仲良しな天然双子は、王族に転生しても仲良しで最強です♪

桐生桜月姫

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88 双子にとってのハイエルフ

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 ーーーこの世にいるハイエルフはブルックリンだけじゃない。でも、僕たちが知っているハイエルフはブルックリンだけ。僕たちにとってのハイエルフは、ブルックリンだ。

「ブルックリンはね、いっつもぼーりょく的だったんだ。“自分は女王だったんだ”なんてのたまって、ぼくたちを産んだから女王になれなかったんだって。………アイリスはいっつもぼくを庇ってくれてたんだ。お姉ちゃんだから。不思議だろう?たった少しだけのちがいなのに」

 自嘲するかのように皮肉に笑って、アキレスはアイリスの額を撫でた。

「ぼくたちの身体はいじょーに治癒力がたかい。でも、その治癒すら、ブルックリンにはむいみだったんだよ。ぼくたちの身体はきずだらけだ。ぼくは良くても、アイリスは女の子なのに………」
(あきれしゅ………たべちゅぎ………むにゃむにゃ………………)

 ーーーどんな夢を見てるんだか。

 心の声から変な呼びかけがあって、アキレスは呆れたように息を吐いた。
 ルーカスに言っても、なにも変わらないと分かっている。でも、何か変えてくれるかもしれないと思った。何か知恵を貸してくれるかもしれないと思った。言わずにはいられなかった。これ以上は、アイリスと2人きりで背負っていられなかった。
 でも、なんとなく、アキレスとアイリスの2人きりの世界に、他の人間を踏み入れさせたくなかった。せめぎ合う感情は結局後者に傾いて、アキレスは矛盾まみれのぐちゃぐちゃの感情をルーカスにぶつける。

「アイリスはこの傷すらもへーきなふりをする。でも、ぼくはヘーキでいられない。だから………、ぼくたちに情を与えないで。ぼくたちに、感情を、世界を与えないで。ぼくたちは『自由』を望む。でも、その世界にぼくたち以外のだいじなものなんていらない」

 真っ直ぐな拒絶に、ルーカスは身震いした。
 殺気と狂気の入り混じった、大人にならざるを得なかった幼子は、どんなに残酷な日々を過ごしたのだろうかと想像せざるを得なかった。だからこそ、ルーカスは柔らかく笑う。安心させるように、人畜無害でると伝えるために、ただただくらくらする頭と限界を迎えた身体に鞭を振るって平気なふりをする。

「大事なものは生きていく時間につれて増えていく。そして、守りきれなくなっていく。真に守りたいものは既に君の中にあったとしても、それだけが全てではない。『自由』を得たいのならば、自由に見合う努力をするといい。そのために、僕や父上、母上や兄上やアンドリューを使うのもありだ。ーーー君たちは、幸せになるために生まれてきたのだから」

******************

読んでいただきありがとうございます😊😊😊

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