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続編

59 わたくしは夢うつつ

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▫︎◇▫︎

Side. クラウディア

 もこもことしたベッドに気だるくて重くて動かない身体を預けたわたくしは、今日も夢うつつの世界で周囲の状況を知ることとなる。もういい加減に、目を開けたいのに、重すぎる瞼はやっぱり閉じたまま開くことはない。

『………クラウディア、休めとは言ったがこんなに休んでいいとは言っていない………!!そろそろ目を覚ましてくれ、クラウディア………!!』

 夢うつつのお父さまというのは、わたくしにとって甘美で過保護で、わたくしのことをとっても可愛がってくれていて、想像以上の存在となってしまっている。
 こんなの、目覚めてしまえば現実を見て叩き落とされるだけだとわかっているのに、わたくしはその都合のいい夢をしてきれなくて、今日も今日とてお父さまの紡ぐ、わたくしへの甘い言葉に耳を傾けてしまう。

『………ディア、いい加減に目を覚さなければ、お花が枯れてしまうわよ。あなたが気を失ってから、お花の元気がないの。早くお世話してあげてちょうだい』

 お義母さまはいつもと変わらなくて、わたくしの求める『お母さま像』がお義母さまにピッタリと当てはまっていることが窺える。義母なのにすごいことだ。わたくしが求める全てに応えているだなんて、わたくしはちょっとだけ感激してしまう。お義母さまは気が利きすぎる人なような気もしていたけれど、本当に気が利きすぎていたようだ。

『………クラウディアお嬢さま、早く目覚めてくださらないと、私の生活から潤いと彩りが消えてしまいます。またぎゃーすぎゃーすと言って、一緒に戯れ合いましょう、クラウディアお嬢さま。お願いです。目覚めてください』

 いつもに比べればとっても塩らしいメアリーだが、言葉は相変わらず辛辣だ。言っていることが、地味にひどい。わたくしはメアリーとぎゃーすぎゃーすと戯れている気は一切ないのだが、なんだか不思議なことだ。それに、ぽたぽたと冷たいものが腕に落ちてきている気がする。
 メアリーが泣くなんてこと絶対にありえない気がするのに、わたくしはまるで彼女が泣くことを求めているかのようだ。妙にリアルな夢うつつは、まだ終わってくれない。

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読んでいただきありがとうございます😊😊😊

昨日の宣言通り、クラウディア視点へと移りました!!
もやもやは続きますが、頑張って書きます!!

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