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第3章
7.宇宙人革命団 前編
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翌日長い廊下をスタスタと早足で1人の男がいた。
杉道だ。
早朝に呼び出しをくらい何事かと思い頭を悩ませた。
“なにか失態をしただろうか?もしや雀の鉄砲事件のことだろうか?あれは美島と木嶋職員のお陰で解決した。だがあの時俺が率いるチームが何もできずにいたからなぁ。そのことだろうか?”と頭の中で呟いているうちに上司である高知の部屋の扉の前に辿り着いた。
そして扉を3回ノックしその向こう側から「入れ!」と高地の声がし「失礼します!」と言いながらガチャッと開けた杉道。
室内に足を踏み入れた杉道はサッサと椅子にドカッと偉大なオーラを醸し出しながら座っている机を挟んで高知の前に立った。
そしてジッと杉道を無言で見つめている視線に耐えきれず「何用でございましょうか?高知長官」とつい口に出した杉道。
「用がなければ呼び出してはダメなのか?」
「いえそういうわけでは・・・」
相変わらず面倒くさいなぁと心の中で呟きながら少し下を向く。
高知は「まぁよい。お前に言いたいことは2つだ。まず1つは報告が上がった雀の鉄砲事件のことだ。なぜ研究員にロボットを操縦させた?確かにあれは研究者のものかもしれないが奴らは操縦権利を持っていない。しかも操縦者休暇中だったみたいだな」と言って杉道に問いただす。
「そ、それは・・・」
「それは。何だ!」
「勝手に2人が乗りこんだといいますか。ですが勝手とはいえ私の監督不行届に違いはありません。申し訳ないです」
「全くだ」
ため息を付いた高知は「まぁいい。今後は気をつけろ!」と杉道に注意した。
「はい!」
ピンと背筋を伸ばした杉道。
「次に2つ目だが・・・」
高知はスーツの懐からスマホを取り出し少し操作し杉道に映像が映し出されていた画面を見せる。
動画内容はこうだ。
明らかに人間でない者がカメラに向かい話をしておりそれがたった数分で
終了した。
「これは?」
「これはここ1ヶ月配信されていた動画だ。見ての通りこの配信者は宇宙人だ。いまAPEのサイバー対策課が調査しているが不明な回線を使っているためか身元がわからないのだ。だから杉道!お前の部隊が調べろ!」
「し、しかし!」
「これは命令だ!杉道!」
高知は鋭い目つきで杉道を睨みつける。
「は、はぁ」
困った顔になった杉道を見て「俺の命令が聞けぬか!杉道!俺の命令は絶対なのだ!」と喝を入れた高知に戦いた杉道は再度背筋をピンッと伸ばし「りょ、了解!」と敬礼し言った。
「以上だ下がれ!」
「はっ!」
杉道はきれいな回れ右をしスタスタと扉の前で振り向き「失礼します」と言いながら退室した。
「どうしたもんか・・・」
杉道は長い廊下を腕を組み悩み小言を言いながら歩くのであった。
美島は少し急いでいた。
何故か。それはAPEの本部である日本基地内の食堂限定である定食をゲットするためとそこで木嶋と会う約束時間に少し過ぎたためである。
しゃぶしゃぶ店にて3人で食事をしそしてその場で御開したあと少し酔いを冷まし「大丈夫です!1人で帰れます」とタクシーに乗って帰りその場を去る木嶋を見どどけた美島は「このあと女子会する?」と絢子に誘われた。
「女子会しちゃおっか!」
美島と絢子はいつものお店に向かうため徒歩で向かった。
辿り着き店に入り女子会を始める。
「絶対に詠美から告んなさいよ!」
まぁた言ってるよと心の中で呟いた美島。
「そうだね。今度会う約束して告っちゃおうかな・・・」
お酒の影響かいつになく積極的な発言しちょっとしてハッと今言った事に恥り赤面した美島にかなり酔っ払ってる絢子が「そうだそうだ。告っちゃえ」と煽ってきた。
美島は手を振って「ちょっ!今言ったこと撤回撤回!私ったら何言ってんだろ?酔ってるからかな?」と言った。
そして1時間後絢子が泥酔したため女子会は御開になった。
タクシーで絢子の家に向かい辿り着き、泥酔状態の絢子をベットに寝かした。
