仲良しな天然双子は、王族に転生しても仲良しで最強です♪

桐生桜月姫

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74 出られなかった双子は出会う

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▫︎◇▫︎

 3時間後、
 さあっと空気が駆け抜ける夜の王城の中庭にて、絶賛脱走しようにも道を全く知らなくて迷子中の双子は、木陰にてじいっと息を潜めていた。広すぎる王城は道を知らなくては外に出ることも不可能で、歩けども歩けども外に出られない状況に途方に暮れていたところに、人が来てしまったのだ。
 双子の視線の先には、薔薇の花が咲き誇る庭園はとっても美しいのに、その雰囲気に似合わない卑しい男が下品な笑い声を立てている。

「にしても、私生児を迎えるなんて、王族も落ちぶれたものだよな~」
「だな。俺、あんなクズ共に頭下げたくないんだけど」
「はははっ、同感だ」

 その身を包んでいるのは、王家に仕える身分を表す純白のジャケットに黄金の差し色が入っている軍服だ。つまり、この男たちは王家に仕える聖騎士ということであり、双子は揃ってため息を落とす。

(この国、一介の騎士に舐められているとか、在り方として大丈夫なわけ?)
(ねー。こんなうざったいキモ男に貶されるとか、終わってるかも)
((でも、))

 双子は心の中で声を揃えて、冷え冷えとした冷笑をたたえた顔を見合わせてにこっと殊更深く微笑む。

((なーんか、気に入らないよね~))

 よって、双子は音も立てずに男たちの前に躍り出て、くすくすと笑いをこぼす。
 道がわからなすぎて、もう脱走は不可能だと苛立って、見つかってしまったとしても、もうどうでもいいとやけになっていたというのもある。

「「だ、誰だっ!!」」

 見事なハモリ声に双子がもっと笑いを深めると、男たちが剣を抜いたであろう鉄の音が聞こえる。王族に剣を抜いたとなればどうなるのか見ものだと考えながら、アキレスは1歩前に出た。

「ごきげんよう。いいや、こんばんわと言ったほうがいいのかな?」
「ふふふっ、そんなことはどうでも良いのではなくて?アキレス」
「そうだね。だってぼくたちは、」
「「あなたたちに正当なバツを与えるために出てきたのだから」」

 双子はイライラマックスでにっこりと笑う。
 せっかく決意を固めて、物を物色してから脱走したのにもかかわらず、外に出られなかったことに対する八つ当たりも含めまれた、双子のこの世のものとは思えないほどに美しい笑みと、月光にきらきらと輝く黄金の猫っ毛に、男2人はひいっと喉を引き攣らせた。

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読んでいただきありがとうございます😊😊😊

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