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49 休憩
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それからひたすらにお洋服を仕立て続けたマリンソフィアが、休憩に入ったのは13時を過ぎた時間だった。流石に働き詰めすぎだとクラリッサに叱られてしまったからだ。
「あなたさまはどうして部下には『残業をするな!!』、『休憩時間に仕事はするな!!』『早寝・早起き・3食は絶対に守れ!!』と言いながら、ご自分は全てを無視してハードすぎるスケジュールで動くのです!!というか、このペースで服を仕立て続けると、布地が足りなくなりますし、下っ端お針子の仮縫いが間に合いません!!もう下っ端お針子たちからは泣き言が大量に寄せられているのですよ!?ちょっとは休んでください!!休まないのであれば、数日間寝込むレベルの睡眠薬をお口の中にぶっ込みます!!」
と、怒鳴られれば、休むしかないだろう。本当に横暴な秘書にして、マリンソフィアのことを心の底から理解している優秀な人材だ。睡眠薬で眠らされるよりも、少しの間休んで作業をしたほうがいいと判断して、休むのは目に見えていたのだろう。
「ふうぅー、」
食堂でステーキを切り分けて口の中に入れると、柔らかいお肉が口の中でとろっと溶けた。
「………クラリッサも一緒にどう?」
「主人と一緒に食事は取れませんし、それに私はもう昼食をとっています」
冷たいクラリッサに、マリンソフィアはむうっとくちびるを尖らせて、そして早くも昼食をペロリと平らげた。
「新聞を持って来てくれる?」
「新聞、ですか?」
「そう。新聞は情報収集の基本だから、毎日確認するようにしているの。昨日は確認できていないから、昨日と今日の分を持って来てくれれると嬉しいわ。あ、もちろん全ての会社の分をね」
マリンソフィアはそうクラリッサに命じると、静かに食後の紅茶を飲み始めた。
(ふふふっ、新聞の1面はわたくしと王太子殿下の婚約破棄についてか、それともわたくしの実家からの勘当についてか、はたまた1ヶ月後に控えている王太子殿下のお誕生日についてか、………何が1面でもとーっても面白そうね。場合によっては、今度新聞社に『婚約破棄の真実』っていうのを匿名で送りつけてあげなくちゃ)
マリンソフィアはふふふっ、と薄気味悪く笑った。
どう転んでも、この国の行く末はマリンソフィアの手の内なのだった。
*******************
読んでいただきありがとうございます😊😊😊
それからひたすらにお洋服を仕立て続けたマリンソフィアが、休憩に入ったのは13時を過ぎた時間だった。流石に働き詰めすぎだとクラリッサに叱られてしまったからだ。
「あなたさまはどうして部下には『残業をするな!!』、『休憩時間に仕事はするな!!』『早寝・早起き・3食は絶対に守れ!!』と言いながら、ご自分は全てを無視してハードすぎるスケジュールで動くのです!!というか、このペースで服を仕立て続けると、布地が足りなくなりますし、下っ端お針子の仮縫いが間に合いません!!もう下っ端お針子たちからは泣き言が大量に寄せられているのですよ!?ちょっとは休んでください!!休まないのであれば、数日間寝込むレベルの睡眠薬をお口の中にぶっ込みます!!」
と、怒鳴られれば、休むしかないだろう。本当に横暴な秘書にして、マリンソフィアのことを心の底から理解している優秀な人材だ。睡眠薬で眠らされるよりも、少しの間休んで作業をしたほうがいいと判断して、休むのは目に見えていたのだろう。
「ふうぅー、」
食堂でステーキを切り分けて口の中に入れると、柔らかいお肉が口の中でとろっと溶けた。
「………クラリッサも一緒にどう?」
「主人と一緒に食事は取れませんし、それに私はもう昼食をとっています」
冷たいクラリッサに、マリンソフィアはむうっとくちびるを尖らせて、そして早くも昼食をペロリと平らげた。
「新聞を持って来てくれる?」
「新聞、ですか?」
「そう。新聞は情報収集の基本だから、毎日確認するようにしているの。昨日は確認できていないから、昨日と今日の分を持って来てくれれると嬉しいわ。あ、もちろん全ての会社の分をね」
マリンソフィアはそうクラリッサに命じると、静かに食後の紅茶を飲み始めた。
(ふふふっ、新聞の1面はわたくしと王太子殿下の婚約破棄についてか、それともわたくしの実家からの勘当についてか、はたまた1ヶ月後に控えている王太子殿下のお誕生日についてか、………何が1面でもとーっても面白そうね。場合によっては、今度新聞社に『婚約破棄の真実』っていうのを匿名で送りつけてあげなくちゃ)
マリンソフィアはふふふっ、と薄気味悪く笑った。
どう転んでも、この国の行く末はマリンソフィアの手の内なのだった。
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読んでいただきありがとうございます😊😊😊
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