美島も自身の家に帰宅するため再度タクシーに乗り自宅に向かった。
自宅に入りそのままベットにスマホを持ったまま横たわり画面を見た。
それには木嶋にメッセージを送れる画面になっており美島は“木嶋さんお話したいことがあるので今度お会いできませんか?”と打ったはいいが送信するのに躊躇する。
その時1回クシャミをする美島。
その反動で親指で送信ボタンをタップしてしまいそれに気づいた美島はヤベッと思い削除しようとするが時すでに遅し。
既読がつき木嶋から“いいですよ。では2日後APEの食堂ではどうでしょうか?”と返信があった。
なぜAPEの食堂?と疑問に思いつつも限定メニューがあるからいいか!とスマホをいじる。
“いいですよ!じゃ12時30分に食堂にて”と打ち送信する美島は満面の笑みを浮かびながら目をつぶり就寝するのであった。
そして現在に至る。
息を切らしながら食堂に辿り着いた美島は数人待っている列をまず無視し席の方に視線をやる。
すると食堂の片隅の席に木嶋が座っていることに気づく。
「木嶋さん!お待たせしてすみません」
「あっ美島さん!いえいえ僕もいま来たとこです。さ!まだ人数が少ないうちに並びましょう」
「あ、はい!」
木嶋は椅子から立ち上がり美島と一緒に列に並ぶ。
この間に告白することなく美島は木嶋を少しチラ見した。
「美島さん。限定定食楽しみですね」
「そうですね!初めてなんですよ限定定食」
他愛の無い話をし数分後美島達は食堂限定を2つ頼みゲットし先程いた席に戻り食す。
「美味しいですこれ!」
「うますぎです!」
かなりの勢いで食した2人はお茶を飲む。
「ごちそうさまでした。で?美島さんお話というのは?」
「あ、そうでした。でもここじゃあれなんで・・・」
「よし外に出ましょう!」
食器がのったお盆を両手で持ち返却口に置き食堂を出た2人はAPEの中庭に向かった。
緑が盛んな中庭の真ん中で2人は立ち、美島は少し照れながら口を開く。
「木嶋さん!あのえっと・・・」
「どうしましたか?美島さん」
美島の脳内では絢子の告んなさいよと言葉が過った。
いざ告白しようともかなりの緊張でできない美島は“しっかりしろ!私!”と心中で喝を入れた。
「木嶋さん!わ、わたしゅとつ、付き合ってくだたぁい!」
噛みながらやっとの思いで告白した美島。
「美島さん・・・。すみません」
「えっ」
“もしかして私フラレた?”と思い少し涙目になった美島をよそに木嶋はジッと見つめながら答えた。
「本当は男の僕から告白しなくちゃいけないんです。なのに美島さんから告白された。ありがとうございます。これから美島さんの彼氏としてよろしくお願いします」
美島の脳内は“え?私振られたんじゃないの?えっ?どゆこと?”と今パニックに陥っていた。
「えぇと・・・木嶋さん?それってつまりOKって事ですか?」
「はい!もちろんです!」
美島は安堵したのか全身の力が抜け膝が地面とキスしかけたので木嶋が無言で支える。
「もう!木嶋さんったら!ビックリしたじゃないですかぁ!」
「すみません。少し驚かせてしまいましたね」
「ホントですよ!」
美島は哀から喜に変わり満面の笑みを浮かべる。
「木嶋さん。あとひとついいですか?」
「何でしょうか?」
木嶋の顔に自身の顔を近づけた美島は続ける。
「あ、あの図々しいかもしれませんが、か、彼女になったのでた、拓哉って読んでいいですか?」
「あ、いいですよ。じゃ僕も詠美って呼びますし今から敬語禁止ってことで!」
「いいですね。じゃなかった。いいね。拓哉!」
赤面顔の2人は少し照れながら笑みを浮かべお互いの顔をジッと見つめ唇を重ねようとしたその時だった。
ウゥゥンとそこら中にサイレン音が鳴り響き、美島・木嶋の両名は驚いたと同時にその音を鳴り響かせたスピーカーから焦りまくっている杉道の声が鳴り響く。
「総員に告ぐ!3隻の謎の浮遊船が接近中!全体員警戒態勢には入れ!これは訓練ではない!繰り返す!これは訓練ではない!」
スピカー越しに聞こえる杉道の焦り声が周辺にいた隊員たちを不安がらせる。
「拓哉!」
