冷酷無慈悲なお兄さまに認められたい

桐生桜月姫

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104 わたしとお兄さまは結託する

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「いや、不思議すぎるじゃないか。ここ数年、社交界に一切出てこなかったフィリアザフィロ公爵が社交界に出てくるなんて、さすがの僕でもびっくりしたからねー。」
「愛娘の社交界デビューに同伴しない育て親がどこにいると言うのかしら?」
「あぁ、なるほど。レティシア嬢のためか。」
「そうよ。断じて、そこの青2才のためなんかじゃないわ。」
「………………、」

 フレイアさまが国王陛下に向けて、敬意もへったくれもなさそうに話しているのをはらはらとした気分で見つめていたわたしは、フレイアさまのお言葉を聞きながらだんまりとしているお兄さまに、なおのこと顔色を悪くしてしまった。お兄さまの目の前で、お兄さまのことを『青2才』呼ばわりなど、わたしには到底できまない。というか、わたしが後々怖いことになりそうなのだけれど………。

「はははっ、手厳しい。」
「当たり前じゃないの。そんなことも分からないなんて、陛下もボケたものね。」

 あぁー………、もう消えたい。
 フレイアさまは結構な常識人枠だと思っていたのにも関わらず、実際のところは結構な非常識人枠だったなんて、信じたくない。
 お願いだから、フレイアさま。どうか、国王陛下には最低限の敬意を払ってください!!
 わたしが頭の中で叫び声を上げていると、それとは裏腹に国王陛下のご機嫌はどんどん良くなっていった。

「おっ、言ってくれるね~。今度チェスでもする?」
「いやよ。あなた、絶対に勝たせてくれないもの。」
「はははっ!!」

 ………もう、わたし、帰ってもいいかしら?
 すんっとした顔をしてしまっていたらから、後ろからジェフリーに足を蹴られた。わたしは一瞬だけ彼の方に、不機嫌さ満載の視線を向け、表情を元の微笑みに戻した。ちなみに、目は死んだままだと思う。

「………レティシア、踊るぞ。もう、この馬鹿げた会をさっさと終わりにしよう。」
「………………奇遇ですね。わたしも同じことを考えていました。」

 お兄さまと珍しく意見があったわたしの行動は早かった。ジェフリーと協力して、あっという間に舞踏会形式に会場を変更させ、わたしとお兄さまは舞台の中央でポーズをとって、優雅に踊り始める。

「………意外にうまいな。」
「ありがとう存じます。」

 会話のない兄妹。それでも、最近は、ちょっとだけ、そう、ちょっとだけ、わたしたちは仲良くなれている気がした。

********************

読んでいただきありがとうございます😊😊😊

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