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24 良い子、良い子
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アキレスはメイドが先導する方向に足を向けようとして、そして倒れた。
ーーーずっさー!!
「うっ、」
「ふにゃ?」
「ごめんね、アイリス。だいじょーぶだからもう少し寝てていーよ」
「ん、」
まだ身体がぐったりしてしまっているアイリスは、アキレスの言うことを聞いて、くたりと眠りに落ちた。
「うぐっ、」
一瞬、足首が酷く痛んだ。
アキレスは顔を僅かに顰めて脂汗が出る身体を叱咤して立ち上がった。
「なっ、あ、アキレスくん!?」
「………なんですか?」
「あ、足………」
「こんなのすぐに治ります。おきになさらず」
「っ、」
ーーーパンッ!!
「!?」
アキレスは目を見張った。頬を張られることには慣れているはずなのに、何故こんなにも痛いのだろうか。アキレスは、今にも泣きそうなはずなのに、必死になって泣かないでいる王妃を困惑した表情で見つめた。
「そんなこと言ってはダメ!!」
悲痛な叫び声の意味が、アキレスには分からない。
「………………」
「何か言ったらどうなの!?」
「………なぜ?」
「?」
「なぜ怒っているのですか………?」
「は?」
アキレスは至って真面目に問いかけたはずだ。けれど、王妃はぎゅっとくちびるを噛み締め、そしてゆっくりと目を伏せた。
「アキレスくん、こちらに来なさい」
「?」
アキレスはとりあえず王妃の言うことを聞くことにした。激痛を訴えていたはずの足元も、ビリビリと痛んだ頬も、もう痛みを感じない。おそらく怪我が治ったのだろう。
本当に、不気味な力だ。
ーーーぎゅっ、
「!?」
「良い子、良い子。
よく頑張ったね、アキレス。お前はとっても良い子」
いきなりぎゅっと抱きしめられ、アキレスは王妃に頭をふわふわと撫でられた。
「え………?」
あまりの行動に驚いたが、どちらかと言うと、優しい手つきに温かみを感じた。
ーーーぽろっ
何故かずっと抑えていた前世から枯れていたはずの涙が溢れた。
「うあっ、」
「頑張った、頑張った。良い子、良い子。」
「ひっく、」
ーーーなんで………、
アキレスは訳も分からず泣きじゃくった。アイリスを背中におぶったまま抱きしめられ、頭をふわふわ撫でられ、優しい言葉に甘えて声を抑えてぎゅっとくちびるを結んで、普通の5歳児では考えられないくらいに静かに泣いた。心の中がほぐされるような不思議な感覚に身を任せ、アキレスは目から溢れる涙を拭い続けた。アイリスが寝ていたからこそ、アキレスは泣けた。前世から抜けない“お兄ちゃんなんだから”という感覚から抜け出して、甘えられた。
*******************
読んでいただきありがとうございます😊😊😊
ーーーずっさー!!
「うっ、」
「ふにゃ?」
「ごめんね、アイリス。だいじょーぶだからもう少し寝てていーよ」
「ん、」
まだ身体がぐったりしてしまっているアイリスは、アキレスの言うことを聞いて、くたりと眠りに落ちた。
「うぐっ、」
一瞬、足首が酷く痛んだ。
アキレスは顔を僅かに顰めて脂汗が出る身体を叱咤して立ち上がった。
「なっ、あ、アキレスくん!?」
「………なんですか?」
「あ、足………」
「こんなのすぐに治ります。おきになさらず」
「っ、」
ーーーパンッ!!
「!?」
アキレスは目を見張った。頬を張られることには慣れているはずなのに、何故こんなにも痛いのだろうか。アキレスは、今にも泣きそうなはずなのに、必死になって泣かないでいる王妃を困惑した表情で見つめた。
「そんなこと言ってはダメ!!」
悲痛な叫び声の意味が、アキレスには分からない。
「………………」
「何か言ったらどうなの!?」
「………なぜ?」
「?」
「なぜ怒っているのですか………?」
「は?」
アキレスは至って真面目に問いかけたはずだ。けれど、王妃はぎゅっとくちびるを噛み締め、そしてゆっくりと目を伏せた。
「アキレスくん、こちらに来なさい」
「?」
アキレスはとりあえず王妃の言うことを聞くことにした。激痛を訴えていたはずの足元も、ビリビリと痛んだ頬も、もう痛みを感じない。おそらく怪我が治ったのだろう。
本当に、不気味な力だ。
ーーーぎゅっ、
「!?」
「良い子、良い子。
よく頑張ったね、アキレス。お前はとっても良い子」
いきなりぎゅっと抱きしめられ、アキレスは王妃に頭をふわふわと撫でられた。
「え………?」
あまりの行動に驚いたが、どちらかと言うと、優しい手つきに温かみを感じた。
ーーーぽろっ
何故かずっと抑えていた前世から枯れていたはずの涙が溢れた。
「うあっ、」
「頑張った、頑張った。良い子、良い子。」
「ひっく、」
ーーーなんで………、
アキレスは訳も分からず泣きじゃくった。アイリスを背中におぶったまま抱きしめられ、頭をふわふわ撫でられ、優しい言葉に甘えて声を抑えてぎゅっとくちびるを結んで、普通の5歳児では考えられないくらいに静かに泣いた。心の中がほぐされるような不思議な感覚に身を任せ、アキレスは目から溢れる涙を拭い続けた。アイリスが寝ていたからこそ、アキレスは泣けた。前世から抜けない“お兄ちゃんなんだから”という感覚から抜け出して、甘えられた。
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読んでいただきありがとうございます😊😊😊
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