強制ハーレムな世界で元囚人の彼は今日もマイペースです。

きゅりおす

文字の大きさ
上 下
10 / 135
1stフェーズ 始

No.10 シャーロットは不思議めな天才

しおりを挟む
担任のヒトツバシ先生に頼まれ、ユキチカ達はシャーロットという生徒の自宅へ向かう事に。

様々な機械が積み重なって出来た山、その中心に彼女がすむアパートがあった。
そのアパートの地下でユキチカ達は目的のシャーロットという少女に出会う。

「あー、えっと、いらっしゃい。そ、そのシャーロット、です」
あまり人と話すのに慣れていないのか少しどもりながら、シャーロットと名乗る少女は振り向いて挨拶をした。

彼女は綺麗なプラチナブロンドの長髪、大きな銀色の瞳、外に殆ど出ない事が分かる色白の肌に端正な顔立ちと、まるで職人が作り上げた精巧な人形のようだった。
だが本人はそんな事に興味がないのか、髪はボサボサで顔の至る所に黒い汚れがついたままだ。恐らく周囲の機械をいじってた際の油などの汚れだろう。

(うわー、めっちゃ綺麗な人)
ジーナは思わずその容姿に見惚れてしまう。

「どうもー」
ユキチカは手を振ってあいさつをした。


「……」
「……」
「……?」

少しばかりの沈黙が流れる。

(どうしよ!どう話せば良いんだっけ?!考えてた筈なのに全部飛んだ!!)
沈黙に焦りを覚え始め思考がグルグルするシャーロット。

するとカチャカチャと音をたてて、小さいロボットがお茶を運んで来た。
「ヨロシケレバ! オクチニ アエバ!」

そう言ってユキチカとジーナにお茶を運ぶロボットたち。

「ええ!なにこれ!?」
「かわいいね」
ユキチカとジーナがしゃがみ込んでそのロボットをみる。

球体状のロボット、その球体ボディからチューブのような手足が出ている。

「え!ああ!それはね、ころちゃん、私が作ったの!素材からも拘ってねー」
嬉しそうに話し始めるシャーロット。

(ナイスころちゃん!話題ができた!)

(あ、楽しそうに話してくれてる。良かったー)
ジーナも嬉しそうに話すシャーロットをみて少しホッとする。

「外のエンデスもカッコ良かった!これもおもしろい!いいなぁ!」
「へ?ほ、本当?エンデス分かってくれたの超嬉しい!へへへ」
ユキチカが自分の作品たちを絶賛してくれるのでシャーロットは照れる。二人はしばしエンドレスデストロイヤーの神回について語りあっていた。


「あのーシャーロットさんはどうして私達を家に入れてくれたの?」
場の空気がほぐれたと感じたジーナが質問をする。

「ここに来た子たちは顔も見たことないって言ってたから、意外だなーって」
確かに今まで誰もシャーロットを見たことが無かった。もしあったら学校中で噂になるだろう、とんでもない美少女が学校にいると。

