仲良しな天然双子は、王族に転生しても仲良しで最強です♪

桐生桜月姫

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87 アイリスの怯え

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「あわわっ、」

 くしゃみを受けてあたふたと慌てたアキレスは、急いで魔法を片付けた。けれど、周囲の空気が先ほどの魔法によって冷やされてしまったのか全く部屋の温度が暖かくならない。アイリスは魔法で作り出していた朱雀を消し去って、周囲に炎の魔法を展開した。純度ができるだけ高くなるように丁寧に丁寧に魔法を編み上げると、炎の色が鮮やかな青色に染まった。
 そして、今度は暑い。暑すぎる。
 アイリスはやり過ぎてしまったことにしゅんと肩を落として、アキレスの腕の中にぽすっと身体を埋めた。アキレスはアイリスの頭をぽんぽんと優しく撫でる。

「2人ともすごいかったよ。特に、アイリスは流石ハイエルフの娘だとしか言いようがなかった」
「っ」
「魔力回路を繋げるだなんて無茶振り、この世にできる人間なんていそうにない」

 ぎゅっと右手で水色のスカートの裾を握りしめたアイリスは、怯えるかの如く左手で跡が残るほどに強く右腕を押さえつけた。

「アイリス………」
「………いやっ、」
「アイ、リス?」
「やめてっ、いやっ、いやあああああぁぁぁぁぁ!!」

 ぎゅっと唐突に座り込んで叫び声を上げたアイリスは、嗚咽を漏らしながら自身を押さえつけるように丸まった。

「だいじょーぶ」
「っ、」
「だいじょーぶだから、落ち着いて、アイリス」

 泣き叫ぶアイリスをなんの躊躇いもなく抱きしめて、アキレスは彼女の髪に自分の髪を埋める。彼女からは数日前と違って石鹸の良い匂いがした。

 ーーーみんなが思っているよりも、アイリスが負った傷は深い。僕が守らなくちゃ。僕がちゃんとしなくちゃ。僕が、僕が、僕が僕が僕が僕が僕が………!!

 ぎゅっと力を込めて抱きしめて背中を優しく撫でていると、くてっと彼女の身体が重たくなった。気を失ってしまった彼女を自分の膝に乗せて、アキレスは眉を八の字にしてルーカスに向き合った。

「………アイリスは誰よりもブルックリンがきらいなんだ」
「す、すまない」

 ルーカスには本当に悪気がなかったのだろう。ハイエルフと言ったら、魔法の最先端を行くエルフの中でも最もくらいの高い場所に位置する種族だ。ハイエルフに関する褒め言葉を受けたら、普通は嬉しく思うものなのだろう。けれど、アキレスとアイリスは違う。2人はハイエルフに対する心象がとても悪すぎる。

******************

読んでいただきありがとうございます😊😊😊

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