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15. わたしとジェフリーの戦い

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「あ、そ。」
「「…え?」」
「………はぁ…。わたしはあなた方のの知っての通り、レティシア・マイグレックヒェンよ。」

 わたしは不機嫌な様子を一切包み隠さずに言った。
 不機嫌なのは事実だが、これくらいの不機嫌さならば本来のわたしだった簡単に包み隠せる。けれど、わたしはそうしなかった。何故なら、感情の完璧に隠せる8歳児はジェフリーやわたしを除いてそうそういないからだ。
 おそらくここの様子はお兄さま方に観察されている。ならば、ここでは完璧に行動しすぎてはいけない。
 これは、今現在のわたしとジェフの共通認識なはずだ。だから、ジェフは今おそらくわたしを見て困った微笑みを浮かべているのだろう。これはお兄さまたちを欺くための演技であって、決してものすごくご機嫌斜めな主をこの後どうやってフォローしようかと本気で深く考えているわけではないないのだ。ないはずだ。

「……あの、そのガキは誰なのでしょう。」

 お馬鹿な青年ことクイックは、またジェフを、否、ジェフリーをガキ扱いした。

 …………クイッククソ野郎はもっとぐちゃぐちゃにお料理されたいらしいわね。

「…………わたしの従者をまたもやガキ呼ばわりとは本当にいい度胸をしているわね、あなた。
 ……ジェフリー、名乗って差し上げなさい。」
「……ふふ、承知いたしました、お嬢様。
 私、レティシアお嬢様こと、レティシア・マイグレックヒェン公爵令嬢の従者をさせていただいております、ジェフリー・ガルシアと申します。ちなみに、皆さん苗字でお分かりかと思いますが、鬼才の家門、ガルシア侯爵家の三男です。」

 ジェフリーの名乗りに大きなざわめきが起こった。声にならない悲惨な悲鳴も聞こえた気がしたが、気のせいだろう。
 だがまぁ、それも当然のこと。彼は王家を支える我らが三大公爵家に次ぐ家格の侯爵家の中でも公爵家に並ぶほどの才鬼を生み出す気高い家柄の息子なのだから。

「……これで分かったかしら。あなた方が誰に牙を剥いたのかを………。」

 わたしは無表情と絶対零度の声音でアダムス伯爵家の人間に、この会場にいる不愉快な人間どもに、冷たく気高く言い切った。

 わたしは売られた喧嘩は必ず買うし、素敵な贈り物にはちゃんと10倍以上にした贈り物を返す。わたしに剥かれた牙はもう2度と他人に向けられないように精神ごとバキバキに折って砕いてぐちゃぐちゃにして差し上げる。これがわたしのやり方殺し方

 わたしが全ての負の連鎖を断ち切る。
 もう誰にも奪われないように、わたしのように奪われる人間が現れないように。
 悲しみに、苦しみに、憎しみに、憎悪に、かたき討ちに、あだ討ちに、復讐に、辛くて報われない感情に、永遠えいえんという名の永久とわの負の箱庭に囚われることないように……。
 わたしは、レティシア・マイグレックヒェンは、戦い続ける。
 大切なものを失わないために、わたしは戦い続ける。

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読んでいただきありがとうございます♪♪♪♪♪

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