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第2章
5.スズメノテッポウ 前編
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3日後その日が来た。
美島は人気テーマパークの入口にあたる門の前にいた。
いや待たされていたが正解であろう。
そう美島は木嶋を待っていたのだ。
「早く着きすぎたかな?」
腕時計を見て呟いた美島は開園の20分前に着き少し後悔した。
すると5分後「美島さぁん!」と大声で美島を呼ぶ男がいた。
そう木嶋だ。
「木嶋さん!お早いですね」
「美島さんも。楽しみしてましたし美島さんより早く着いておこうと思いまして・・・」
「そうなんですね。私もですよ」
目を合わし笑顔になった2人。
開園まで残り15分、雑談でもしようと思い木嶋は美島に話しかける。
「美島さんは嫌いな食べ物ってありますか?」
「えぇと・・・。私納豆が嫌いでして。両親も納豆が嫌いで家庭では出ない品No.1です」
「えっ!美島さん納豆が嫌いなんですか!僕もです。食感と匂いがダメで・・・」
互いに嫌いな納豆の話題で盛り上がり15分間などあっという間で「開園いたします。ようこそ!」とテーマパークが開園した。
「お、開園しましたね。行きましょうか」
「はい」
後ろをふと振り向くとかなりの行列で驚きながらもテーマパークの係員に木嶋に渡されたチケットを渡しパークのゲートを通る。
「さすが今話題のテーマパーク。平日でも人が多いですね。アトラクションも人が混んでて並んでますねぇ」
「そうですね。でも待ってる間も木嶋さんとお話できるので嬉しいですよ」
「僕も嬉しいですよ。美島さん」
2人は色んなアトラクションに乗り気づけばお昼になっていた。
色んなグッズを買いテーマパーク内で有名なアイスクリームやお菓子を頬張っている2人。
「お昼どうします?」
「パーク内で食べましょうよ。美島さん」
「そうしましょ」
2人は荷物をパーク内にある預かり屋に
買った荷物を預けパーク内でお昼に食べれるお店を探す。
このパーク内は少し変わった料理屋や定食屋、更にジャンクフードまで幅広くあり2人は何を食べようか迷いながら歩く。
「美島さんは何が食べたいですか?」
「うぅん。どうしましょうか。私は・・・」
美島は唸りながらも考えに考えた。
「あ、私はあそこがいいです」
美島が指を指した場所は古びてて老舗感が強い“なんでも定食”という名が書いてある店だった。
「あ、あそこですか・・・」
「なんかあそこ良さげですよ!いきましょ木嶋さん」
美島に手を引かれ「おっと」と言いながら木嶋は美島と共になんでも定食に向かって歩いた。
店についた途端地面がグラグラと揺れ大きな地震が発生した。
数秒だったがかなりの揺れで2人はしゃがんだ。
「大丈夫ですか!美島さん!」
「えぇなんとか」
地震が収まり立ち上がった木嶋は周辺を見回す。
「木嶋さん!けが人とかいそうですか?」
まだしゃがんでいる美島も立ち上がり木嶋に問いかける。
「いやけが人はいないかと思いますが・・・。一応周辺を警戒したほうがいいですね」
「ですね。お昼食べている場合じゃありませんね」
2人は目を合わせ共にけが人がいないかパーク内を再び小走りしながら巡った。
30分後けが人や乗り物が止まり特に観覧車で中に人が幸いにもおらずそれを確認した美島はかなりの空腹で少し疲れていた。
「大丈夫ですか?美島さん」
「あまり大丈夫じゃないです」
「あ、お腹がかなり空いたのですね」
「えぇ、まぁ」
顔を赤くした美島は「木嶋さん!早くなんでも定食にいきましょ!」と言った。
「よし食べましょうか」
2人はスタスタと店の中に入った。
「いらっしゃい」
店に入ると本当にパーク内にあるのかというくらい
古く渋い店主が「空いてる席へどうぞ」と2人に言った。
「木嶋さんここへ座りましょ」
美島は奥のテーブル席を指さし木嶋は「いいですね」と美島をそこまでエスコートし彼女が座るであろう椅子を引いた。
「美島さんどうぞ」
「あ、ありがとうございます」
“木嶋さん超優しいんですけどぉ”と心の中で呟きながら木嶋が引いてくれた椅子に座り彼は美島の向かい側の椅子に座る。