「うん!早く行った方がいいよ詠美!」
「うん!ちょっと行ってくるよ!」
美島は急ぎ足で杉道の元へ向かう。
彼女を見送る木嶋は白衣のポケットに入っているバイブ音によって揺れていたスマホを手に取り画面を見ると溜息を漏らす。
何故か、それは発信者が上司である清見だったからである。
画面をタップし電話に出る木嶋。
「もしもし、木嶋ですが」
「木嶋か!今どこにいる?」
「今APEの中庭ですが・・・」
「そうか!今すぐ研究室に戻れ!与太郎の警告でてんやわんやなんだ!だからいまあすぐ戻れ!」
清見のどこか疲れ声の清見の周りの声が漏れ本当にてんやわんやなんだと思い「了解。今行きます」と答え電話を切り後ろを振り向き急ぎ足でラボに向かった。
美島はAPEの監視室に辿り着き中に入る。
モニターに向かって渋い顔をしていた杉道がそこにはいた。
「隊長!」
「おう、美島か。これを見てみろ」
何です?」
美島は杉道に近づき視線を追いかなりデカメのモニター画面を見る。
するとそこには衝撃のものが映っていた。
映っていたのは三隻の宙に浮かんでいる船がAPE本部に向かって来ているではないか。
「なぜ船が浮いてこちらに向かったいるんですか!」
「それはわからないが言えることは我々の味方ではないってことだ」
「なぜそれが分かるんです?」
「うん?それは・・・」
杉道が美島の問にとした時浮遊中の船から砲弾らしきものがこちらに放たれてきた。
だがその砲弾は基地に被弾することなく目の前に落ちた。
そして数分後放たれ落下した弾の1つが爆発しそれに誘発されたかのように残り2つの弾もドカァンと音を鳴り響きかせながら爆発した。
「それ見たことか!あちらさん攻撃をしてきたぞ!」
APE本部の敷地内に砲弾を発射し爆発させた張本人である浮遊船は基地の門を壊しボロボロになった地面に3隻一斉に着陸した。
「マズイぞ!こう簡単に侵入を許すとは・・・」
少し焦り顔の杉道が監視するモニター映像が乱れまくり突如謎の映像に切り替わる。
「やぁAPEの諸君。元気かな?我々は宇宙人革命団だ!以後宜しく」
「宇宙人革命団だと!待てよ。こいつ何処かで」
「隊長!これって隊長から動画で見せてもらった奴じゃありませんか!」
「そうだった!探せと長官からお達しがあったが奴からきてくれるとは。だが人的被害がないとはいえ基地の外を破壊した。許されない事だ」
珍しく憤怒している杉道をよそにモニターに映し出されている謎の宇宙人は続ける。
「我々はこの腐った世界を滅ぼすために集結したのだ。まずは手始めに邪魔な存在の1つである地球防衛軍を我が革命団の手で滅ぼしてやる!ブハハ!じゃそういうことで!」
画面が一面黒くなり監視できなくなった。
「クソッ!ここを滅ぼすだと!ふざけたことを!至急モニター画面を復旧せよ!」
「了解!」
監視モニターを復旧し始める隊員達はPCを使いながら汗水たらしその画面と睨めっこする。
「隊長!モニター画面復旧します」
隊員の一言で全員の視線が中央のモニターに視線を移す。
するとそこには3隻の船の前部分が開ききっておりそこから大勢の人の姿があった。
「拡大してくれ!」
「了解」
中央の船をズームすると先程ハッキングした宇宙人の姿がなく群れを率いている人物はスーツ姿で得意げに両手広げているのであった。
「こいつがリーダーなのか?」
「というより宇宙人革命団と名乗りながら宇宙人姿の奴が1人もいません。どういうことなんでしょう?」
「恐らく言い方があれだが憑依か化けているのではないか?簡単に考えればだが・・・」
神妙な面持ちの杉道は「美島!君はここで待機してくれ!俺は直接奴らと交渉してみようと思ってな」と言った。
「し、しかし隊長だけでは危険ですよ!」
「なぁに心配すんな。何人か連れて行くさ」
少し笑みを浮かべた杉道はモニター室を出た。
暫く美島は中央のモニター画面を凝視し続けていた。モニター画面を凝視し続けていた。
何故か。それは杉道率いる3人のチームが、監視室にいる隊員が別モニターで確認した結果3千人近くの人数が押し寄せてきた宇宙人革命団に対する無茶な行動に走ったからである。
