《完》わたしの刺繍が必要?無能は要らないって追い出したのは貴方達でしょう?

桐生桜月姫

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60 アイーシャに足りないもの

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▫︎◇▫︎

 王城に到着した馬車はゆっくりとスピードを落としていき、アイーシャの不安を煽った。

「アイーシャ姉さんは可愛いし綺麗だから大丈夫だよ」
「………可愛くて綺麗にしてもらったけれど、それでも元が元だから、見られるレベルになっただけよ。作法も不安だし………」

 エカテリーナは謙虚な人間ほど恐ろしい人間はいないなと思った。アイーシャの所作は普通のご令嬢ほど堂々としていなのにも関わらず、1つ1つ丁寧で、一切の無駄がないのだ。そして、そこまでの所作でもあるのにも関わらず、自分はできないと不安になり、尚の事レッスンに励む。今の彼女の所作は並の王女や王妃には敵わないのだ。必死になりすぎるのも悩みものだ。

「アイーシャちゃん、あなたに最後の助言を与えます。堂々となさいまし。あなたに足りないのは自信だけですわ」
「は、はい!!」

 真っ直ぐとエカテリーナの目を見てアイーシャは答えた。アイーシャには失敗など許されないのだ。エカテリーナにあれだけ指導してもらったのにも関らず、失敗するなど何があっても決して許されないのだ。
 アイーシャはエカテリーナの指導通りに真っ直ぐと前を見据えた。堂々として自信を持つことは正直言って怖い。失敗して無様に負けを晒す可能性があることをすることは怖い。でも、やるしかないのだ。エカテリーナの言うことは絶対なのだ。昨日指導を受けて分かったが、エカテリーナの礼儀作法は完璧すぎるくらいに完璧なのだ。だから、彼女から教えを乞えるというのは高い知識や能力を望むアイーシャには天にも昇ることなのだ。

*******************

読んでいただきありがとうございます😊😊😊

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