「何します?」
「そうですね・・・」
店の壁にずらりと品名が書かれた札が貼られ2人は長考した。
「私決めました!」
数分間考えた美島が即決し“さすが早いな美島さん”と頭の中で呟いた木嶋。
「よし僕も決めました。すみません」
木嶋は店の従業員を呼んだ。
「はいお決まりですか?」
「えぇと僕はメンチカツ定食を。美島さんは?」
「私は焼きそば定食のご飯中盛りで」
「かしこまりました」
店員は料理を作るであろう店主に「メン定と焼きそば定一丁ずつぅ」と言い「あいよう!」と大声で返事した。
十分後「はいおまちどう様です。メンチカツ定食と焼きそば定食ご飯中盛りです」
「おぉ美味しそう。いただきます」
美島は手を合わし箸を手に取りまず始めに焼きそばの麺を取り口に運ぶ。
木嶋もメンチカツを箸で切りながら口に運び食す。
「美味しいですね」
「えぇここにしてよかったです。さすが美島さんです」
「褒めても何も出ませんよ」
笑って会話しながら食したのはここだけで後は黙食した。
「ごちそうさまでした」
あっという間に食べ終わった2人はごちそうさまをし立ち上がる。
「あ、ここは僕が払います」
「いえいえ私がここに行きたいって言ったので私が払いますよ」
「いやいや」
「じゃここは割り勘にしましょう」
美島が割り勘を提案し合計金額を半分にした金額を美島が支払った。
「美味しかったです。ごちそうさまでした」
「ありがとうぅございますぅ」
礼を言った2人は店を出た。
「美島さんメリーゴーランドに乗りませんか?」
「お!いいですねぇ」
2人はメリーゴーランドがあるエリアに向かった。
「楽しみです」
「僕もですよ」
2人はそこに辿り着いたのはいいもののかなりの行列で少し萎えかけたが木嶋が「どうしましょうか並びます?」と言ったので美島は「はい!楽しみしてましたから」と返事した。
「ですね」
並びかけたその時また地震が発生した。
先程よりも大きく立っていられないほどの地震で並んでいた人々はキャー等叫びながらしゃがんだ。
「さっきよりでかいですね」
「えぇ」
すると揺れるメリーゴーランドの前にしゃがまず立っている女の子が木嶋をジッと見つめているではないか。
「あの娘なんでこんな大きな地震でも立っていられるんだ?」
「えっ?」
美島はボソッと言った木嶋の方に振り向き「どうしましたか?」と尋ねた。
「いやあそこに女の子が・・・」
木嶋はメリーゴーランドの前に立った女子を指さした。
「え?どこにですか?」
「えっ?あそこです」
「その女の子いないですけど・・・」
“僕だけしか見えないのか”と心の中で呟いた木嶋はジッと女の子に見つめ返したその時であった。
メリーゴーランドの周辺が地割れしその直後地面から巨大怪獣が現出した。
「グワァン」
「か、怪獣!」
怪獣に驚いた周囲の人々はキャーと叫びながら逃げる。
「皆さん落ちいついて!ってこの状況で落ち着いいられるわけないか。早く避難してください!」
美島は逃げ惑う人々に声をかける。
木嶋もその人々に美島の真似事で声をかけ先程いた女子にも声をかけようと振り向いたがそこに女の子の姿がなかった。
「あれ?」
「木嶋さん?どうしましたか?」
「いえ大丈夫です。それより早く皆を避難させないと!」
「ですね」
怪獣は四足歩行でズシンズシンと音を立てながらゆっくり12時の方角に進んでいた。
するとそれは観覧車の方に顔を向け歩くのをやめた。
「急に止まった?何をする気だ?」
木嶋は怪獣の背に視線を向けた。
なんと怪獣の背にはメリーゴーランドそのものがのっておりその中の馬等の乗り物がゆっくり回っているではないか。
そしてさらに目を凝らすと少女が白く塗装されている乗り物の馬に乗っていた。
「あの子なんであんな所に?」
「どうかしましたか?木嶋さん?」
「いや・・・」
美島には言えなかった。何故ならもしかしたらあの女の子は宇宙人でもある自分にしか見えないかもしれないし、ましてやここからでは見えにくい。
逃げ惑う人々を避難させた2人は観覧車を見つめた。
中に人はおらず一安心したその矢先、怪獣の背にあるメリーゴーランドが急速回転し始めその体がオレンジ色に輝き口を開けた怪獣は光線を観覧車に向けた吐いた。
