強制ハーレムな世界で元囚人の彼は今日もマイペースです。

きゅりおす

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1stフェーズ 始

No.6 散歩に出かけるだけで色々と出くわす転校生

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「ケーキ!ケーキ!」
ユキチカは意気揚々と道を進む。
道には他の人はいない、ウルルとユキチカだけ。

「みんな居ないね」
「主にこの時間帯は皆様ご帰宅されていますから。夜更しはお肌にも悪いですし」
「おはだねー」
ユキチカは周囲を見渡しながら歩く。

まだいくつかの店には明かりがついており、まだ店員がいる。
ウルルが言うには彼女らは全てアンドロイドらしい。人間が切り盛りしている店は既に閉まっているようだ。

「あった!あそこ!」
ユキチカが店に指をさす。

一件のケーキ屋があった。

外装はレンガ造りで店内は温かい茶色を基調としたデザイン、店内で食事ができるようにテーブル席も用意されている。

「いらっしゃいませ、鬼丸ユキチカ様」
アンドロイドの店員が一斉に挨拶をする。

「あれ?どっかで会った?」
ユキチカが首を傾げる。
「ああ、こちらの方はユキチカ様の顔をデータベースに照合してお名前を把握してるので」

「へー!ウルルも出来るの?」
「もちろん、可能ですよ」
「すごーい!」
ユキチカからの称賛に少し得意げになるウルル。

「当店は自家栽培した新鮮な食材のみを使用しております。本日のおすすめはこちらの商品です」

「おおー!キレイだね!ウルル!」
ユキチカはそういって食い入るようにガラス張りの冷蔵ケースの中にあるケーキを見つめる。

「ええ、本当にキレイです……」
ウルルも同様にケーキたちに見惚れていた。

真っ白なショートケーキに乗った苺はまるで宝石のように光輝いており、フルーツタルトは色鮮かな果物達が光を反射し幻想的な雰囲気を醸し出している。
初めて目の当たりにする美しい一品にウルルは息を呑んだ。

「ぼくこれと、これ!」
ユキチカが苺がのったショートケーキとチーズケーキを選ぶ。

「ウルルは?何がいい?」
「え?いえ、私は食事を摂りませんので……」
ウルルが断ろうとする。

「いいから!どれが良いと思ったの?」
「どれがですか、えーっと、こちらのタルトが……」
恐る恐る先程まで見惚れていたフルーツタルトに目線を向けるウルル。

「じゃあこれも!」
ユキチカは店員に注文をした。

「ショートケーキ、チーズケーキ、フルーツタルト、以上の3点でよろしいですか」
「お願いしまーす」
ユキチカは頭を下げる。
「今夜は一つだけですよ」
念のためウルルが釘をさす。

「お支払いをお願いいたします」
店員のアンドロイドがそう言うと、ウルルはカウンターに手をかざす。

「お支払が完了しました」


「ケーキ美味しそう!」
外に出たユキチカは振り返りウルルが持つケーキが入った箱を見て笑う。

「ええ、とても良い香りですね。それにしてもどうしてあのお店をご存知だったのですか?他にもケーキが購入できる店は道中にありましたのに」
「この街にくるときに見つけた!いいお店だったねー」

「あれ?!もしかしてユキチカ君?」
二人が歩いていると突然後ろから声をかけられた。

振り返ると明王学園の制服を着た生徒が三人いた。

「丁度よかった!いま友達が困ってて助けてほしいの!お願い!」
「うん、いいよー」
彼は頼みを快く受け入れ、彼女たちについていく。

「あ、ユキチカ様!」
ウルルも慌ててその後ろを追いかける。

(クラスメイト様の中には緊張して顔を見ることすらままならない方もいらっしゃったのに、随分フレンドリーな方々ですね。それにこの時間帯に外を出歩いてるのはなぜなんでしょうか)

ユキチカの手を引く彼女たちにどこか違和感を覚えるウルル。

(しかしちゃんと生徒リストに名前もある。1つ上の学年、本当にただ友好的な方なのかも)

そう思って3人についていく。


「どこまで行くのー?」
ユキチカが手を引かれながら話す。

「もうすぐだよー」
こっちこっちと女子生徒は彼らを路地裏へと案内する。

そこには建物に囲まれた空き地が。

「お友達ってどこ?」
「いらっしゃらないみたいですか……」
振り向くユキチカとウルル。

3人の女子生徒は空き地から唯一出る為の通路を塞ぐように立っていた。

(まさかっ!)
悪い予感が的中したと察したウルル、ユキチカの前に出る。

「申し訳ございません、鬼丸ユキチカ様。抵抗しなければ手荒な真似は致しません」
相手は先程と打って変わってとても冷たい目で話しかけてきた。

「No.13U223577、あなたも無駄な抵抗はしないこと推奨します」

「っ!どうして私の製造番号を!?」

彼女たちは背後から何かを取り出す。
警棒、それはバチバチッと音を立てた。

「さあ、鬼丸ユキチカ様、こちらに」


「ちょっと待ったー!」
手を伸ばしてきた一人が背後から勢いよく蹴り飛ばされる。

現れたのはカラ・ジーナだった。
「二人共大丈夫!?」
「カラ・ジーナ様?!どうしてこちらに?」
ウルルが尋ねる。

「日課のジョギング、朝できなかったから。で走ってる途中明らかに目立つ人がうちの制服着た三人組に裏路地に連れてかれるのを見つけたの」
ジーナはユキチカの方を見る。

「あ!ジーナ!あれ?学校と服違う」
ユキチカはジーナの服装が昼間見た制服からパーカーとジャージに変わってることに気づく。

「当たり前でしょ!というか何あの人達?」
「助けを求められてついて来たらこのような事に」
ウルルが状況を説明した。

「ふーん、なるほどね。でもその人たちうちの学校の生徒じゃないよ」
ジーナは目の前に立っている三人を指差して言う。

「え!?ですが名簿にはちゃんとデータが……」

「あの人たちみんな制服着てるよね。それもほぼ新品。それは良いよ仲良し同士で新調したのかも知れない……」

鋭い目つきを相手に向けるジーナ。

「でも個人差があるはずの服のシワが、どれもまったく同じ。つまり動きの癖がピッタリ同じってこと。そんなの普通じゃない、あなた達一体何者?」

「確かに衣服にあるシワの箇所が完全に一致しています」
「おー!まったくいっしょだ!」
ウルルとユキチカも相手の衣服を観察してジーナが指摘した箇所に気づく。

相手はバチバチッと電流迸る警棒を構えた。
「カラ・ジーナ、貴女を障害とみなし排除します」

「ふん、やってみなよ」
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