「あーっとそれは私が単に人が苦手なだけ、あ!でもあなたたちは違う!」
彼女はそう言ってモニターを切り替える。

「これ!これみてね絶対会いたいって!」
そこには先日アンドロイドと戦っているユキチカ達の映像が流れていた。
 
「えっ、これって」

「この映像入手するのギリギリだったんだよー。これが起きてから10分もしないでデータ完全に消されちゃったからね」
ユキチカの方に振り向くシャーロット。

「ねぇ、ユキチカってさ、機械の体なんだよね?!」
彼女は興奮気味にユキチカに近づく。

「うん、そうだよー」
特に隠すつもりも無く答えるユキチカ。

(まあこれ見られたんじゃバレるよね)
映像には丁度ユキチカの腕が落ちた所が映し出されていた。

「あなたも!アンドロイドを殴り飛ばしてたよね?!相手は戦闘用に改造せされてるのに!あなたも何か仕込んでるの?特殊合金とか!?」

今度はジーナに詰め寄って体に触るシャーロット。

「ひゃっ!な、なに?!」
急に体を触られ間抜けな声が出るジーナ。
どうやらシャーロットは人との距離感が一般的なものとだいぶ違うようだ。

「あなた達には興味が尽きなくて、だからよんだの」
ジーナに顔を近づけて嬉しそうにそう話すシャーロット。

「っ、そうなんだ」
(くぅ、ちょっとドキっとした)
超至近距離でみるシャーロットの顔に落ち着かない様子のジーナ。

「にしてもこの身体どこからどこまでが機械なの?」
シャーロットはまたユキチカの方に目を向けていた。

「全部だよ。カラダとられちゃった」

「え!?凄い100%?!ん?身体盗られたって?」
当然のことを質問するシャーロット。


「……とまぁ、そんな感じでユキチカは自分の身体を探してるんだ」

「うん、このカラダも好きなんだけど前のも大事なんだー。だから探してるの、ジーナとウルルにも手伝ってくれてるんだー!」

「まあまだこれと言って何もしてなけどね」
ユキチカとジーナから簡単に事のなりゆきを聞き、うんうんと頷くシャーロット。

「なるほど、そういうことなんだ。ねえ、それ私も手伝うよ!」
「やったー!」
トントン拍子で話が進み。気付けばシャーロットもユキチカのカラダ探しに協力する事になった。

「え……そんな簡単に?まあでも確かにこの部屋を見る限りめちゃくちゃ心強いとは思うけども」
「だってユキチカの身体に興味あるし!」
「言い方ッ!」

「あ、もちろんジーナの身体にも興味あるよ!」
「だから言い方ッ!!」
また急接近してくるシャーロットにジーナが言う。

「そ、そういえば!何でそんなに機械とか好きなのにウルルちゃん、アンドロイドは入っちゃダメなの?」
ジーナはまた体をまさぐられる前に話題を切り替える。

「それは……ウルティメイト社だから」
急に声のトーンが下がるシャーロット。

「え、それってどういう……」

「なんでシャーロットは学校行かないの?」
ユキチカの質問にジーナが固まる。

(会話ぶった切ってなんて事きいてんのッ!!?)

不登校の、それも初対面の相手におよそ軽々と聞けるものではない。しかし、ユキチカにそんな一般的な感性がある訳も無い。興味があったから質問しただけ、彼にとってはそれくらいのものなのだ。

ジーナ同様に予想外の質問をされて呆気にとられるシャーロット。

「え?あー、えっと、さっき言った通り人が苦手で。学校はテストもちゃんと点数はとってるから、先生も無理しないで良いよって言ってくれるから。ここでずっと作業していたいし、それになんか……もう今更行ってもなぁって、ちょっと行くタイミング逃したとういうか……」

徐々に言葉が弱々しくなっていくシャーロット。

「じゃあいっしょに行こ!」
ユキチカの発言を聞いて頷くジーナ

「うん、そうだね、タイミングって言うなら今がいいタイミングじゃない?転クラしてきたんだし」
ユキチカとジーナがシャーロットを誘う。

「え、いいの?」
「トモダチは一緒に学校行ったりするものってお父さんも言ってた!」
「いいね、家の方向も同じだし、登下校も一緒に出来るね」

「本当?!じゃあ行ってみるよ!学校!」
シャーロットはパッと表情を明るくさせて答える。

「やったー!」
「まあ来てみて、それで改めて判断したら?私達も手伝うし!」

こうしてシャーロットは次から学校に行く事を決めた。


「またねー!」
「じゃあまたね!」
「うん、気を付けて帰ってね」

シャーロットは作業部屋から出て行く二人に向かって手を振る。

「友達かぁ……ユキチカにジーナ、へへへっ」

シャーロットはそう言って嬉しそうに笑った。
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

異世界で穴掘ってます!

KeyBow
ファンタジー
修学旅行中のバスにいた筈が、異世界召喚にバスの全員が突如されてしまう。主人公の聡太が得たスキルは穴掘り。外れスキルとされ、屑の外れ者として抹殺されそうになるもしぶとく生き残り、救ってくれた少女と成り上がって行く。不遇といわれるギフトを駆使して日の目を見ようとする物語

