしている、前までは食べられないからと皆で食事をするときは一歩下がった所にいたのに。
「アップデート!ウルルは食事が出来るようになりました!食べたものは100%エネルギーに変換されるんだよー」
お皿に色々と盛り付けながらユキチカはそういった。
「そ、そうなんだ……」
「それじゃあこれから一緒にご飯食べられるね!あとどういう構造になってるかみせてね!」
ジーナとシャーロットがそう言うとウルルも嬉しそうに笑う。
「ええ、皆さんと食べるご飯とはこんなにも素晴らしい物なのですね」
賑やかな食卓を囲み、歓迎会は行われるのであった。
一方その頃、オニツノ・モチは留置所に入っていた。
「ワシにもコーヒー貰えへんか?喉乾いてきたわミルクと砂糖多めでな」
オニツノは随分とくつろいだ様子だ。
「こんな時間にカフェインとったら眠れなくなるだろ、水でも飲んでろ」
缶コーヒーをすすりながらキビが話す。
「子ども扱いせんといてや、ワシはカフェインなんかでどうこうなるタマとちゃうで。というかそれなら何でキビはんは飲んどんねん」
「お前のせいで報告書かかないといけないから。全くどうしてあそこにいたんだ?いや、どうやって知ったんだ?」
質問をするキビ、しかしオニツノはどこかあっけらかんとした感じで。
「なぁ、そんなことより久しぶりに喧嘩しようや。こうやって会えたんやし」
「はあ?なんでだよ」
「ええやんか!!どーせここにいてもやることないし!やろうやー喧嘩しようやー!」
寝っ転がりジタバタと駄々をこねるオニツノ。
「大の大人が駄々をこねるなみっともねぇ」
「いややー!キビはんと喧嘩したいー!」
呆れた様子のキビは頭を横に降る。
飲み干した缶の上下を両手で挟みこみ、潰した。
「しょうがねぇな、やってやる」
キビは鉄格子の扉を開けて檻の中に入る。
「よっしゃ!これで他のおまわりさんや留置所に入れらた奴らは救われたな!」
「お前そんな事する気だったのかよ」
格子の扉を閉めて、ジャケットを脱ぐ二人。
「お!今回はジャケット脱いでくれるんか」
「お前の返り血で汚れねぇようにな。お前みたいな色してねぇからな」
オニツノは袖をまくり上げる。
「まだジーナちゃんとの熱が冷めへんねん。さっさとはじめよや!」
「わーったよ、そら、来いよ」
ウキウキで笑みを浮かべるオニツノ。
それから暫くしてコウノが留置所にやってきた。
「キビ先輩!?」
二人はどっちの血か分からない程血だらけになり、オニツノは地面に大の字に倒れていた。
「何してるんですか!?」
「ああ、暇つぶしだ。それよりなんだ」
「え、ああ、えっとオニツノの身元を引き受けに来た方が、上も今回の件は不問にするのようにって」
事態を飲み込めないままだが報告をするコウノ。
「だってよ、タイムアップだな。さっさと立って出ていけよ」
倒れてるオニツノを軽く足先で小突くキビ。
「はあ、はあ、丁度いい、タイミングやな」
フラつきながらもオニツノは立ち上がる。
「ほな、お世話になりました。キビはんまた喧嘩しよなぁー。お?おねぇちゃんも強そうやな、今度ワシと喧嘩してくれへんか?」
「警官に言うセリフとは思えませんね。さ、行きますよ」
オニツノはコウノに連れられ外に出る。
「全く先輩もなんであんな事、言い合いにでもなったんですか?」
「はっはっは!そんなんちゃうよ、話すことも特に無かったから暇つぶしに喧嘩しただけや」
「そうですか……まったく、ほら来ましたよ」
彼女たちの前に車が停まる。
「どうもこの度はご迷惑を」
エンドウだ。
「ほな、おつかれさん」
コウノに別れをつげて車に乗り込むオニツノ。
「お疲れ様です、姐さん」
「いやぁー楽しかったのぉ~。あ、そういえば誰がワシを釈放させたんや?」
座席の間から軽く身を乗り出しオニツノはきく。
「ヒメツカさんです、先程連絡がありまして」
その答えをきいてオニツノは後ろに下がる。
「はぁー、やっぱりそうかー。あーめんどうやのー、絶対次あったらグチグチなんか言うてくるわー。だっる!」
「まあ、そう言わずに出してもらったんですから、お礼の一言でも」
「ぜっっっったいに嫌や!!」
オニツノの返しをきいてエンドウはため息をつく。
「姐さん……子どもじゃないんだから」
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