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77 双子と第1王子
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「アキレス、アイリス」
少し低めのオズワルドに似た声を持つ黄金の髪の男が双子の前に立つ。身長差ゆえに、あっという間に間合いに入られてしまい、アイリスとアキレスはどちらからともなくぎゅっと手を繋ぐ。アイリスが今までに会っていない黄金の髪を持つ男は、たった1人。第1王子のエドワード・ベンジャミン・グーテンベルクのみだ。
「だ、第1王子殿下にご、ごあいさつをもーしあげます」
手に力が入っているアキレスを庇うように、アイリスは1歩前に出て見よう見まねのカーテシーを披露した。どう頑張っても、やっぱり王城に仕えているメイドさんのように上手に礼はできそうもない。悔しさが押し上げてくるが、今は悔しがっている場合ではない。姉として、アキレスを何が何でも守らなければならないからだ。
「………初めて会った時とは場所が反対だな」
「?」
初対面なはずの相手に、初対面の時とは反対だと言われて、アイリスは密かに首を傾げた。
(………第1王子には出会い頭に国王共々怒鳴り散らしている)
(………………よくもまあやってくれたわね。これじゃあ死亡エンド真っ逆さまじゃないの)
心の中で会話をしながらアイリスとアキレスは冷や汗を流した。
アキレスからしたら捕まってすぐに国王の庇護下に入れられるなんて全くもって予想外だったし、アイリスからしたら元々は冷静沈着でアイリスのお目付役のアキレスがやらかしていたことこそが予想外だった。お互いにとって予想外が予想外に積み重なって、それががんじがらめになっていく。少し静かな地獄の門が開いたと思えば、今度は悪魔のいる地獄の門が開いたような、そんな気分だ。控えめに言って、どこにも助けがないし、救いがない。
「アイリス」
「………………」
(ねえ、アキレス。流石にここで首撥ねられたりはしないわよね?)
(………………無いと思う)
(ねえ、さっきの間は何?)
(………………)
双子が心の中で言い争っていると、エドワードがもう1歩踏み出してきて、アイリスに向けて手を伸ばした。ごくごく自然な仕草であったがゆえに反応が遅れ、次の瞬間には、アイリスの視界いっぱいに彼の手が広がっていた。ぎゅっと瞳を閉じて、アイリスはアキレスを守るように動く。前世では妹であったとしても、今世のアイリスは姉だ。姉は弟を守る生き物だ。故に、アイリスは必死になってアキレスを守り切ろうとした。
けれど、次の瞬間にアイリスを襲ったのはアイリスが予想しなかったことだった。
「ーーー?」
ふわふわと優しく包み込むように、彼はアイリスの頭は撫でていた。自然すぎる仕草に放心しながらも、アイリスはじっと彼の顔を見上げた。
******************
読んでいただきありがとうございます😊😊😊
少し低めのオズワルドに似た声を持つ黄金の髪の男が双子の前に立つ。身長差ゆえに、あっという間に間合いに入られてしまい、アイリスとアキレスはどちらからともなくぎゅっと手を繋ぐ。アイリスが今までに会っていない黄金の髪を持つ男は、たった1人。第1王子のエドワード・ベンジャミン・グーテンベルクのみだ。
「だ、第1王子殿下にご、ごあいさつをもーしあげます」
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「?」
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「アイリス」
「………………」
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けれど、次の瞬間にアイリスを襲ったのはアイリスが予想しなかったことだった。
「ーーー?」
ふわふわと優しく包み込むように、彼はアイリスの頭は撫でていた。自然すぎる仕草に放心しながらも、アイリスはじっと彼の顔を見上げた。
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