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53 双子は自称わかっている
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「アイリスはもう気がついたのかな?」
「………第2王子殿下のかおりが、わたしのからだからするよ?」
「正解。僕のトクベツな魔法を、君たちにかけたんだ。1回だけ、君たちの身体に降りかかる厄災から身を守ってくれる魔法だよ。だから、怖がらなくても大丈夫」
もう1度手を伸ばしてきたルーカスのことを見ても、不思議と双子は怖くなかった。大人しく撫でられながら、双子はふむふむと頷いた。
「………僕たちはこわがってなんかいないよ」
「そうそう。………ただ、慣れないだけだよ」
本当は2人とも怖い。けれど、魔法を使った所為か否か、真っ青な顔色をなおのこと青くして弱々しくなったルーカスに、双子はどうしても気をつかってほしくなかった。
(………第2王子殿下、僕が勝手に疑っといてなんだけど、もしかしたらバカを通り越して変態レベルのお人好しかもしれない)
(………そんなこと、言われなくてもわかっているわよ)
双子は心の中で言い合って、そして困ったように笑い続けているルーカスに視線を戻した。彼はふわふわと双子の頭を撫で続けながら、優しい口調で再び口を開く。
「そうかい?なら良いよ。でも、これだけは覚えておいて。ここにいる人たちは、少なくとも僕たち家族は、君たちのことをとって食べたりはしないよ」
双子は不思議そうに顔を見合わせてから、にこっとルーカスに向けて笑いかける。
「「そんなこと、ちゃんとわかっていますよ」」
「僕たちは、」「わたしたちは、」
「「ちゃんとお城のみなさんのことをたよりますよ!!」」
双子はそう言うと、困ったように笑ってから立ち上がったルーカスにぺこっと頭を下げた。
「わたしたちにまほーをかけてくださり、」
「ありがとうございました」
言葉を2人でつなげた双子はふんわりと笑う。
「………どういたしまして。ちゃんと何か困ったことがあったら、僕たちに頼るんだよ?」
「「はい!!」」
ルーカスはもふもふと双子の頭を撫でると、青白い顔でお部屋に向けて立ち去っていった。
双子はそんなルーカスのことを心配げな瞳で見つめた後、お互いの頭に乗っている花冠を優しく撫でた。よくできた花冠は、なんだか非現実的で、物語の中に出てくるお姫さまが被っているようなものだった。
幸せに包まれながら芝生の上に寝っ転がった双子は、やがてすやすやと寝息を立て始めた。
*******************
読んでいただきありがとうございます😊😊😊
「………第2王子殿下のかおりが、わたしのからだからするよ?」
「正解。僕のトクベツな魔法を、君たちにかけたんだ。1回だけ、君たちの身体に降りかかる厄災から身を守ってくれる魔法だよ。だから、怖がらなくても大丈夫」
もう1度手を伸ばしてきたルーカスのことを見ても、不思議と双子は怖くなかった。大人しく撫でられながら、双子はふむふむと頷いた。
「………僕たちはこわがってなんかいないよ」
「そうそう。………ただ、慣れないだけだよ」
本当は2人とも怖い。けれど、魔法を使った所為か否か、真っ青な顔色をなおのこと青くして弱々しくなったルーカスに、双子はどうしても気をつかってほしくなかった。
(………第2王子殿下、僕が勝手に疑っといてなんだけど、もしかしたらバカを通り越して変態レベルのお人好しかもしれない)
(………そんなこと、言われなくてもわかっているわよ)
双子は心の中で言い合って、そして困ったように笑い続けているルーカスに視線を戻した。彼はふわふわと双子の頭を撫で続けながら、優しい口調で再び口を開く。
「そうかい?なら良いよ。でも、これだけは覚えておいて。ここにいる人たちは、少なくとも僕たち家族は、君たちのことをとって食べたりはしないよ」
双子は不思議そうに顔を見合わせてから、にこっとルーカスに向けて笑いかける。
「「そんなこと、ちゃんとわかっていますよ」」
「僕たちは、」「わたしたちは、」
「「ちゃんとお城のみなさんのことをたよりますよ!!」」
双子はそう言うと、困ったように笑ってから立ち上がったルーカスにぺこっと頭を下げた。
「わたしたちにまほーをかけてくださり、」
「ありがとうございました」
言葉を2人でつなげた双子はふんわりと笑う。
「………どういたしまして。ちゃんと何か困ったことがあったら、僕たちに頼るんだよ?」
「「はい!!」」
ルーカスはもふもふと双子の頭を撫でると、青白い顔でお部屋に向けて立ち去っていった。
双子はそんなルーカスのことを心配げな瞳で見つめた後、お互いの頭に乗っている花冠を優しく撫でた。よくできた花冠は、なんだか非現実的で、物語の中に出てくるお姫さまが被っているようなものだった。
幸せに包まれながら芝生の上に寝っ転がった双子は、やがてすやすやと寝息を立て始めた。
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