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94 アルフレッドは参戦する
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マリンソフィアは目を見開いた。
「ローレンツ皇国、皇、太子」
幼馴染が特別なのは重々分かっていた。ローレンツ皇国にの皇家に伝手がある時点で、ものすごく重要人物であることはなんとなく予測がついていた。けれど、彼が皇太子であることは、流石にマリンソフィアでも予測ができなかった。
「私の婚約者に対して刃を向けるとは、この国の王太子殿は裸でパレードに出るだけでは済まないくらいに愚か者らしい」
「こ、婚約者!?」
アルフレッドの嘲笑混じりの声に、王太子が素っ頓狂な悲鳴を上げた。
そして、マリンソフィアは仔犬のようにシュンとしたのが可哀想だからという理由で婚約を受けた自分を、睨みつけるように呪った。
まさか求婚を受けた相手たる幼馴染が、大国の皇太子だとは誰も思うまい。
マリンソフィアは狼狽えそうになるのを必死に耐えて、アルフレッドの演技に合わせることにした。それが、最適解である気がするからだ。
「………はあー、そんなことも分からずにわたくしに対して文句を言っていましたの?わたくし、婚約者ができたからあなたの求婚は受けられませんと断ったはずですわよ」
「は!?そんなの言ってないぞ!!」
「言われなくても察するというのが、王太子という職業に必要なことかと存じますが」
(………………ま、まあ、わたくしにも気がつけなかったけれど………)
マリンソフィアは自分の事を棚に上げて、アルフレッドに枝垂れかかる。ふわりと優雅に笑って、マリンソフィアはアルフレッドに相応シク見えるように振る舞う。
「はあー、この国の王太子はどうやらまともな思考すらしていないらしい」
ーーーシャンっ、
アルフレッドが漆黒の剣を抜き、獰猛な笑みを浮かべる。
「国王殿、我が国は場合によっては貴国との交流方法を変えなければならないらしい」
「ひぃっ!!」
「………我が国は、国王の隠居、並びに第1王子と第2王子、そして王妃の処罰を望む。国王には是非ともそこにいる庶子に継いでもらいたく思っている」
マリンソフィアは自分のやりたかったことを全部アルフレッドに取られて不服に思いながらも、自分ではできなかったことを成し遂げてくれたアルフレッドに尊敬の念を抱くのだった。
「わ、分かった!!分かったから、剣を下ろしてくれっ!!」
そして、自分の命を何よりも大事にする国王へは、呆れを通り越して侮蔑の視線を向けてしまった。
*******************
読んでいただきありがとうございます😊😊😊
「ローレンツ皇国、皇、太子」
幼馴染が特別なのは重々分かっていた。ローレンツ皇国にの皇家に伝手がある時点で、ものすごく重要人物であることはなんとなく予測がついていた。けれど、彼が皇太子であることは、流石にマリンソフィアでも予測ができなかった。
「私の婚約者に対して刃を向けるとは、この国の王太子殿は裸でパレードに出るだけでは済まないくらいに愚か者らしい」
「こ、婚約者!?」
アルフレッドの嘲笑混じりの声に、王太子が素っ頓狂な悲鳴を上げた。
そして、マリンソフィアは仔犬のようにシュンとしたのが可哀想だからという理由で婚約を受けた自分を、睨みつけるように呪った。
まさか求婚を受けた相手たる幼馴染が、大国の皇太子だとは誰も思うまい。
マリンソフィアは狼狽えそうになるのを必死に耐えて、アルフレッドの演技に合わせることにした。それが、最適解である気がするからだ。
「………はあー、そんなことも分からずにわたくしに対して文句を言っていましたの?わたくし、婚約者ができたからあなたの求婚は受けられませんと断ったはずですわよ」
「は!?そんなの言ってないぞ!!」
「言われなくても察するというのが、王太子という職業に必要なことかと存じますが」
(………………ま、まあ、わたくしにも気がつけなかったけれど………)
マリンソフィアは自分の事を棚に上げて、アルフレッドに枝垂れかかる。ふわりと優雅に笑って、マリンソフィアはアルフレッドに相応シク見えるように振る舞う。
「はあー、この国の王太子はどうやらまともな思考すらしていないらしい」
ーーーシャンっ、
アルフレッドが漆黒の剣を抜き、獰猛な笑みを浮かべる。
「国王殿、我が国は場合によっては貴国との交流方法を変えなければならないらしい」
「ひぃっ!!」
「………我が国は、国王の隠居、並びに第1王子と第2王子、そして王妃の処罰を望む。国王には是非ともそこにいる庶子に継いでもらいたく思っている」
マリンソフィアは自分のやりたかったことを全部アルフレッドに取られて不服に思いながらも、自分ではできなかったことを成し遂げてくれたアルフレッドに尊敬の念を抱くのだった。
「わ、分かった!!分かったから、剣を下ろしてくれっ!!」
そして、自分の命を何よりも大事にする国王へは、呆れを通り越して侮蔑の視線を向けてしまった。
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