アイテムボックス無双 ~何でも収納! 奥義・首狩りアイテムボックス!~

明治サブ🍆スニーカー大賞【金賞】受賞作家
ファンタジー
※大・大・大どんでん返し回まで投稿済です!! 『第1回 次世代ファンタジーカップ ~最強「進化系ざまぁ」決定戦!』投稿作品。  無限収納機能を持つ『マジックバッグ』が巷にあふれる街で、収納魔法【アイテムボックス】しか使えない主人公・クリスは冒険者たちから無能扱いされ続け、ついに100パーティー目から追放されてしまう。  破れかぶれになって単騎で魔物討伐に向かい、あわや死にかけたところに謎の美しき旅の魔女が現れ、クリスに告げる。 「【アイテムボックス】は最強の魔法なんだよ。儂が使い方を教えてやろう」 【アイテムボックス】で魔物の首を、家屋を、オークの集落を丸ごと収納!? 【アイテムボックス】で道を作り、川を作り、街を作る!? ただの収納魔法と侮るなかれ。知覚できるものなら疫病だろうが敵の軍勢だろうが何だって除去する超能力! 主人公・クリスの成り上がりと「進化系ざまぁ」展開、そして最後に待ち受ける極上のどんでん返しを、とくとご覧あれ! 随所に散りばめられた大小さまざまな伏線を、あなたは見抜けるか!?

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

スライムすら倒せない底辺冒険者の俺、レベルアップしてハーレムを築く(予定)〜ユニークスキル[レベルアップ]を手に入れた俺は最弱魔法で無双する

カツラノエース
ファンタジー
ろくでもない人生を送っていた俺、海乃 哲也は、 23歳にして交通事故で死に、異世界転生をする。 急に異世界に飛ばされた俺、もちろん金は無い。何とか超初級クエストで金を集め武器を買ったが、俺に戦いの才能は無かったらしく、スライムすら倒せずに返り討ちにあってしまう。 完全に戦うということを諦めた俺は危険の無い薬草集めで、何とか金を稼ぎ、ひもじい思いをしながらも生き繋いでいた。 そんな日々を過ごしていると、突然ユニークスキル[レベルアップ]とやらを獲得する。 最初はこの胡散臭過ぎるユニークスキルを疑ったが、薬草集めでレベルが2に上がった俺は、好奇心に負け、ダメ元で再びスライムと戦う。 すると、前までは歯が立たなかったスライムをすんなり倒せてしまう。 どうやら本当にレベルアップしている模様。 「ちょっと待てよ?これなら最強になれるんじゃね?」 最弱魔法しか使う事の出来ない底辺冒険者である俺が、レベルアップで高みを目指す物語。 他サイトにも掲載しています。

俺は善人にはなれない

気衒い
ファンタジー
とある過去を持つ青年が異世界へ。しかし、神様が転生させてくれた訳でも誰かが王城に召喚した訳でもない。気が付いたら、森の中にいたという状況だった。その後、青年は優秀なステータスと珍しい固有スキルを武器に異世界を渡り歩いていく。そして、道中で沢山の者と出会い、様々な経験をした青年の周りにはいつしか多くの仲間達が集っていた。これはそんな青年が異世界で誰も成し得なかった偉業を達成する物語。

知識スキルで異世界らいふ

チョッキリ
ファンタジー
他の異世界の神様のやらかしで死んだ俺は、その神様の紹介で別の異世界に転生する事になった。地球の神様からもらった知識スキルを駆使して、異世界ライフ

異世界召喚に条件を付けたのに、女神様に呼ばれた

りゅう
ファンタジー
 異世界召喚。サラリーマンだって、そんな空想をする。  いや、さすがに大人なので空想する内容も大人だ。少年の心が残っていても、現実社会でもまれた人間はまた別の空想をするのだ。  その日の神岡龍二も、日々の生活から離れ異世界を想像して遊んでいるだけのハズだった。そこには何の問題もないハズだった。だが、そんなお気楽な日々は、この日が最後となってしまった。

レベルを上げて通販で殴る~囮にされて落とし穴に落とされたが大幅レベルアップしてざまぁする。危険な封印ダンジョンも俺にかかればちょろいもんさ~

喰寝丸太
ファンタジー
異世界に転移した山田(やまだ) 無二(むに)はポーターの仕事をして早6年。 おっさんになってからも、冒険者になれずくすぶっていた。 ある日、モンスター無限増殖装置を誤って作動させたパーティは無二を囮にして逃げ出す。 落とし穴にも落とされ絶体絶命の無二。 機転を利かせ助かるも、そこはダンジョンボスの扉の前。 覚悟を決めてボスに挑む無二。 通販能力でからくも勝利する。 そして、ダンジョンコアの魔力を吸出し大幅レベルアップ。 アンデッドには聖水代わりに殺菌剤、光魔法代わりに紫外線ライト。 霧のモンスターには掃除機が大活躍。 異世界モンスターを現代製品の通販で殴る快進撃が始まった。 カクヨム、小説家になろう、アルファポリスに掲載しております。

処理中です...