光線は観覧車に当たると大爆発しそれは姿形もなくキレイに消え去った。
爆発の風圧で飛ばされそうになった美島を木嶋は彼女の盾になるために前に立った。
風圧が収まると「木嶋さん!大丈夫ですか!」と木嶋の背中に抱きつく。
「えぇ大丈夫ですよ。美島さんこそ無事ですか?」
「はい!」
美島はハッととっさに抱きついた事に気づき少し赤面しながら離れた。
「す、すみません。抱きついてしまい・・・」
「いえ、ご無事で何よりです」
木嶋は美島の方へ振り返りお互い満面の笑顔になり彼女の気持ちは幸せ度マックスである。
「グワァァン」
怪獣の咆哮で美島が感じていた幸せムードがぶっ壊されかなりショックを受けた。
“木嶋さんといい感じだったのに・・・”と心中で呟いたが“今そこに怪獣がいるんだからそんな事言っていられないな”と覚悟を決めた。
怪獣は再びズシンと鳴り響かせながら歩き出した。
数歩歩くと急停止し背中にあるメリーゴーランドの動きも止まった。
怪獣は目を閉じ足を縮め“グゥ”とイビキらしきものを鳴り響かせそして寝た。
「寝た?んですかね?」
「おそらく先程の光線を放った時に力を使いすぎたと考えられます。まぁ僕の勘ですが」
2人は寝ている怪獣をじっと見つめる。
数十分後3台のワゴン車がテーマパーク内に入り美島と木嶋の目の前に停まった。
「美島!無事か!」
ワゴン車の後部座席から降りた杉道がものすごい勢いで美島に近づいてきた。
「はい無事です!隊長!」
杉道は美島の隣りにいた木嶋に視線を移した。
「木嶋研究員もいたか」
「お久しぶりです」
木嶋は杉道に軽く会釈した。
「美島!状況を説明せよ」
美島は怪獣が現出する前に2度地震あったことや怪獣が観覧車を破壊したこと等話した。
木嶋は自分だけしか見えなかった女子の事を話そうとしたがやめた。
「どうした?木嶋研究員」
「いえ!何もありません」
杉道は木嶋がなにか言いたげな顔をしていたが話そうとしないので無理やり引き出そうとはせずそのままにした。
「そうか。よし!あの怪獣の事を色々考えなくてはならないな」
車から降りた杉道以外の隊員はそこに簡易テントを作り出した。
周辺はは夕焼けのオレンジ色に染まりつつあった。
「まだ寝てますね」
「えぇいつ起きるやら」
望遠鏡で怪獣の背中にあるメリゴーランドを覗く木嶋は先程見た女の子が乗っていないことを確認し覗くのをやめた。
その時寝ている怪獣のすぐ近くに先程の女子が立っていた。
“スズメノテッポウをいじめないで!この子は悪くないの”と女子らしい声で木嶋の脳内に語りかけてきた。
「木嶋さん!今女の子の声が脳内でしたんですけど!」
人間である美島にも聞こえた?なぜだ?と疑問に思った木嶋は「あそこに
女子がいるの分かりますか?」と女子がいる方へ指を指す。
「どこですか?あ!あの怪獣の近くに立っている女の子ですか!危ない!あんな所に立って!」
美島がとっさに怪獣の方へ走り木嶋も追いかけるように走った。
「美島さぁん!危ないですよ!」
美島は怪獣の近くに辿り着き女子に話しかける。
「お嬢ちゃんそこにいたら危ないよ。こっちにおいで」
「いや!スズメノテッポウをやっつける気なんでしょ!」
「その人はむやみに怪獣を傷つけたりしないよ」
木嶋はたどり着くや否や女子に美島がそこら辺の隊員とは違う事を話した。
「ホント?」
「本当さ。だからこっちにおいで」
「でもスズメノテッポウが一人ぼっちになっちゃうからいかない」
女子は頑なに底から離れる事を嫌がる。
するとスズメノテッポウなる怪獣は目を開け縮めていた足を伸ばし再度「グアァン」と咆哮し周辺を響かせた。
耳を手で塞いだ美島と木嶋をよそに女子は怪獣スズメノテッポウの方に顔を向ける。
ズシンズシンと先と同じようにゆっくり歩行し今度はジェットコースターのレール方面に向かいそれを足で破壊した。
ガシャンと音を立てながら崩れたレールは地面に落ち怪獣はそれを踏み再び進行を止める。
「また破壊して止まった・・・。あのスズメノテッポウ?でしたっけ、何をしたいんでしょうか?」
「スズメノテッポウはあたしの町を取り戻しに来たんだ」
「あたしの町って?」