「本当に無茶なことを・・・」
心配する美島は何もできないことに不甲斐なさを感じていたのであった。
つづく
杉道だ。
早朝に呼び出しをくらい何事かと思い頭を悩ませた。
“なにか失態をしただろうか?もしや雀の鉄砲事件のことだろうか?あれは美島と木嶋職員のお陰で解決した。だがあの時俺が率いるチームが何もできずにいたからなぁ。そのことだろうか?”と頭の中で呟いているうちに上司である高知の部屋の扉の前に辿り着いた。
そして扉を3回ノックしその向こう側から「入れ!」と高地の声がし「失礼します!」と言いながらガチャッと開けた杉道。
室内に足を踏み入れた杉道はサッサと椅子にドカッと偉大なオーラを醸し出しながら座っている机を挟んで高知の前に立った。
そしてジッと杉道を無言で見つめている視線に耐えきれず「何用でございましょうか?高知長官」とつい口に出した杉道。
「用がなければ呼び出してはダメなのか?」
「いえそういうわけでは・・・」
相変わらず面倒くさいなぁと心の中で呟きながら少し下を向く。
高知は「まぁよい。お前に言いたいことは2つだ。まず1つは報告が上がった雀の鉄砲事件のことだ。なぜ研究員にロボットを操縦させた?確かにあれは研究者のものかもしれないが奴らは操縦権利を持っていない。しかも操縦者休暇中だったみたいだな」と言って杉道に問いただす。
「そ、それは・・・」
「それは。何だ!」
「勝手に2人が乗りこんだといいますか。ですが勝手とはいえ私の監督不行届に違いはありません。申し訳ないです」
「全くだ」
ため息を付いた高知は「まぁいい。今後は気をつけろ!」と杉道に注意した。
「はい!」
ピンと背筋を伸ばした杉道。
「次に2つ目だが・・・」
高知はスーツの懐からスマホを取り出し少し操作し杉道に映像が映し出されていた画面を見せる。
動画内容はこうだ。
明らかに人間でない者がカメラに向かい話をしておりそれがたった数分で
終了した。
「これは?」
「これはここ1ヶ月配信されていた動画だ。見ての通りこの配信者は宇宙人だ。いまAPEのサイバー対策課が調査しているが不明な回線を使っているためか身元がわからないのだ。だから杉道!お前の部隊が調べろ!」
「し、しかし!」
「これは命令だ!杉道!」
高知は鋭い目つきで杉道を睨みつける。
「は、はぁ」
困った顔になった杉道を見て「俺の命令が聞けぬか!杉道!俺の命令は絶対なのだ!」と喝を入れた高知に戦いた杉道は再度背筋をピンッと伸ばし「りょ、了解!」と敬礼し言った。
「以上だ下がれ!」
「はっ!」
杉道はきれいな回れ右をしスタスタと扉の前で振り向き「失礼します」と言いながら退室した。
「どうしたもんか・・・」
杉道は長い廊下を腕を組み悩み小言を言いながら歩くのであった。
美島は少し急いでいた。
何故か。それはAPEの本部である日本基地内の食堂限定である定食をゲットするためとそこで木嶋と会う約束時間に少し過ぎたためである。
しゃぶしゃぶ店にて3人で食事をしそしてその場で御開したあと少し酔いを冷まし「大丈夫です!1人で帰れます」とタクシーに乗って帰りその場を去る木嶋を見どどけた美島は「このあと女子会する?」と絢子に誘われた。
「女子会しちゃおっか!」
美島と絢子はいつものお店に向かうため徒歩で向かった。
辿り着き店に入り女子会を始める。
「絶対に詠美から告んなさいよ!」
まぁた言ってるよと心の中で呟いた美島。
「そうだね。今度会う約束して告っちゃおうかな・・・」
お酒の影響かいつになく積極的な発言しちょっとしてハッと今言った事に恥り赤面した美島にかなり酔っ払ってる絢子が「そうだそうだ。告っちゃえ」と煽ってきた。
美島は手を振って「ちょっ!今言ったこと撤回撤回!私ったら何言ってんだろ?酔ってるからかな?」と言った。
そして1時間後絢子が泥酔したため女子会は御開になった。
タクシーで絢子の家に向かい辿り着き、泥酔状態の絢子をベットに寝かした。
美島も自身の家に帰宅するため再度タクシーに乗り自宅に向かった。
自宅に入りそのままベットにスマホを持ったまま横たわり画面を見た。
