冷酷無慈悲なお兄さまに認められたい

桐生桜月姫

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73 残酷なフレイアさま

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「ふふふっ、………フレイアさま、もし何かわたしの身に起こっても、無理しないでね?わたし、フレイアさまがお怪我をなさる方が、自分が傷つくよりもずっとずっと苦しいの。だって、フレイアさまが大好きだからっ!」

 フレイアさまの目が、仮面越しに見開かれたのが分かる。彼女は、存外感情が表情に出やすいのだ。だからこそ、駆け引きなくお話しできる。
 お母さま、いつかそう呼びたい。
 大切な大切なわたしの育てのお母さま。

「ーーー可愛いレティー、そのまま真っ直ぐ成長なさい。ジェフと支え合って、どんな困難をもを乗り越えなさい。」
「………フレイア、さま?」
「貴方なら、いいえ、貴方達なら、絶対大丈夫よ。そう、大丈夫、だって私のお墨付きなんだから。」
「「………………………。」」

 わたしは、いいえ、わたしもジェフもふんわりと事もなげに微笑んだフレイアさまに、何も言葉にできない。口の中が、何故か乾いてしまっているのだ。
 彼女は何故かのような、そんな言葉を平然と口にしている。笑い飛ばしたい、冗談はよして、と言いたい。けれど、この空間に流れる空気がそれを許してくれない。真面目で重々しい、威圧を放っている異能者特有の特殊な空気。異能者のわたしですらこうなのだから、異能者でもなんでもないジェフは、もっと辛い状況だろう。そうでなければ、彼が何も口にしない訳がない。
 わたしの護衛としてたくさんの人の死を経験してきた彼が、押し黙ってましまうわけがない。

「………………………ーーーー死ぬおつもりですか?」

 ジェフがたっぷりと時間をかけてやっと放った言葉にも、フレイアさまは微笑みしか返してくださらない。
 おかしい、おかしい、おかしいおかしいおかしいおかしいおかしいおかしいおかしいっ!!
 やめてっ!取らないでっ!
 無情な神はわたしの願いなんか聞き届けてくださらない。
 それどころか、どんどん残酷な事実を突き付け、わたしの大切なものを奪っていく。
 それが次はフレイアさまだって言うの?
 いい加減にしてっ!
 残酷な事実なんてもうたくさんっ!

 戦ってやるわ。
 無茶も無謀も承知で、真っ向から神に挑んでみせる。
 例えそこで、その過程で死に絶えようとも、わたしが失いたくないものを守るために抗ってみせる。
 最後まで戦い抜いてみせる。

 わたしはもう、失わない。

*******************

読んでいただきありがとうございます😊😊😊

今日から
『義弟と継母をいじめ倒したら溺愛ルートに入りました。何故に?』
を始めました。

紹介文は

公爵令嬢たるクラウディア・ローズバードは自分の前に現れた天敵たる天才な義弟と継母を追い出すために、たくさんのクラウディアの思う最高のいじめを仕掛ける。
だが、義弟は地味にずれているクラウディアの意地悪を糧にしてどんどん賢くなり、継母は陰ながら?クラウディアをものすっごく微笑ましく眺めて溺愛してしまう。

「もう!どうしてなのよ!!」

クラウディアが気がつく頃には外堀が全て埋め尽くされ、大変なことに!?

天然混じりの大人びている?少女と、冷たい天才義弟、そして変わり者な継母の家族の行方はいかに!?

です。
よろしくお願いします(๑>◡<๑)
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