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しおりを挟む私が目覚めて、数日が経った。
医者の許可がおり、今日から、自由に外に出歩けれるようになったので、今日はシエルを誘って城下町にいこうと思う。
ーー私のお小遣いで、シエルを身綺麗に整えてやろう!
そして、家庭環境改善に……!
うひひひ。
うん、私今、絶対悪女の笑みになってるわ。
……まぁ、いっか。
私は鼻歌混じりに、今日の服を選ぶ。
今日の服は城下町に行っても、目立たないような服で、そうだな~……。
結局私は私の瞳の色と同じ水色のワンピースにした。
お次は髪型だ。
やっぱり今回も鼻歌を歌う。
「ふふん、ふふん、かみがったは~♪」
側仕え及び、侍女らには変な顔をされたが、お構い無しだ。
今日という日は、私の最高の思い出になるのだから。
私は主人公とシエルが恋に落ち、結婚したとしても、今日を思い出して、幸せに暮らすのだ。
……別にシエルを恋愛的な意味で好きではないんだけどね。
■■■
トントン
「シエル、居るかしら?」
「の、ノエル様!?ちょっとお待ちください!!」
ガッタンゴットン
……。
……なんかすごい音が聞こえるのだけれど、大丈夫なのかしら…。
今日の私のコーデは、城下町に出ても大丈夫そうなあまり、ヒラヒラやダイアなどの装飾が着いていないワンピースだ。
それに、ハーフアップで、結び目にリボン。
傍から見ても、ちょっと裕福そうな人にしか見えないだろう。
ガッチャ
「ノエル様、如何なさいましたでしょうか?」
ドアが開くと、中からシエルがおずおずと出てきた。
シエルの顔は強ばっていて、少し、泣きそうにも見えた。
……それにしても、敬語に敬称とは僕はあなたの事をこれっぽっちも微塵も1ミクロンも妹とは思っていないから、僕のことなど放っておけということだろうか…?
うむむ。
それはないとは思うけれど、血が繋がっていないとはいえ、仮にも兄になったシエルに敬語や敬称を使われたくない。
よし、城下町への道すがらシエルにやめてと言おう!
「ねぇ、シエル今日空いてる?」
「今日、ですか……。今日は……」
「私、城下町へシエルとお買い物しようと、準備してきたのだけれど……。そう、シエルが無理ならしょうがないわね……」
私はあからさまにしょんぼりと肩を落として残念そうに言う。
こうすれば、誘いに乗ってくれると思ったからだ。
用事があると言いながらも、目が泳いでいたシエル様。
あれで、嘘がバレないとでも思ったのだろうか。
……稀代の悪女の卵である私にはなんにも用事がないことくらいお見通しなんだからね。
「は、あっ!えっと!だ、大丈夫です!」
ふ、かかったな!
稀代の悪女として、鍛え上げた演技力、侮るでない!
ワッハッハー
……。
「そう、良かったわ」
私は心を読まれないよう、顔にキュッと力を入れて、笑顔にならないように気をつけた。
何となく、笑顔を見せると、私の姉であるドルテアにシエルが虐められそうな気がしたからだ。
……姉のドルテアは家族の中でそこまで権力を持っていなかったし、あの性格と見た目だと貴族界の中でもヒエラルキーは底辺だと思ったから、仲良くしてなかったんだよね…。
私は少し、人を値踏みして仲良くしていたことを後悔した。
………まぁ、別にこれからもそうして生きていくんだけどね。
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