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15 心臓に悪い空間
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殺気と怒鳴り声を直接浴びせられているわけでもないのにも関わらず、男を見つめているアキレスの腕はビクビクと震え始めている。身体中からイヤなぬめりとした汗が出てくる。口が乾いて、目を閉じることができない、極度の緊張状態に陥ってしまっている。
「しかも、この部屋は何という有り様だ!!床に転がっている腐ったパンに、水甕の半分も入っていない腐った水!!極め付けは血だらけのマットレスにカビの生えたシーツに枕カバー、そして割れた窓ガラス!!ここが本当に尊き血を持つお方に与えるお部屋かー!!」
ごもっともな言葉に、アキレスは恐怖心を一瞬忘れて苦笑してしまう。自分達で言うとそこまで酷くないように感じてしまう節があるが、他人に言われると尚の事自分達の生き延びてきた過酷な空間が、とても酷い空間であったと認められるような気がする。
「はあ、はあ、はあー、」
(っ、くふふっ、)
ディルクの息を切らしている声に、アキレスは思わず心の中で笑ってしまった。
「ん、」
(!?)
そして、その心の声が伝わってしまったアイリスが僅かに声を漏らした。
「ん?今、何か声がしたような………?」
背筋が凍るような思いがした。息が詰まり、身体中の毛穴がたつ。
「? 気のせいではないですか?」
「そうか」
部下の上げた声に、アキレスはそっと息をついた。危険視している相手に救われるとはなんとも癪に触る出来事だが、アキレスは今は危険視している相手に感謝をするしかなかった。
「で?ここに両殿下がいるそうだが、どこにいるんだ?」
「………い、いつもいつの間にか居なくなっているんです。だから………」
「ほう、主人がどこにいるのかすら分からないのかぁ?」
「ひっ!!」
カリーナを冷たく睨んだディルクは、すうっと息を吸い込んだ。
「両殿下!!いらっしゃるのでしたら出てきてください!!陛下より保護をするように申し付けられています!!」
間近で叫ばれて耳がキーンとしたアキレスは、アイリスが起きたしないかとビクビクしていたが、心配は杞憂に終わりそうだ。アイリスはこんなに間近で叫ばれているのにも関わらず、くうくうと規則正しい寝息を立てている。
(可愛い)
(ん………、)
やばいと思ったアキレスは、心を無にして外の気配に気を配ることにした。
「両殿下をなんとしてでも探し出せ。僅かでもいい、ちょっとした変化にも気を抜かずに、徹底的に探し出すんだ」
『はっ、』
*******************
読んでいただきありがとうございます😊😊😊
新作
『ふむふむ成る程、わたくし、虐めてなどおりませんわよ?』を始めました。
紹介文は
ミルフィーユ・アフォガードは虐めっ子が原因で婚約破棄されたけれど、実は正義の味方だった!?
この際、自分を馬鹿にしてくる血筋至上主義のおバカどもを懲らしめます!!
さあ!泣いて喚くのよ!!
です。是非読んでみてください!!
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「そうか」
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(ん………、)
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