女子の方に振り向くと先いたはずの女子がいなくなっているではないか。
「えっ?木嶋さん。あの女の子がいなくなってます!」
木嶋は「何ですって!」と振り向きながらいい再び怪獣の方へ視線を戻す。
「まさかあそこにいるんじゃ!」
とっさに怪獣の背にあるメリーゴーランドに視線を向け双眼鏡で覗くとやはりそれに乗っていた。
「やはり乗っていますね」
「メリーゴーランドにですか?」
美島も双眼鏡で覗くと確かに女子が満面の笑みを浮かべながら乗っていた。
すると杉道が2人に近づく。
「2人ともこっちに来てくれないか?」
「はい」
杉道の後を追った2人は簡易テントにたどり着く。
「あの怪獣を監視し赤外センサーした結果体内の中心つまりんメリーゴーランドの下辺りに丸い物体が確認された。APEの研究ラボみたく正確ではないが・・・」
「その丸い物体とはなんですか?」
「臆測で物事は言えないがおそらくあの怪獣の核ではないだろうか?どう思う?木嶋研究員」
「そうですね・・・。確かにあれだけの光線を出すにはかなりのエネルギーが必要です。もしあれがスズメノテッポウの核だったら・・・」
木嶋がスズメノテッポウと現出した怪獣の名前らしきものを口に出したので杉道が遮った。
「ちょっと待ってくれ木嶋研究員。そのスズメノテッポウとは何だ?」
「あの怪獣のコードネームです」
美島がとっさにスマホを取り出しスズメノテッポウと検索した。
「今調べているんですがスズメノテッポウって小型の草体植物らしく遊戯、楽しい時間という花言葉があるらしいです」
「よし!以後あの怪獣を雀の鉄砲と呼称する!」
「隊長!雀の鉄砲が停止しました!」
スズメノテッポウを監視していた隊員が杉道に言った。
また止まったのかと2人は簡易テントから出た。
するとテーマパークの敷地外つまり門の向こう側からズンズンと地鳴りを立てながら何かがこちらに進んでいるではないか。
それこの物語の冒頭に現出したロボットであった。
「なんであのロボットがここに?」
「APEの研究員の間で広まっていた噂は本当だったのか!」
「噂?」
「えぇ上層部が研究員のごく一部がロボットをAPE用にカスタムしたとか。その噂が美島さんがロボットを
制御不能にした後日に広まったんです」
木嶋は研究内に広まっていた噂を美島に明かす。
「APE用にカスタムしたってことはじゃあのロボット今は味方ってことなんですか?」
「そう解釈してもいいと思います」
ロボットはテーマパークの門まで辿り着き跨ぎスズメノテッポウの方へ進行する。
ロボットは停止したままのスズメノテッポウに辿り着きこちらも停止した。
スズメノテッポウは視線をロボットの方に向けるため重たそうな体をそれに向け「グワァァン」と今までにないほどの音量で咆哮した。
ズシンズシンとスズメノテッポウに向かいながら歩き手を振りかぶり拳を作り上げ振り下ろす。
振り下ろした拳はスズメノテッポウの顔面にヒットした。
「グワァァン」
少し怯んだその怪獣は180度向きを変え尻尾を勢いよく振りロボットに当てる。
ロボットはふらつくが体制を立て直し今度は尻尾を両手で掴みそれを後ろに後退させる。
踏ん張っているスズメノテッポウは「グワァァン」と咆哮しながら前に進もうとするがロボットの握力が非常に強くなぎ払うことすらできない状態に陥っていた。
だがスズメノテッポウも尻尾を掴まれるだけでは終わらなかった。
スズメノテッポウは背のメリーゴーランドを高速回転させ尻尾を赤く発光させ光弾を放った。
その光弾はロボットに当たりそれはしっかり握っていた手を離してしまった。
ロボットに尻尾を掴まれていたスズメノテッポウは自由になり再度体ごとロボットに向け回っているメリーゴーランドを更に高速回転させた。
すると体を紅色に発光させるや否やスズメノテッポウの体が丸くなり紅色の球体になった。
「何が起きているんだ?」
スズメノテッポウとロボットの戦闘を一部始終見ていた美島と木嶋は紅色に発行している球体に驚きを隠さずにいた。
あの巨体がかなりでかい球体になりこの後どうなるのか期待ではなく不安が募った2人。
杉道の命令で球体を懐中電灯で照らす隊員達。
