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77 決戦の日
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そして、勝負の日はあっという間にきた。その間に、マリンソフィアとアルフレッドの恋は一切進歩することもなく、幼馴染という距離感のままだった。
馬鹿でクズでアホでどうしようもなく悪寒が走る王太子は、ほとんどやっていない公務をほっぽり出して毎日のように『青薔薇服飾店』訪れてきて、マリンソフィアをイライラとさせた。ある意味天才な彼は、ある時から従業員一同によって勝手に出禁となっていた。ちなみに、権力を使ってどうにかしようとした彼は、マリンソフィアの不興を買って、彼女より正式に出禁を食らった。
だが、それでも諦めないのが馬鹿で実直ということしか取り柄がないと言っても過言ではない王太子の、ある意味素晴らしくいいところなのかもしれない。出禁を食らってからは、毎日20枚にも及ぶ恋文が届くようになった。ちなみに、それはマリンソフィアの目に届く前に、アルフレッドによってズタボロに引き裂かれ、油に漬けられた後で暖炉で燃やされることになった。
「………それじゃあ、あの馬鹿王太子を裸の王子さまにしに行くわよ」
「「………はい」」
嫌悪感たっぷりなマリンソフィアの声に合わせて、クラリッサとおチビちゃんの疲れ切った返事が返ってくる。
「あらあらクラリッサに、おチビちゃん、だいぶお疲れね。わたくしたちがこれからやることは歴史に名を残すのだから、もっと胸を張らなくっちゃ」
「………もうあの馬鹿殿の顔すら見たくないのですが………………」
「うちもー、もうあの気色悪い男のご尊顔なんか眺めとうないわー」
基本明るくてなんでも楽しんでいるおチビちゃんすらも、1ヶ月も馬鹿でクズでクソでアホで救いようのない王太子の相手をすれば、うんざりとしてしまう。それどころか、最近は王太子に関わる事案が耳に入ったり。目に見えたりするだけで、殺気立ってしまう始末だ。
マリンソフィアは思いっきり苦笑してから、心を一気に入れ替える。
「………わたくしも、あの男に触れたくないけれど、今日は今までの成果を発表する日なのよ。しっかりやらなくちゃならないわ。
さあ!職人、そして女優魂を見せてやろうじゃないの!!」
「「はい!!」」
マリンソフィアを筆頭とした『青薔薇服飾店』の最精鋭は、一気に表情を改めて敵地に向かうのだった。
*******************
読んでいただきありがとうございます😊😊😊
そして、勝負の日はあっという間にきた。その間に、マリンソフィアとアルフレッドの恋は一切進歩することもなく、幼馴染という距離感のままだった。
馬鹿でクズでアホでどうしようもなく悪寒が走る王太子は、ほとんどやっていない公務をほっぽり出して毎日のように『青薔薇服飾店』訪れてきて、マリンソフィアをイライラとさせた。ある意味天才な彼は、ある時から従業員一同によって勝手に出禁となっていた。ちなみに、権力を使ってどうにかしようとした彼は、マリンソフィアの不興を買って、彼女より正式に出禁を食らった。
だが、それでも諦めないのが馬鹿で実直ということしか取り柄がないと言っても過言ではない王太子の、ある意味素晴らしくいいところなのかもしれない。出禁を食らってからは、毎日20枚にも及ぶ恋文が届くようになった。ちなみに、それはマリンソフィアの目に届く前に、アルフレッドによってズタボロに引き裂かれ、油に漬けられた後で暖炉で燃やされることになった。
「………それじゃあ、あの馬鹿王太子を裸の王子さまにしに行くわよ」
「「………はい」」
嫌悪感たっぷりなマリンソフィアの声に合わせて、クラリッサとおチビちゃんの疲れ切った返事が返ってくる。
「あらあらクラリッサに、おチビちゃん、だいぶお疲れね。わたくしたちがこれからやることは歴史に名を残すのだから、もっと胸を張らなくっちゃ」
「………もうあの馬鹿殿の顔すら見たくないのですが………………」
「うちもー、もうあの気色悪い男のご尊顔なんか眺めとうないわー」
基本明るくてなんでも楽しんでいるおチビちゃんすらも、1ヶ月も馬鹿でクズでクソでアホで救いようのない王太子の相手をすれば、うんざりとしてしまう。それどころか、最近は王太子に関わる事案が耳に入ったり。目に見えたりするだけで、殺気立ってしまう始末だ。
マリンソフィアは思いっきり苦笑してから、心を一気に入れ替える。
「………わたくしも、あの男に触れたくないけれど、今日は今までの成果を発表する日なのよ。しっかりやらなくちゃならないわ。
さあ!職人、そして女優魂を見せてやろうじゃないの!!」
「「はい!!」」
マリンソフィアを筆頭とした『青薔薇服飾店』の最精鋭は、一気に表情を改めて敵地に向かうのだった。
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