冷酷無慈悲なお兄さまに認められたい

桐生桜月姫

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98 フレイアさまの授業

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「あら、ご機嫌よう。可愛いマイグレックヒェンの女主人さん。今日の装いはとても清楚ね。この白亜のお城のご主人様にピッタリの装いだわ。」
「………ありがとうございます、フィリアザフィロ公爵。」

 フレイアさまの他人行儀な挨拶に一瞬向けれながらも、ずっと微笑みを崩さないわたしは、穏やかな声音ですすっと彼女のそばに寄っていく。

「………フレイアさま、しばらく間ご一緒させていただいても?」
マイグレックヒェン公爵 マイグレックヒェンの青2才はなんて言ったの?」
「………しばらくは構えそうにないから、フレイアさまのところにいるようにって。」
「なら、しばらく一緒に人間観察でもしましょうか。」
「はい!!」

 そう言うと、フレイアさまはたくさんの貴族の見方を実践的に教えてくれた。

「ほら、例えばあそこにいる伯爵家、歴史が長いだけあって常にお金持ちって言われているけれど、娘さん、ドレスと髪型しか整っていないわ。アクセサリーは全てイミテーションだし、靴がダメ。デザインはいいけれど、ドレスみたいに値が張るものじゃないわ。アレは多分、ドレスだけを必死になって見栄えするように買ったのね。」

 フレイアさまに言われた点に注目すると、確かに言われた伯爵家の娘さんはドレスだけ綺麗に新しく仕立てられた流行のもので、靴は見た目こそいいものに見えるが、素材が明らかに良くない。しかも、アクセサリーの類は見るからにガラス細工で、よくあんな物を購入したなと突っ込みたくなるレベルだ。

「お嫁さんも、昔使っていたドレスを縫い直したのがよ~く見れば分かるわ。アレは10年前に流行った西の国の生地でできたドレスだもの。それを無理矢理今の流行りの形に縫い直したのでしょうね。動くたびに、少し違和感が起きるわ。」

 そう言われてお嫁さんの方にも視線を向けたが、こちらはよく分からなかった。そもそも10年前の流行が分からないのだから、仕方がない。流行に関する書類をジェフリーに取り寄せてもらう必要がありそうだ。あぁ、でも、最近はお兄さまがわたしのものを買いたがっている、というか、入手したがっているから、わたしが欲しがっていると知られても問題ない物だし、お兄さまに頼んでみようかしら?
 わたしは他の貴族も観察をしてみて、フレイア様に質問しようと辺りを見回した。

*******************

読んでいただきありがとうございます😊😊😊

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