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23. 書類の花びら
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「……貴方様は、貴方様は全部ご存知なのですか……?」
「…そうね。書類に書かれたこととそこから読み取れることくらいならば知っているわ。」
震えた声で聞いた男爵は、声とは裏腹に真っ直ぐとした視線をわたしに寄越した。
「………あなたがアダムス伯爵に脅されていた、いえ、脅されていることもね。」
わたしは自信満々に、フレイアさまに作り上げられた慈愛の微笑みをベールの下で浮かべた。
「私とレティシアお嬢様はここ数年起こった事件などについてはほとんど暗記して裏をとっています。貴方がパシリをさせられている事を見抜くことくらい難しくはありません。」
ジェフリーは真実を冷たく言い切りながら、わたしの服の裾をツンと僅かに引っ張った。
わたしは彼に視線を向けて僅かに顎を引いた。
お葬式場内の人々は、ほとんど全ての人間が怯えきってお互いにプルプルと目配せを始めた。
まるで逃げる算段を立てるかのように……。
「わたしとジェフリーはこれらの知識を使用して、全面的に兄である次期公爵閣下に仕えようと思っているわ。
……そして、仕えるにあたってまずはマイグレックヒェン内に蔓延る膿を全て摘出しようというふうに考えているわ。……わたしはお父さまの所為で膿が溜まりきっている穢れたマイグレックヒェンをそのままの汚い状態でお兄さま献上する気はないわ。だから、悪いけれど今ここでマイグレックヒェンの膿みになるとわたしが判断した人間には、もれなく全員消えていただくわ。」
だから、わたしはわざわざにこやかに笑って歌うように言葉を遠くまで発する事で、会場内の人々に追い討ちをかけた。
「さぁ!これがその証拠たちよ!!マイグレックヒェンのためにも表沙汰にはしないけれど、お覚悟なさい!!」
わたしは高らかに宣言して、ジェフリーに大量の書類の複製たちを、美しい花々が咲き乱れ、散っているデザインのステンドガラス張りの色とりどりで鮮やか天井に向けて華やかにばら撒かせた。
花びらのように美しく舞う白い紙の書類に、青々とした夏空から降り注いだ光を受けた、ステンドガラスの鮮やかな色が映った。
ちなみに、この書類に至ってもわたしにはいつジェフリーが用意していたのか分からなかった。
本当に出来過ぎた、従者にするにはもったいなすぎる従者だ。
でも、能力の低い、ひとりでは何もできない愚かな小娘であるわたしには手放せない大切な大切な従者さまだ。
……先程は辞めさせようと掛け合ったと言ったけれど、本当は彼がやめたいと言っても辞めさせてあげられないほどにわたしは彼に依存している。
………だからこそ、わたしは怖いのだ。
…彼を失うことが……。
*******************
読んでいただきありがとうございます😊😊😊
「…そうね。書類に書かれたこととそこから読み取れることくらいならば知っているわ。」
震えた声で聞いた男爵は、声とは裏腹に真っ直ぐとした視線をわたしに寄越した。
「………あなたがアダムス伯爵に脅されていた、いえ、脅されていることもね。」
わたしは自信満々に、フレイアさまに作り上げられた慈愛の微笑みをベールの下で浮かべた。
「私とレティシアお嬢様はここ数年起こった事件などについてはほとんど暗記して裏をとっています。貴方がパシリをさせられている事を見抜くことくらい難しくはありません。」
ジェフリーは真実を冷たく言い切りながら、わたしの服の裾をツンと僅かに引っ張った。
わたしは彼に視線を向けて僅かに顎を引いた。
お葬式場内の人々は、ほとんど全ての人間が怯えきってお互いにプルプルと目配せを始めた。
まるで逃げる算段を立てるかのように……。
「わたしとジェフリーはこれらの知識を使用して、全面的に兄である次期公爵閣下に仕えようと思っているわ。
……そして、仕えるにあたってまずはマイグレックヒェン内に蔓延る膿を全て摘出しようというふうに考えているわ。……わたしはお父さまの所為で膿が溜まりきっている穢れたマイグレックヒェンをそのままの汚い状態でお兄さま献上する気はないわ。だから、悪いけれど今ここでマイグレックヒェンの膿みになるとわたしが判断した人間には、もれなく全員消えていただくわ。」
だから、わたしはわざわざにこやかに笑って歌うように言葉を遠くまで発する事で、会場内の人々に追い討ちをかけた。
「さぁ!これがその証拠たちよ!!マイグレックヒェンのためにも表沙汰にはしないけれど、お覚悟なさい!!」
わたしは高らかに宣言して、ジェフリーに大量の書類の複製たちを、美しい花々が咲き乱れ、散っているデザインのステンドガラス張りの色とりどりで鮮やか天井に向けて華やかにばら撒かせた。
花びらのように美しく舞う白い紙の書類に、青々とした夏空から降り注いだ光を受けた、ステンドガラスの鮮やかな色が映った。
ちなみに、この書類に至ってもわたしにはいつジェフリーが用意していたのか分からなかった。
本当に出来過ぎた、従者にするにはもったいなすぎる従者だ。
でも、能力の低い、ひとりでは何もできない愚かな小娘であるわたしには手放せない大切な大切な従者さまだ。
……先程は辞めさせようと掛け合ったと言ったけれど、本当は彼がやめたいと言っても辞めさせてあげられないほどにわたしは彼に依存している。
………だからこそ、わたしは怖いのだ。
…彼を失うことが……。
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読んでいただきありがとうございます😊😊😊
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