仲良しな天然双子は、王族に転生しても仲良しで最強です♪

桐生桜月姫

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10 お金は大事、道徳も大事

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▫︎◇▫︎

 外見だけは良いお屋敷に中に帰ってきた双子は、双子用のお部屋の外に申し訳程度に置かれているシーツと枕カバー、腐ったパンとマッチを持ってお部屋の中に入った。

「………このシーツカビてる………………」
「うげー、またおそーじよーにするしかないじゃん」
「………マッチは………唯一まともだな」
「ある意味すごいよね。逆に、どうやったらこんなのよーいできるんだろうね」
「賛同するー」

 壁に飾られている絵の後ろの秘密空間からランプをこっそりと持ち出した双子は、ビリビリになっている遮光カーテンを開いて月光を部屋の中に招き入れ、ランプにマッチで火をつけた。

「………あったかい」
「ねー」

 かじかんでしまっている小さな手をランプにかざしながら、双子は2人で羽織っている少年が残していった上等な上着を僅かな心もとない明かりで確認した。

「うわー、これ金糸じゃない?」
「うん、しかも針しごとがとってもきれー」

 漆黒の絹に金糸で大輪の薔薇の細かく刺繍している上着は、前世でも考えられないくらいに品がいい。お貴族さまのお坊ちゃんだとは思っていたが、大変なことに巻き込まれそうな予感だ。

「………やばくない?」
「………やばいね」
「どうやって弁償する?」
「………………借りパクする」
「しよっかー、」
「うんうん」
「っていー訳あるかー!!」

 アキレスのキレッキレなツッコミに、アイリスはぽりぽりと乙女らしからぬ格好で頭を掻いた。面倒くさいというのが顔にありありと描かれている。

「だって売ったらお金になりそーじゃん」

 ででーんとした顔で堂々と言ったアイリスは、前世のこともあって守銭奴だ。無駄なことに絶対にを費やさない。他人はどうしようがどうでも良いが、絶対に自分はお金を無駄なことには使わないのだ。

「………なんでも金で解決しようとすんな」
「世の中お金だよ、おーかーね!!」
「身にしみるくらい知ってるけれど、人のものは売っちゃダメだろ」

 道徳的な考えが強く、他人が目の前で無駄にお金を使うことすら嫌うアキレスは、嫌そうに顔を顰めた。

「どーせお貴族さまの服だったら、わたしたちから搾取されたお金も入ってるんでしょ?良いじゃん、いつかの冒険の足しにしようよ。ま、それまではぼーかんぐとして使うけど」

 道徳的な考えもクソもない前世の妹に、アキレスは自分はどこで教育を間違えたのだろうかと深い溜め息をこぼした。

*******************

読んでいただきありがとうございます😊😊😊

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