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70 わたしは考える
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「もちろんよ。あなたの社交界デビューには必ず参加するわ。大事なレティーの初めてを私が見逃すはずないでしょう?」
「!! ………本当に良いの?」
「えぇ、構わないわ。」
わたしはフレイアさまの言葉に歓喜し、満面の笑みを浮かべた。フレイアさまの表情はマスクによって読めないけれど、口元は嬉しそうに緩んでいた。
わたしはマスクを退けて欲しいと思っているけれど、フレイアさまはそれを嫌がる。何故なら、首元からも予測できるが、火傷によってフレイアさまのお顔の色が赤みがかって変色してしまっているらしいからだ、わたしはそんなことは気にしないが、フレイアさまは気になるらしい。
『大輪の赤薔薇の女王』とまで言われたフィリアザフィロ公爵家の当主たるフレイアさまの容姿は大変美しいものだったらしい。それは、火傷によって見せてもらえなくなったとしても、うっとりと語るものがいるほどだそうだ。
「………フレイアさま、お茶にしましょう。今日は特別なローズヒップティーが手に入ったの!」
「あら、それはとても楽しみね。」
首を傾げながら口元を綻ばせた彼女のマスクは、深い緑色に金糸で複雑な刺繍の施されたものだ。そして、彼女の火事の際に亡くなった旦那さまは深い緑色の髪に黄金の瞳を持った方だったらしい。フレイアさまに惚れ込んで異能で追い出されても脅されても、ずっとアプローチし続けてやっとフレイアさまを落としたその男性は、今も無くなってなおフレイアさまのお心を射止めている。
「レティー、どうかしたの?考え事?」
「………うん、マスクの色について。」
「旦那さまの色よ。素敵でしょう?」
幸せそうに瞳を細めた彼女に、わたしは羨ましくなった。死んでなおフレイアさまの旦那さまは忘れられていない。死を悲しんでもらって、その上忘れないようにとその色を纏ってくれる人がいる。わたしが死んでそういうふうにしてくれる人がいるだろうか。わたしを忘れないでくれる人がいるだろうか。
「レティー?」
「ううん、………もしもお兄さまに殺された時のことを考えてただけ。フレイアさま、そうなったらジェフをお願いします。」
「仲が悪いの?」
「………昨日殺されかけたわ。ジェフはそこそこ酷い怪我を負った。」
わたしの言葉に、フレイアさまは目を見開いた。ジェフの方を一瞬向いてから視線をこちらに戻した。
*******************
読んでいただきありがとうございます😊😊😊
「!! ………本当に良いの?」
「えぇ、構わないわ。」
わたしはフレイアさまの言葉に歓喜し、満面の笑みを浮かべた。フレイアさまの表情はマスクによって読めないけれど、口元は嬉しそうに緩んでいた。
わたしはマスクを退けて欲しいと思っているけれど、フレイアさまはそれを嫌がる。何故なら、首元からも予測できるが、火傷によってフレイアさまのお顔の色が赤みがかって変色してしまっているらしいからだ、わたしはそんなことは気にしないが、フレイアさまは気になるらしい。
『大輪の赤薔薇の女王』とまで言われたフィリアザフィロ公爵家の当主たるフレイアさまの容姿は大変美しいものだったらしい。それは、火傷によって見せてもらえなくなったとしても、うっとりと語るものがいるほどだそうだ。
「………フレイアさま、お茶にしましょう。今日は特別なローズヒップティーが手に入ったの!」
「あら、それはとても楽しみね。」
首を傾げながら口元を綻ばせた彼女のマスクは、深い緑色に金糸で複雑な刺繍の施されたものだ。そして、彼女の火事の際に亡くなった旦那さまは深い緑色の髪に黄金の瞳を持った方だったらしい。フレイアさまに惚れ込んで異能で追い出されても脅されても、ずっとアプローチし続けてやっとフレイアさまを落としたその男性は、今も無くなってなおフレイアさまのお心を射止めている。
「レティー、どうかしたの?考え事?」
「………うん、マスクの色について。」
「旦那さまの色よ。素敵でしょう?」
幸せそうに瞳を細めた彼女に、わたしは羨ましくなった。死んでなおフレイアさまの旦那さまは忘れられていない。死を悲しんでもらって、その上忘れないようにとその色を纏ってくれる人がいる。わたしが死んでそういうふうにしてくれる人がいるだろうか。わたしを忘れないでくれる人がいるだろうか。
「レティー?」
「ううん、………もしもお兄さまに殺された時のことを考えてただけ。フレイアさま、そうなったらジェフをお願いします。」
「仲が悪いの?」
「………昨日殺されかけたわ。ジェフはそこそこ酷い怪我を負った。」
わたしの言葉に、フレイアさまは目を見開いた。ジェフの方を一瞬向いてから視線をこちらに戻した。
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