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90 王妃は元名女優
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「まあ、それはさておき、新聞社の件は本当ですわよ。ちなみに、わたくしが今日中に生きて『青薔薇服飾店』に帰られなかった場合にも、送られてしまうようになっていますので、悪しからず」
「………お前は、ずっと王家へと迷惑をかけ続けたという前科を持つお前が、王家を裏切るのですか」
マリンソフィアが歌うようにくるくると指を弄びながら言うと、王妃が信じられないものを見るよいうな顔つきでマリンソフィアのことを見つめた。彼女は自分よりも名女優であるなと思いながら、マリンソフィアはクスッと嘲笑い、王妃に向けて扇子を振りかざす。
「あら、それ、王妃さまがおっしゃいます?他の誰でもない、第2王子殿下が不義の子であるという、国王陛下ならびに王家を裏切った証拠を持っている、あなたさまが」
「っ、」
「第2王子殿下は宰相さま、つまり王弟殿下であらせられるトライ公爵さまとの子ですわよね?当時の状況と現状から考えて、それ以外には到底考えられませんけれど、もしかしなくとも他の方がお父君ですか?まあ、そうなると国外から探してくるしかありませんわね。さすがにわたくしも、そこまでの情報は持ち合わせておりませんわ。異国にいる、国王陛下と同じ、金髪に王家の象徴たるエメラルドの瞳を持った人間の情報だなんて」
今現在、この国の中で王家の象徴たる太陽のような黄金の髪に、エメラルドのような碧眼を持っているのは国王と王弟のみだ。異国へ嫁いだ姫君のことを考えれば、異国の王族の中にいるローレンツ王国の王家の象徴を持った人間が他にいないとは考えにくいが、王妃には基本自国外での自由がない。それは不可能に近いだろう。
「ち、ちがっ、へ、陛下っ!!出鱈目です!!この子はテナートとの婚約破棄でショックを受け、精神が混濁して出鱈目しか言えなくなっているのですわ!!そう、きっとそうですわ!!」
「………見苦しいですわね、王妃。なんなら、証拠でも持ってきましょうか?」
王妃の仮面はすぐにぼろぼろと崩れ落ちてしまった。こんな金切り声のような悲痛な叫びで訴えれば、嘘を言っていることは丸わかりだろうに、それでも王妃は必死なままだ。それもこれも簡単なこと。王妃と宰相の中は昔から噂されていて、そして国王も1度真偽を問うているから。
*******************
読んでいただきありがとうございます😊😊😊
「………お前は、ずっと王家へと迷惑をかけ続けたという前科を持つお前が、王家を裏切るのですか」
マリンソフィアが歌うようにくるくると指を弄びながら言うと、王妃が信じられないものを見るよいうな顔つきでマリンソフィアのことを見つめた。彼女は自分よりも名女優であるなと思いながら、マリンソフィアはクスッと嘲笑い、王妃に向けて扇子を振りかざす。
「あら、それ、王妃さまがおっしゃいます?他の誰でもない、第2王子殿下が不義の子であるという、国王陛下ならびに王家を裏切った証拠を持っている、あなたさまが」
「っ、」
「第2王子殿下は宰相さま、つまり王弟殿下であらせられるトライ公爵さまとの子ですわよね?当時の状況と現状から考えて、それ以外には到底考えられませんけれど、もしかしなくとも他の方がお父君ですか?まあ、そうなると国外から探してくるしかありませんわね。さすがにわたくしも、そこまでの情報は持ち合わせておりませんわ。異国にいる、国王陛下と同じ、金髪に王家の象徴たるエメラルドの瞳を持った人間の情報だなんて」
今現在、この国の中で王家の象徴たる太陽のような黄金の髪に、エメラルドのような碧眼を持っているのは国王と王弟のみだ。異国へ嫁いだ姫君のことを考えれば、異国の王族の中にいるローレンツ王国の王家の象徴を持った人間が他にいないとは考えにくいが、王妃には基本自国外での自由がない。それは不可能に近いだろう。
「ち、ちがっ、へ、陛下っ!!出鱈目です!!この子はテナートとの婚約破棄でショックを受け、精神が混濁して出鱈目しか言えなくなっているのですわ!!そう、きっとそうですわ!!」
「………見苦しいですわね、王妃。なんなら、証拠でも持ってきましょうか?」
王妃の仮面はすぐにぼろぼろと崩れ落ちてしまった。こんな金切り声のような悲痛な叫びで訴えれば、嘘を言っていることは丸わかりだろうに、それでも王妃は必死なままだ。それもこれも簡単なこと。王妃と宰相の中は昔から噂されていて、そして国王も1度真偽を問うているから。
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