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31 大食いカップル(ふり)

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 マリンソフィアの爆弾発言に、アルフレッドは笑顔のまま固まってしまった。
 そして、やっと喉から出た声は掠れ切っていた。

「は?」

 マリンソフィアは悪戯っぽく笑ってぺろっと舌を出す。

「うそ」
「はあー、………笑えない嘘というか、冗談だな」
「そう、でも、さっきの『うそ』って言葉が本当は嘘なんだけどな」

 マリンソフィアはくすくすと笑う。

「あ、パンケーキきたよ!!食べる準備しなくっちゃ!!」
「あ、うん、」

 マリンソフィアとアルフレッドの先には、危険な匂いがぷんぷんする、顔よりも圧倒的に大きな、太さが本の厚さくらいあるふっかふかのパンケーキが4枚重ねられ、生クリームが縦に高く巻き上げられ、チョコレートソースとフルーツがふんだんにかけられたプレートが運ばれてきた。ちょっとでもバランスが崩れれば、大惨事間違いなしだ。
 だが、店員さんは危なげなく運んでくる。マリンソフィアは、彼の重心の置き方に興味を持った。社交ダンスを踊っているかのような軽やかさだ。

「お待たせいたしました。『ごちゃ混ぜ生クリームチョコフルーツスペシャルパンケーキ』になります。30分経ちましたら、確認に来ますので、ごゆっくりお過ごしください」
「「ありがとう」」

 2人は下町にあるまじき麗しい顔で微笑んで、ナイフとフォークを手に持った。

「それじゃあ、」
「攻略開始といこうか!!」
「むう、それソフィアの台詞セリフ!!」
「まあいいだろ、ほら。食うぞ」
「いただきます」
「いただきます」

 マリンソフィアの渋々といった挨拶に、アルフレッドは苦笑しながら優雅に挨拶をした。
 パンケーキ1枚をそれぞれの小皿に移し、生クリームとチョコクリーム、フルーツも一緒に移していく。フォークでふっかふかのパンケーキをくさっと刺し、ナイフで1口サイズに切って口の中に運ぶ。

「「ん~!!」」
「美味しいわ!!」「うまい!!」

 甘いもの好きな2人は、甘い雰囲気皆無で、たったの15分で『ごちゃ混ぜ生クリームチョコフルーツスペシャルパンケーキ』を完食してしまった。周りは唖然とした顔でイチャイチャするのをやめて2人のことを見つめている。

「麗しいイケメンと儚げな美人なのに、見た目に合わない、大食いカップル………」

 誰かの呟きに、周囲の人間が全て、綺麗にそろった動きでこくんと1つ頷いた。

*******************

読んでいただきありがとうございます😊😊😊

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感想 10

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