『完』婚約破棄されたのでお針子になりました。〜私が元婚約者だと気づかず求婚してくるクズ男は、裸の王子さまで十分ですわよね?〜

桐生桜月姫

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23 似た者同士

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 マリンソフィアの叫びに、アルフレッドは顔を真っ赤に染め上げ、それを見た店員さんは一瞬きょとんとした後に『まあ!!』と嬉しそうな声を上げた。

「お2方は両思いですのね!!」

 2人は驚愕の表情で店員さんの方を向き、真っ赤な顔で否定する。

「違うわ!!」「違う!!」
「まあ!息もぴったり!!」
「だから違うってば!!」「だから違うと言っている!!」
「もう!真似しないでよね!!」「おい!真似をするなよ!!」
「「~~~、なんでこんなところばっかり!!」」
「ふふふっ、やっぱりそっくり」

 2人はプイッとお互いの顔と反対方向に顔を向けて、耳まで赤く染め上げる。恥ずかしいのが目に見えるくらいに初々しい2人に、店員さんは思わずうっとりとしてしまう。

「アルのおおばかもの………」「ソフィーのおおばかやろう」
「「だーかーらー、」」
「なんで揃うのよ!!」「なんで揃うんだ!!」

 顔を見合わせてぷくぅーっと頬を膨らませると、2人はまたプイッと視線を外した。双子と言われたことがあるくらいに、似た者同士だと良く言われてきたが、流石にここまでそっくりだとイライラしてきてしまう。2人はお互いにチラッチラッと視線を向けては視線があってまた目くじらを立てる。

「どうしてこっちを見るの!?」「どうしてこっちを見るんだ!?」
「ふふふっ、あははははっ!!お客さまたち、本当にそっくり!!」
「誰と誰がそっくりなの!?」「誰と誰がそっくりなんだ!?」
「ほら、そっくり」

 マリンソフィアとアルフレッドは不機嫌そうな顔で向き合ったが、次の瞬間、呆れた顔をして笑い合った。もう歪み合うにはうんざりとでも言いたい表情だったが、微妙に目が笑っていない。

「お化粧の続き、お願いできるかしら?」
「ふふっ、分かりました。お任せください。お兄さんをぎゃふんと言わせたいのですよね?」

 確認をすると言うよりも、決定事項を述べると言った口調の店員さんの言葉に、マリンソフィアの顔はお化粧の上からでも分かるくらいに、真っ赤な色に染まり上がる。

「そ、そそそっ、そうじゃないわ!!ただ、さっさと終わらせて欲しいだけ!!」
「はいはい。今やりますので、少々お待ちください」
(な、なななっ、彼女、わたくしを馬鹿にしているの!?)

 店員さんは呆れ顔で淡々とメイク道具を手に持った。

*******************

読んでいただきありがとうございます😊😊😊

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