ロボットも停止したまま中に操縦者がいたかと考えていたがAPEの研究員が最新のAIを搭載していたことが発覚し木嶋は感心したのであった。
つづく
美島は人気テーマパークの入口にあたる門の前にいた。
いや待たされていたが正解であろう。
そう美島は木嶋を待っていたのだ。
「早く着きすぎたかな?」
腕時計を見て呟いた美島は開園の20分前に着き少し後悔した。
すると5分後「美島さぁん!」と大声で美島を呼ぶ男がいた。
そう木嶋だ。
「木嶋さん!お早いですね」
「美島さんも。楽しみしてましたし美島さんより早く着いておこうと思いまして・・・」
「そうなんですね。私もですよ」
目を合わし笑顔になった2人。
開園まで残り15分、雑談でもしようと思い木嶋は美島に話しかける。
「美島さんは嫌いな食べ物ってありますか?」
「えぇと・・・。私納豆が嫌いでして。両親も納豆が嫌いで家庭では出ない品No.1です」
「えっ!美島さん納豆が嫌いなんですか!僕もです。食感と匂いがダメで・・・」
互いに嫌いな納豆の話題で盛り上がり15分間などあっという間で「開園いたします。ようこそ!」とテーマパークが開園した。
「お、開園しましたね。行きましょうか」
「はい」
後ろをふと振り向くとかなりの行列で驚きながらもテーマパークの係員に木嶋に渡されたチケットを渡しパークのゲートを通る。
「さすが今話題のテーマパーク。平日でも人が多いですね。アトラクションも人が混んでて並んでますねぇ」
「そうですね。でも待ってる間も木嶋さんとお話できるので嬉しいですよ」
「僕も嬉しいですよ。美島さん」
2人は色んなアトラクションに乗り気づけばお昼になっていた。
色んなグッズを買いテーマパーク内で有名なアイスクリームやお菓子を頬張っている2人。
「お昼どうします?」
「パーク内で食べましょうよ。美島さん」
「そうしましょ」
2人は荷物をパーク内にある預かり屋に
買った荷物を預けパーク内でお昼に食べれるお店を探す。
このパーク内は少し変わった料理屋や定食屋、更にジャンクフードまで幅広くあり2人は何を食べようか迷いながら歩く。
「美島さんは何が食べたいですか?」
「うぅん。どうしましょうか。私は・・・」
美島は唸りながらも考えに考えた。
「あ、私はあそこがいいです」
美島が指を指した場所は古びてて老舗感が強い“なんでも定食”という名が書いてある店だった。
「あ、あそこですか・・・」
「なんかあそこ良さげですよ!いきましょ木嶋さん」
美島に手を引かれ「おっと」と言いながら木嶋は美島と共になんでも定食に向かって歩いた。
店についた途端地面がグラグラと揺れ大きな地震が発生した。
数秒だったがかなりの揺れで2人はしゃがんだ。
「大丈夫ですか!美島さん!」
「えぇなんとか」
地震が収まり立ち上がった木嶋は周辺を見回す。
「木嶋さん!けが人とかいそうですか?」
まだしゃがんでいる美島も立ち上がり木嶋に問いかける。
「いやけが人はいないかと思いますが・・・。一応周辺を警戒したほうがいいですね」
「ですね。お昼食べている場合じゃありませんね」
2人は目を合わせ共にけが人がいないかパーク内を再び小走りしながら巡った。
30分後けが人や乗り物が止まり特に観覧車で中に人が幸いにもおらずそれを確認した美島はかなりの空腹で少し疲れていた。
「大丈夫ですか?美島さん」
「あまり大丈夫じゃないです」
「あ、お腹がかなり空いたのですね」
「えぇ、まぁ」
顔を赤くした美島は「木嶋さん!早くなんでも定食にいきましょ!」と言った。
「よし食べましょうか」
2人はスタスタと店の中に入った。
「いらっしゃい」
店に入ると本当にパーク内にあるのかというくらい
古く渋い店主が「空いてる席へどうぞ」と2人に言った。
「木嶋さんここへ座りましょ」
美島は奥のテーブル席を指さし木嶋は「いいですね」と美島をそこまでエスコートし彼女が座るであろう椅子を引いた。
「美島さんどうぞ」
「あ、ありがとうございます」
“木嶋さん超優しいんですけどぉ”と心の中で呟きながら木嶋が引いてくれた椅子に座り彼は美島の向かい側の椅子に座る。
「何します?」
「そうですね・・・」
店の壁にずらりと品名が書かれた札が貼られ2人は長考した。
「私決めました!」
