冷酷無慈悲なお兄さまに認められたい

桐生桜月姫

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84 わたしたちの食後のティータイム

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▫︎◇▫︎

「んー!美味しいわー!!これ、どこのお茶?」
「………うちの領地で少量のみ作られている、特選茶葉を使った紅茶だそうよ。昨日献上されたの。」
「あら、流石公爵の妹ね。最高じゃない。」

 場面は移り変わり、わたしは今フレイアさまに用意したお部屋で、フレイアさまとジェフと一緒に食後のティータイムを楽しんでいる。
 あれからメイド長は、割った本人であるクララにすみれのお皿を持って来させ、わたしの目の前で粉々に砕いて見せた。そして、フレイアさまが泊まるということで急いで色々と手配してくれた。やっぱり持つべきは優秀なメイド達だ。

「ご機嫌だね、レティー。何かいいことあったの?」
「ふふふっ、………クラリー&クララの姉妹の成長が楽しみだなって思ったの。どう?あの子たち、面白い?」

 人差し指を顎に当て、こてんと首を傾げて微笑むと、ジェフはいやらしく意地の悪い笑みを浮かべた。これは彼が面白いおもちゃを与えられた時の特有の反応だ。

「面白いのは面白いよ。でも、まだまだ教育不足。もっと徹底的に扱かなきゃいけないかな。」
「あらあら、かわいそう。」
「命じたレティーには、言われたくないな。」

 肩をすくめた彼を横目に、わたしは紅茶を1口渇いたお口に入れ、紅茶の水面に映る無駄に整った自分の微笑みを眺めた。相変わらず、作り込まれた微笑みだ、と自分のことながら客観的になっていると、ジェフがすっと真面目な表情になった。

「レティー、彼女達は危険だよ。」
「………あら、あなたも気づいていたのね。意外だわ。」
「どういうことなの?ジェフ。私の可愛いレティーが危険に晒されるって。」
「………私の可愛いジェフもね。」
「!!」

 フレイアさまの言葉に便乗すると、ジェフの頬にブワッと朱色が広がった。風邪でもひいたのだろうか。心配だから、医者を呼んだ方が………、いいえ、わたしの魔法を使った方がいいわね。そっちの方が確実に直ぐに良くなる。

「れ、レティー、こ、こここ、これは風邪とかじゃないからっ!!ちょっとだけ、ちょっとだけ落ち着かせて!!」
「? ………分かったわ。」

 慌てたようにブンブン手を振り回すジェフを不思議な心地で眺めていると、フレイアさまのぼそっとした声が聞こえた。

「………レティーも残酷な子ね。」

*******************

読んでいただきありがとうございます😊😊😊

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