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4. 器用なジェフリー

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「はぁ……、君って人は……。」
「?……何か言った?ジェフ。」
「うんん、なんでもない。」

 ジェフはわたしの右側の、アクアマリンの瞳にかからないように真っ直ぐと切り揃えられた前髪を長い後ろ髪と組み合わせることで複雑に編み込みながらぽつりと呟いた。
 鏡越しでは読み取ることができないジェフの複雑そうな表情を眺めながら、小首を傾げたいのを必死の思いで耐えながら、わたしは話題を転換した。

「………ジェフは本当に器用よね。」
「……まだ、“僕”でいた方がいいの?」
「うん、ダメ?」
「いいよ、今日は特別。」
「……ありがとう。」

 わたしはジェフに表情が見えないのをいいことに視線を落として緩んだ微笑みを浮かべた。

「あら?このお花、枯れてしまっているわね、可哀想に……。」

 わたしは視線を落とした先に1輪の枯れてしまっている鈴蘭を見つけた。
 ジェフも手を1度手を止めて視線を落とした。

「本当だ。新しいお花に変えなくてはいけないね。」
「…………その必要はないわ。」
「レティー?」

 わたしはわたしはが特別な人間であるという最たる証である“魔法”を使用した。
 すると、キラキラとしたわたしの瞳の色と同じ色の結晶が指先から現れて、枯れてしまっていた可哀想な鈴蘭が生き生きと蘇った、否、回復した。

「……ふわぁー!やっぱりレティーの魔法はすごいよ!本当にすごいよ!!」

 ジェフは見なくとも分かるキラキラとした羨望の眼差しをわたしに向けた。

「………そう。」

 わたしにはそうとしか返せない、返すことができない。
 わたしにとって魔法は最も要らないものだからだ。周りの人間がどれほど羨ましがっても、わたしにとっては要らないものだからだ。

「………ねぇジェフ、あなたはわたしが怖くないの…?」
「ふふ、まーた、怖がってるの?
 僕は君が全く怖くないよ。君が異能者だろうがなかろうが、君は君だ。……レティーはレティーなんだよ。だから大丈夫だよ。」
「……そう。」

 わたしは彼が何を言いたいのかを理解して困ったように笑った。こう言ってもらえたのは異能者であるわたしにとってはとてもありがたいく、嬉しいことだ。けれど、本当はジェフはわたしと関わるのは嫌で嫌で辛くて仕方がないのではないか、お父君やフレイヤさまに言われて無理をしてわたしの側にいるのではないか、とどうしてもわたしは思わずにはいられないのだ。わたしは異能者だから、人々に恐れられる異能者なのだから。

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読んでいただきありがとうございます♪♪♪

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