数分間考えた美島が即決し“さすが早いな美島さん”と頭の中で呟いた木嶋。
「よし僕も決めました。すみません」
木嶋は店の従業員を呼んだ。
「はいお決まりですか?」
「えぇと僕はメンチカツ定食を。美島さんは?」
「私は焼きそば定食のご飯中盛りで」
「かしこまりました」
店員は料理を作るであろう店主に「メン定と焼きそば定一丁ずつぅ」と言い「あいよう!」と大声で返事した。
十分後「はいおまちどう様です。メンチカツ定食と焼きそば定食ご飯中盛りです」
「おぉ美味しそう。いただきます」
美島は手を合わし箸を手に取りまず始めに焼きそばの麺を取り口に運ぶ。
木嶋もメンチカツを箸で切りながら口に運び食す。
「美味しいですね」
「えぇここにしてよかったです。さすが美島さんです」
「褒めても何も出ませんよ」
笑って会話しながら食したのはここだけで後は黙食した。
「ごちそうさまでした」
あっという間に食べ終わった2人はごちそうさまをし立ち上がる。
「あ、ここは僕が払います」
「いえいえ私がここに行きたいって言ったので私が払いますよ」
「いやいや」
「じゃここは割り勘にしましょう」
美島が割り勘を提案し合計金額を半分にした金額を美島が支払った。
「美味しかったです。ごちそうさまでした」
「ありがとうぅございますぅ」
礼を言った2人は店を出た。
「美島さんメリーゴーランドに乗りませんか?」
「お!いいですねぇ」
2人はメリーゴーランドがあるエリアに向かった。
「楽しみです」
「僕もですよ」
2人はそこに辿り着いたのはいいもののかなりの行列で少し萎えかけたが木嶋が「どうしましょうか並びます?」と言ったので美島は「はい!楽しみしてましたから」と返事した。
「ですね」
並びかけたその時また地震が発生した。
先程よりも大きく立っていられないほどの地震で並んでいた人々はキャー等叫びながらしゃがんだ。
「さっきよりでかいですね」
「えぇ」
すると揺れるメリーゴーランドの前にしゃがまず立っている女の子が木嶋をジッと見つめているではないか。
「あの娘なんでこんな大きな地震でも立っていられるんだ?」
「えっ?」
美島はボソッと言った木嶋の方に振り向き「どうしましたか?」と尋ねた。
「いやあそこに女の子が・・・」
木嶋はメリーゴーランドの前に立った女子を指さした。
「え?どこにですか?」
「えっ?あそこです」
「その女の子いないですけど・・・」
“僕だけしか見えないのか”と心の中で呟いた木嶋はジッと女の子に見つめ返したその時であった。
メリーゴーランドの周辺が地割れしその直後地面から巨大怪獣が現出した。
「グワァン」
「か、怪獣!」
怪獣に驚いた周囲の人々はキャーと叫びながら逃げる。
「皆さん落ちいついて!ってこの状況で落ち着いいられるわけないか。早く避難してください!」
美島は逃げ惑う人々に声をかける。
木嶋もその人々に美島の真似事で声をかけ先程いた女子にも声をかけようと振り向いたがそこに女の子の姿がなかった。
「あれ?」
「木嶋さん?どうしましたか?」
「いえ大丈夫です。それより早く皆を避難させないと!」
「ですね」
怪獣は四足歩行でズシンズシンと音を立てながらゆっくり12時の方角に進んでいた。
するとそれは観覧車の方に顔を向け歩くのをやめた。
「急に止まった?何をする気だ?」
木嶋は怪獣の背に視線を向けた。
なんと怪獣の背にはメリーゴーランドそのものがのっておりその中の馬等の乗り物がゆっくり回っているではないか。
そしてさらに目を凝らすと少女が白く塗装されている乗り物の馬に乗っていた。
「あの子なんであんな所に?」
「どうかしましたか?木嶋さん?」
「いや・・・」
美島には言えなかった。何故ならもしかしたらあの女の子は宇宙人でもある自分にしか見えないかもしれないし、ましてやここからでは見えにくい。
逃げ惑う人々を避難させた2人は観覧車を見つめた。
中に人はおらず一安心したその矢先、怪獣の背にあるメリーゴーランドが急速回転し始めその体がオレンジ色に輝き口を開けた怪獣は光線を観覧車に向けた吐いた。
光線は観覧車に当たると大爆発しそれは姿形もなくキレイに消え去った。
爆発の風圧で飛ばされそうになった美島を木嶋は彼女の盾になるために前に立った。
