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19. わたしはこの場の支配者

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「そ、そんな、ジェ、ジェフリーさまぁー、わた、わたくしわたくしはジェフリー様のことを思って……。」
「2度も同じ事を言わせるな。私とレティシアお嬢様の関係も知らないくせに横槍を入れるな。……最後の警告だ。さっさと失せろ。」

 ジェフリーはけたたましい量の殺気を振り撒きながら、再びわたしの隣に自身の腕を組んで不機嫌を隠さずに美しい姿勢で立った。

 ご機嫌斜めなジェフリーはそっとしておくのが1番いいのに、愚かな少女はぶりっ子のような甘い声音ととろんと上気した表情で未だに擦り寄ろうとしている。

 あぁ、本当に愚かな娘。本当に消される一歩手前なことも理解せずに、わたしのジェフリーに擦り寄るなんて、消してくださいと言っているようなものなのに。

 本当に、称賛に値する神経ね。
 そこだけは褒めて差し上げるわ。

「ジェフリーさまぁ~、助けてくださーい。レティシア様がー、わたくしを物凄く怖ーい表情で睨むんですぅ。ジェフリーさまぁ、ーーっ!?かはっ!!」

 次の瞬間、愚かな少女の身体は首を絞められて宙に浮いていた。
 目にいっぱい涙を溜めてよだれを垂らしながらもがく姿は、本当に醜くて愚かだ。

「……はぁ、ジェフリー、そんななりでも一応は伯爵家の娘よ。流石に殺してはいけないわ。」
「っ!、………それは命令ですか。」
「えぇ、これはいつものお願いではなく、命令よ。」

 ジェフリーはぎゅっとくちびるを結んで少女を無言で投げ飛ばした。

「……せっかく助けてあげたのに………。」

 わたしの呟きはジェフリーへ注目が行っていたことから、誰にも聞かれず、醜い空気でいっぱいの室内の空気に飲み込まれいていった。

「……伯爵、お話しがあるわ。これからのわたしの質問に一切の偽りなく即座に答えなさい。」
「あ、あの、ここで、ですか……?」

 伯爵デブは怯え切って震えたまま恐る恐る聞いた。

「……えぇ、そうよ。なにか文句でもあるのかしら?」
「め、滅相もございません。」
「そう、ならこれからは勝手にお口を開かないでね。わたし、イライラしてなにしちゃうか分からないから。
 ……そこに突っ立ているご令息と夫人も、ね?」
「ひぃ!!」

 わたしは伯爵デブの横で固まっている令息ヒョロガリと夫人を笑顔で睨んだ。
 ………隣からの殺気がわたしが睨みを効かせると同時に増幅したから、おそらくヒョロガリと夫人はジェフリーの殺気に反応したのでしょうね。

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読んでいただきありがとうございます♪♪♪

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