冷酷無慈悲なお兄さまに認められたい

桐生桜月姫

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74 お茶会再開

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 ジェフとフレイアさまの後ろに、死にゆく運命に会う人に見える死神が見えた。真っ黒な足のないボロ布を被った骸骨が、大きな禍々しい釜を握って卑下た笑みを浮かべている。
 あんたなんかの好きにはさせてあげない。

「さ、せっかくの久々のお茶会よ。楽しくお茶を飲みましょう。」
「………そうね。」
「なっ、レティー!?」
「ジェフ、時間は有限なの。………ま、死神になんて屈してあげないけど。」

 ジェフは目を見開いてぱちぱちとした後、苦々しい笑みを浮かべた。
 彼はどんなに人があっけなく散っていくかを知っている。
 儚くなるかを知っている。
 だからこそ、文句が言いたい気分なのも分かっている。
 でも、今はまだその時ではないのだ。
 時間は有限。
 今を一生懸命に生きないと勿体無いのだ。
 例えたどり着く場所が光り輝く未来でなくとも、わたしたちは今を生きているのだ。笑わないといけない。必死になって足掻かないといけない。生き残るために奪った命の分だけ頑張らないといけない。
 そう、わたしの、わたしたちの肩にはたくさんのものが乗っている。

「分かったよ、レティー。今はお茶会を楽しもう。それに、レティーの社交界デビューには来てくれるんですよね?」
「えぇ、必ず出席するわ。必ず、ね。」

 社交界デビューには来てくれるということは、少なくとも3ヶ月は猶予があるということだ。
 なら、それまで必死に足掻けばいい。
 まだ3ヶ月もあるのだから。

 わたしたちは他愛もない話に笑って、喜んで、笑って、笑って笑った。
 昨日からわたしは、自分が思っていたよりもずっと精神をすり減らしていたようだ。知らない人に囲まれて、鳥肌の立つ不快な視線に晒されて、心無い言葉に傷つけられた。自分が傷付けた分、傷つれ返された。自業自得だ。因果応報、自分の行いは自分で片付けなくてはならない。世の中の常識だ。

「まぁ、もうこんな時間。今日は帰らないといけないわね。」

 気がつけば周りは美しい茜色に染まっていた。
 真っ白な鈴蘭にもお空の色が写り、周り全てが橙に染まっている。

「!!」
「ふふっ、何を驚いているの?レティーはやっぱり可愛いわね。」
「………じゃあ、わがままを言ってもいい?」
「う~ん、そうねー。」
「………今日はお泊まりして。ちゃんとジェフと2人でおもてなしするから。だからっ、」

 わたしの鼻を、フレイアさまはふぎゅっとつまんだ。

*******************

読んでいただきありがとうございます😊😊😊

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