風圧が収まると「木嶋さん!大丈夫ですか!」と木嶋の背中に抱きつく。
「えぇ大丈夫ですよ。美島さんこそ無事ですか?」
「はい!」
美島はハッととっさに抱きついた事に気づき少し赤面しながら離れた。
「す、すみません。抱きついてしまい・・・」
「いえ、ご無事で何よりです」
木嶋は美島の方へ振り返りお互い満面の笑顔になり彼女の気持ちは幸せ度マックスである。
「グワァァン」
怪獣の咆哮で美島が感じていた幸せムードがぶっ壊されかなりショックを受けた。
“木嶋さんといい感じだったのに・・・”と心中で呟いたが“今そこに怪獣がいるんだからそんな事言っていられないな”と覚悟を決めた。
怪獣は再びズシンと鳴り響かせながら歩き出した。
数歩歩くと急停止し背中にあるメリーゴーランドの動きも止まった。
怪獣は目を閉じ足を縮め“グゥ”とイビキらしきものを鳴り響かせそして寝た。
「寝た?んですかね?」
「おそらく先程の光線を放った時に力を使いすぎたと考えられます。まぁ僕の勘ですが」
2人は寝ている怪獣をじっと見つめる。
数十分後3台のワゴン車がテーマパーク内に入り美島と木嶋の目の前に停まった。
「美島!無事か!」
ワゴン車の後部座席から降りた杉道がものすごい勢いで美島に近づいてきた。
「はい無事です!隊長!」
杉道は美島の隣りにいた木嶋に視線を移した。
「木嶋研究員もいたか」
「お久しぶりです」
木嶋は杉道に軽く会釈した。
「美島!状況を説明せよ」
美島は怪獣が現出する前に2度地震あったことや怪獣が観覧車を破壊したこと等話した。
木嶋は自分だけしか見えなかった女子の事を話そうとしたがやめた。
「どうした?木嶋研究員」
「いえ!何もありません」
杉道は木嶋がなにか言いたげな顔をしていたが話そうとしないので無理やり引き出そうとはせずそのままにした。
「そうか。よし!あの怪獣の事を色々考えなくてはならないな」
車から降りた杉道以外の隊員はそこに簡易テントを作り出した。
周辺はは夕焼けのオレンジ色に染まりつつあった。
「まだ寝てますね」
「えぇいつ起きるやら」
望遠鏡で怪獣の背中にあるメリゴーランドを覗く木嶋は先程見た女の子が乗っていないことを確認し覗くのをやめた。
その時寝ている怪獣のすぐ近くに先程の女子が立っていた。
“スズメノテッポウをいじめないで!この子は悪くないの”と女子らしい声で木嶋の脳内に語りかけてきた。
「木嶋さん!今女の子の声が脳内でしたんですけど!」
人間である美島にも聞こえた?なぜだ?と疑問に思った木嶋は「あそこに
女子がいるの分かりますか?」と女子がいる方へ指を指す。
「どこですか?あ!あの怪獣の近くに立っている女の子ですか!危ない!あんな所に立って!」
美島がとっさに怪獣の方へ走り木嶋も追いかけるように走った。
「美島さぁん!危ないですよ!」
美島は怪獣の近くに辿り着き女子に話しかける。
「お嬢ちゃんそこにいたら危ないよ。こっちにおいで」
「いや!スズメノテッポウをやっつける気なんでしょ!」
「その人はむやみに怪獣を傷つけたりしないよ」
木嶋はたどり着くや否や女子に美島がそこら辺の隊員とは違う事を話した。
「ホント?」
「本当さ。だからこっちにおいで」
「でもスズメノテッポウが一人ぼっちになっちゃうからいかない」
女子は頑なに底から離れる事を嫌がる。
するとスズメノテッポウなる怪獣は目を開け縮めていた足を伸ばし再度「グアァン」と咆哮し周辺を響かせた。
耳を手で塞いだ美島と木嶋をよそに女子は怪獣スズメノテッポウの方に顔を向ける。
ズシンズシンと先と同じようにゆっくり歩行し今度はジェットコースターのレール方面に向かいそれを足で破壊した。
ガシャンと音を立てながら崩れたレールは地面に落ち怪獣はそれを踏み再び進行を止める。
「また破壊して止まった・・・。あのスズメノテッポウ?でしたっけ、何をしたいんでしょうか?」
「スズメノテッポウはあたしの町を取り戻しに来たんだ」
「あたしの町って?」
女子の方に振り向くと先いたはずの女子がいなくなっているではないか。
「えっ?木嶋さん。あの女の子がいなくなってます!」
木嶋は「何ですって!」と振り向きながらいい再び怪獣の方へ視線を戻す。