それには木嶋にメッセージを送れる画面になっており美島は“木嶋さんお話したいことがあるので今度お会いできませんか?”と打ったはいいが送信するのに躊躇する。
その時1回クシャミをする美島。
その反動で親指で送信ボタンをタップしてしまいそれに気づいた美島はヤベッと思い削除しようとするが時すでに遅し。
既読がつき木嶋から“いいですよ。では2日後APEの食堂ではどうでしょうか?”と返信があった。
なぜAPEの食堂?と疑問に思いつつも限定メニューがあるからいいか!とスマホをいじる。
“いいですよ!じゃ12時30分に食堂にて”と打ち送信する美島は満面の笑みを浮かびながら目をつぶり就寝するのであった。
そして現在に至る。
息を切らしながら食堂に辿り着いた美島は数人待っている列をまず無視し席の方に視線をやる。
すると食堂の片隅の席に木嶋が座っていることに気づく。
「木嶋さん!お待たせしてすみません」
「あっ美島さん!いえいえ僕もいま来たとこです。さ!まだ人数が少ないうちに並びましょう」
「あ、はい!」
木嶋は椅子から立ち上がり美島と一緒に列に並ぶ。
この間に告白することなく美島は木嶋を少しチラ見した。
「美島さん。限定定食楽しみですね」
「そうですね!初めてなんですよ限定定食」
他愛の無い話をし数分後美島達は食堂限定を2つ頼みゲットし先程いた席に戻り食す。
「美味しいですこれ!」
「うますぎです!」
かなりの勢いで食した2人はお茶を飲む。
「ごちそうさまでした。で?美島さんお話というのは?」
「あ、そうでした。でもここじゃあれなんで・・・」
「よし外に出ましょう!」
食器がのったお盆を両手で持ち返却口に置き食堂を出た2人はAPEの中庭に向かった。
緑が盛んな中庭の真ん中で2人は立ち、美島は少し照れながら口を開く。
「木嶋さん!あのえっと・・・」
「どうしましたか?美島さん」
美島の脳内では絢子の告んなさいよと言葉が過った。
いざ告白しようともかなりの緊張でできない美島は“しっかりしろ!私!”と心中で喝を入れた。
「木嶋さん!わ、わたしゅとつ、付き合ってくだたぁい!」
噛みながらやっとの思いで告白した美島。
「美島さん・・・。すみません」
「えっ」
“もしかして私フラレた?”と思い少し涙目になった美島をよそに木嶋はジッと見つめながら答えた。
「本当は男の僕から告白しなくちゃいけないんです。なのに美島さんから告白された。ありがとうございます。これから美島さんの彼氏としてよろしくお願いします」
美島の脳内は“え?私振られたんじゃないの?えっ?どゆこと?”と今パニックに陥っていた。
「えぇと・・・木嶋さん?それってつまりOKって事ですか?」
「はい!もちろんです!」
美島は安堵したのか全身の力が抜け膝が地面とキスしかけたので木嶋が無言で支える。
「もう!木嶋さんったら!ビックリしたじゃないですかぁ!」
「すみません。少し驚かせてしまいましたね」
「ホントですよ!」
美島は哀から喜に変わり満面の笑みを浮かべる。
「木嶋さん。あとひとついいですか?」
「何でしょうか?」
木嶋の顔に自身の顔を近づけた美島は続ける。
「あ、あの図々しいかもしれませんが、か、彼女になったのでた、拓哉って読んでいいですか?」
「あ、いいですよ。じゃ僕も詠美って呼びますし今から敬語禁止ってことで!」
「いいですね。じゃなかった。いいね。拓哉!」
赤面顔の2人は少し照れながら笑みを浮かべお互いの顔をジッと見つめ唇を重ねようとしたその時だった。
ウゥゥンとそこら中にサイレン音が鳴り響き、美島・木嶋の両名は驚いたと同時にその音を鳴り響かせたスピーカーから焦りまくっている杉道の声が鳴り響く。
「総員に告ぐ!3隻の謎の浮遊船が接近中!全体員警戒態勢には入れ!これは訓練ではない!繰り返す!これは訓練ではない!」
スピカー越しに聞こえる杉道の焦り声が周辺にいた隊員たちを不安がらせる。
「拓哉!」
「うん!早く行った方がいいよ詠美!」
「うん!ちょっと行ってくるよ!」
美島は急ぎ足で杉道の元へ向かう。
彼女を見送る木嶋は白衣のポケットに入っているバイブ音によって揺れていたスマホを手に取り画面を見ると溜息を漏らす。
