《完》わたしの刺繍が必要?無能は要らないって追い出したのは貴方達でしょう?

桐生桜月姫

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21 精霊の祝福

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 アイーシャはベラに案内してもらった自室で歓喜に震えていた。

「あの、この家具は………」

 アイーシャは見慣れた家具を指差して聞いた。

「アイーシャお嬢様は魔力をお持ちではないということでしたので、旦那様ユージオが用意したのです。アンティークの調度というのは深みがあってよろしいものですね」
「えぇ!………ユージオさまにわたしが感謝していたと伝えていただける?」
「承知いたしました」

 アイーシャが微笑みを浮かべてアンティークの調度を撫でながら言うと、アンティークの調度は精霊の祝福を受けてキラキラと輝き始めた。

「!?」
「ありがとう、エステル」
「《アイーシャの大事なものはわたし達の大切なもの、だから、これくらいのことは当然かしら》」

 残念ながらベラにはエステルのことが見えていないし声も聞こえていないが、精霊持ちの主人に仕える者として先程起こった出来事が、“精霊の加護”や“精霊の祝福”と呼ばれる伝説に近い代物であったことは簡単に理解することができた。
 だが、ベラは1度息を吐き出しただけでそれらの感情を全て押しとどめてアイーシャの荷解きをすることにした。

「荷解きは自分でするわ」
「これは私の仕事です。取らないでください」

 絶対に譲らないぞ、と言う気概が感じられるベラに言葉と視線にアイーシャはふいっと視線を逸らした。

「………裁縫箱以外は、好きにしていいわ」

 命よりも大事な裁縫箱以外を好きにしてもらうことを選択したアイーシャは、裁縫箱を陽当たりのいい窓際にある机と椅子の方に持っていった。

*******************

読んでいただきありがとうございます😊😊😊

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