「まさかあそこにいるんじゃ!」
とっさに怪獣の背にあるメリーゴーランドに視線を向け双眼鏡で覗くとやはりそれに乗っていた。
「やはり乗っていますね」
「メリーゴーランドにですか?」
美島も双眼鏡で覗くと確かに女子が満面の笑みを浮かべながら乗っていた。
すると杉道が2人に近づく。
「2人ともこっちに来てくれないか?」
「はい」
杉道の後を追った2人は簡易テントにたどり着く。
「あの怪獣を監視し赤外センサーした結果体内の中心つまりんメリーゴーランドの下辺りに丸い物体が確認された。APEの研究ラボみたく正確ではないが・・・」
「その丸い物体とはなんですか?」
「臆測で物事は言えないがおそらくあの怪獣の核ではないだろうか?どう思う?木嶋研究員」
「そうですね・・・。確かにあれだけの光線を出すにはかなりのエネルギーが必要です。もしあれがスズメノテッポウの核だったら・・・」
木嶋がスズメノテッポウと現出した怪獣の名前らしきものを口に出したので杉道が遮った。
「ちょっと待ってくれ木嶋研究員。そのスズメノテッポウとは何だ?」
「あの怪獣のコードネームです」
美島がとっさにスマホを取り出しスズメノテッポウと検索した。
「今調べているんですがスズメノテッポウって小型の草体植物らしく遊戯、楽しい時間という花言葉があるらしいです」
「よし!以後あの怪獣を雀の鉄砲と呼称する!」
「隊長!雀の鉄砲が停止しました!」
スズメノテッポウを監視していた隊員が杉道に言った。
また止まったのかと2人は簡易テントから出た。
するとテーマパークの敷地外つまり門の向こう側からズンズンと地鳴りを立てながら何かがこちらに進んでいるではないか。
それこの物語の冒頭に現出したロボットであった。
「なんであのロボットがここに?」
「APEの研究員の間で広まっていた噂は本当だったのか!」
「噂?」
「えぇ上層部が研究員のごく一部がロボットをAPE用にカスタムしたとか。その噂が美島さんがロボットを
制御不能にした後日に広まったんです」
木嶋は研究内に広まっていた噂を美島に明かす。
「APE用にカスタムしたってことはじゃあのロボット今は味方ってことなんですか?」
「そう解釈してもいいと思います」
ロボットはテーマパークの門まで辿り着き跨ぎスズメノテッポウの方へ進行する。
ロボットは停止したままのスズメノテッポウに辿り着きこちらも停止した。
スズメノテッポウは視線をロボットの方に向けるため重たそうな体をそれに向け「グワァァン」と今までにないほどの音量で咆哮した。
ズシンズシンとスズメノテッポウに向かいながら歩き手を振りかぶり拳を作り上げ振り下ろす。
振り下ろした拳はスズメノテッポウの顔面にヒットした。
「グワァァン」
少し怯んだその怪獣は180度向きを変え尻尾を勢いよく振りロボットに当てる。
ロボットはふらつくが体制を立て直し今度は尻尾を両手で掴みそれを後ろに後退させる。
踏ん張っているスズメノテッポウは「グワァァン」と咆哮しながら前に進もうとするがロボットの握力が非常に強くなぎ払うことすらできない状態に陥っていた。
だがスズメノテッポウも尻尾を掴まれるだけでは終わらなかった。
スズメノテッポウは背のメリーゴーランドを高速回転させ尻尾を赤く発光させ光弾を放った。
その光弾はロボットに当たりそれはしっかり握っていた手を離してしまった。
ロボットに尻尾を掴まれていたスズメノテッポウは自由になり再度体ごとロボットに向け回っているメリーゴーランドを更に高速回転させた。
すると体を紅色に発光させるや否やスズメノテッポウの体が丸くなり紅色の球体になった。
「何が起きているんだ?」
スズメノテッポウとロボットの戦闘を一部始終見ていた美島と木嶋は紅色に発行している球体に驚きを隠さずにいた。
あの巨体がかなりでかい球体になりこの後どうなるのか期待ではなく不安が募った2人。
杉道の命令で球体を懐中電灯で照らす隊員達。
ロボットも停止したまま中に操縦者がいたかと考えていたがAPEの研究員が最新のAIを搭載していたことが発覚し木嶋は感心したのであった。
つづく
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