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続編
58,5 (2) 優秀すぎる俺の愛娘
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ふわっと娘の身体が重たくなって、意識を完璧に失ったのを目視だけで確認した俺は、ずっと不安そうな表情をしている普段は頼りになる2人目の妻エミリアに向けて、これでもかと言うくらいに苦々しい言葉を紡ぐ。
「コレが好みそうな花を、花瓶に飾れるぎりぎりぐらい摘んでコレの部屋に持ってきてくれ。できればコレが安心できるものか、安眠効果のあるものがいい」
「………コレ、ですか………………。いい加減になさってください、愚かな旦那さま」
「………俺の言葉の揚げ足を取るな。それに、俺の言葉使いはいつもとなんら変わらない。それどころか、丁寧にしているくらいだ」
「ぅあ………、」
俺が不服そうに声を紡いでいると、腕の中でクラウディアが自分の喉を掻きむしるようにして触りながら苦鳴を上げた。愛娘を抱き直しながら、俺はエミリアに視線を向ける。
「………クラウディアを運びたいから、残りの言い合いは後にしてくれ」
俺がすたすたとクラウディアを抱き上げたまま歩き始めると、彼女は困ったようでいて、そして疲れ切ったように肩をすくめてつぶやいた。
「………馬鹿な人」
と。
本当に、失礼極まりない奴だ。けれど、こんな彼女だからこそ、心を閉ざして扉に頑丈な鍵をいくつも取り付け、その上鍵を氷漬けにしていた俺たちの心のドアを最も簡単にこじ開けられたのだろう。
まあ、やり方は怪力で叩き壊したかのようにガサツだった上に、心のうちに泥だらけの靴で土足で踏み込まれたわけだが。………正直に言うと、今回も彼女にはクラウディアの対応に期待をしていた。けれど、クラウディアはあれだけ心の内を見せていたエミリアにすらも、完璧に心を閉ざしてしまっていた。それどころか、腹心のマーガレット王女殿下、否、メアリーと呼ぶ方が正しいだろうか。彼女のことさえも自らから遠ざけた。彼女曰く、『うるさいから1週間暇を出す。ここで言うことを聞かないのであれば、もうお前のことはクビだ』とまで言われて脅された挙句の果てに、クラウディアの部屋から見事に追い出されてしまったらしい。
もう乾いた笑いしか出すことができない。
クラウディアが優秀なのは知っていた。だが、彼女が本気を出せば周囲の人間全てが彼女に近づけなくなってしまうとは思いもしていなかった。なんともまあすごいことだ。
*******************
読んでいただきありがとうございます😊😊😊
「コレが好みそうな花を、花瓶に飾れるぎりぎりぐらい摘んでコレの部屋に持ってきてくれ。できればコレが安心できるものか、安眠効果のあるものがいい」
「………コレ、ですか………………。いい加減になさってください、愚かな旦那さま」
「………俺の言葉の揚げ足を取るな。それに、俺の言葉使いはいつもとなんら変わらない。それどころか、丁寧にしているくらいだ」
「ぅあ………、」
俺が不服そうに声を紡いでいると、腕の中でクラウディアが自分の喉を掻きむしるようにして触りながら苦鳴を上げた。愛娘を抱き直しながら、俺はエミリアに視線を向ける。
「………クラウディアを運びたいから、残りの言い合いは後にしてくれ」
俺がすたすたとクラウディアを抱き上げたまま歩き始めると、彼女は困ったようでいて、そして疲れ切ったように肩をすくめてつぶやいた。
「………馬鹿な人」
と。
本当に、失礼極まりない奴だ。けれど、こんな彼女だからこそ、心を閉ざして扉に頑丈な鍵をいくつも取り付け、その上鍵を氷漬けにしていた俺たちの心のドアを最も簡単にこじ開けられたのだろう。
まあ、やり方は怪力で叩き壊したかのようにガサツだった上に、心のうちに泥だらけの靴で土足で踏み込まれたわけだが。………正直に言うと、今回も彼女にはクラウディアの対応に期待をしていた。けれど、クラウディアはあれだけ心の内を見せていたエミリアにすらも、完璧に心を閉ざしてしまっていた。それどころか、腹心のマーガレット王女殿下、否、メアリーと呼ぶ方が正しいだろうか。彼女のことさえも自らから遠ざけた。彼女曰く、『うるさいから1週間暇を出す。ここで言うことを聞かないのであれば、もうお前のことはクビだ』とまで言われて脅された挙句の果てに、クラウディアの部屋から見事に追い出されてしまったらしい。
もう乾いた笑いしか出すことができない。
クラウディアが優秀なのは知っていた。だが、彼女が本気を出せば周囲の人間全てが彼女に近づけなくなってしまうとは思いもしていなかった。なんともまあすごいことだ。
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