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付き合いきれなくなったさくら

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 帽子屋さんは、同席したさくらともかに答えのないなぞなぞをふっかけたり、女王さまから死刑宣告を受けて以来時間が止まってしまったといった話をしたりする。

 ーーーがしゃがちゃっ、

 マナーのなっていない嫌味ったらしい口調に、同じくマナーのなっていないお茶の飲み方やお菓子の食べ方。ぺちゃくちゃと飛び散ってくるお茶やお菓子は、正直に言って汚い。全くもって楽しくなさそうなさくらともかは、好き勝手に振舞う3月うさぎ、帽子屋、眠りネズミに我慢ができなくなり、付き合いきれないと勢いよく席を立たった。
 すると、近くに扉のついた大木が見つかった。

「入ってみる?」
「え、もか!?警戒心の欠片もないわけ!?」
「いやっ、さくらも今なんの躊躇いもなく入ろうとしたよね!?」

 ギャイギャイ言いながら、さくらともかは扉を開けた。

 ーーーぎぃっ、

 古びた扉特有の音を鳴らして、ゆっくりと開いた先に入ってみると、さくらが最初にやってきた広間に出た。
 振り出しに戻った気もしなくもないが、戻ってきたのには何か意味があると前向きに信じて、さくらは辺りを見回す。そして、ゴージャスな金の小さな扉を見つけた。
 けれど、そこで重大な問題が発覚した。

(あそこの金の扉が小さすぎて、絶対に入れない!!)

 さくらともかは、先程までいた場所の世界観に合わせた大きさになっていた。故に、周囲とのサイズの解離がとても激しい。

「じゃじゃーん!!」

 困り果てて黙りこくってしまったさくらに、もかは掛け声と共に場違いにも楽しげに笑ってぴょんぴょんと飛び始めた。

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読んでいただきありがとうございます😊😊😊

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