何故か、それは発信者が上司である清見だったからである。
画面をタップし電話に出る木嶋。
「もしもし、木嶋ですが」
「木嶋か!今どこにいる?」
「今APEの中庭ですが・・・」
「そうか!今すぐ研究室に戻れ!与太郎の警告でてんやわんやなんだ!だからいまあすぐ戻れ!」
清見のどこか疲れ声の清見の周りの声が漏れ本当にてんやわんやなんだと思い「了解。今行きます」と答え電話を切り後ろを振り向き急ぎ足でラボに向かった。
美島はAPEの監視室に辿り着き中に入る。
モニターに向かって渋い顔をしていた杉道がそこにはいた。
「隊長!」
「おう、美島か。これを見てみろ」
何です?」
美島は杉道に近づき視線を追いかなりデカメのモニター画面を見る。
するとそこには衝撃のものが映っていた。
映っていたのは三隻の宙に浮かんでいる船がAPE本部に向かって来ているではないか。
「なぜ船が浮いてこちらに向かったいるんですか!」
「それはわからないが言えることは我々の味方ではないってことだ」
「なぜそれが分かるんです?」
「うん?それは・・・」
杉道が美島の問にとした時浮遊中の船から砲弾らしきものがこちらに放たれてきた。
だがその砲弾は基地に被弾することなく目の前に落ちた。
そして数分後放たれ落下した弾の1つが爆発しそれに誘発されたかのように残り2つの弾もドカァンと音を鳴り響きかせながら爆発した。
「それ見たことか!あちらさん攻撃をしてきたぞ!」
APE本部の敷地内に砲弾を発射し爆発させた張本人である浮遊船は基地の門を壊しボロボロになった地面に3隻一斉に着陸した。
「マズイぞ!こう簡単に侵入を許すとは・・・」
少し焦り顔の杉道が監視するモニター映像が乱れまくり突如謎の映像に切り替わる。
「やぁAPEの諸君。元気かな?我々は宇宙人革命団だ!以後宜しく」
「宇宙人革命団だと!待てよ。こいつ何処かで」
「隊長!これって隊長から動画で見せてもらった奴じゃありませんか!」
「そうだった!探せと長官からお達しがあったが奴からきてくれるとは。だが人的被害がないとはいえ基地の外を破壊した。許されない事だ」
珍しく憤怒している杉道をよそにモニターに映し出されている謎の宇宙人は続ける。
「我々はこの腐った世界を滅ぼすために集結したのだ。まずは手始めに邪魔な存在の1つである地球防衛軍を我が革命団の手で滅ぼしてやる!ブハハ!じゃそういうことで!」
画面が一面黒くなり監視できなくなった。
「クソッ!ここを滅ぼすだと!ふざけたことを!至急モニター画面を復旧せよ!」
「了解!」
監視モニターを復旧し始める隊員達はPCを使いながら汗水たらしその画面と睨めっこする。
「隊長!モニター画面復旧します」
隊員の一言で全員の視線が中央のモニターに視線を移す。
するとそこには3隻の船の前部分が開ききっておりそこから大勢の人の姿があった。
「拡大してくれ!」
「了解」
中央の船をズームすると先程ハッキングした宇宙人の姿がなく群れを率いている人物はスーツ姿で得意げに両手広げているのであった。
「こいつがリーダーなのか?」
「というより宇宙人革命団と名乗りながら宇宙人姿の奴が1人もいません。どういうことなんでしょう?」
「恐らく言い方があれだが憑依か化けているのではないか?簡単に考えればだが・・・」
神妙な面持ちの杉道は「美島!君はここで待機してくれ!俺は直接奴らと交渉してみようと思ってな」と言った。
「し、しかし隊長だけでは危険ですよ!」
「なぁに心配すんな。何人か連れて行くさ」
少し笑みを浮かべた杉道はモニター室を出た。
暫く美島は中央のモニター画面を凝視し続けていた。モニター画面を凝視し続けていた。
何故か。それは杉道率いる3人のチームが、監視室にいる隊員が別モニターで確認した結果3千人近くの人数が押し寄せてきた宇宙人革命団に対する無茶な行動に走ったからである。
「本当に無茶なことを・・・」
心配する美島は何もできないことに不甲斐なさを感じていたのであった。
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