《完》義弟と継母をいじめ倒したら溺愛ルートに入りました。何故に?

桐生桜月姫

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続編

29 ライアンは赤くなる

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わたくしはすっとライアンに視線を向けて簡単なポーズをとってみる。

「どうかしら?」

 ライアンは顔を真っ赤にして口をぱくぱくとし始めた。お子ちゃまな義弟くんには、ちょっと刺激の強いコーデだったかしら。わたくしはここでまた意地悪を思いついて、するりと艶めかしくスカートをふれてみた。途端にライアンの顔の赤さが急激に増す。
 うふふっ、可愛い義弟だこと。

 ぽたぽたぽた、

 そう思いながらも、ガターベルトをちらりと見えるように足を動かした次の瞬間、ライアンのお鼻から真っ赤な液体が溢れ出した。鼻血だ。

「ローズバード公爵令嬢、やめてあげなさい。まだ初心な可愛いらしい男の子には刺激が強すぎたみたいだから」
「そうですわね。………先生、ティッシュをご用意くださいませ」
「えぇ、もう渡していますわ」

 言うや否や、ライアンの手にはティッシュペーパーが握らされていた。ティッシュは次々と真っ赤に染まっていく。

「………ローズバード公爵令息の制服も用意しないといけないようね………」
「ご迷惑をおかけしますわ」

 元凶たるわたくしは、悪びれもせずに先生に微笑む。先生は呆れ顔で溜め息をついたが、奥からライアン用の制服も出してきてくださった。

「ディア、………お願いだから、上を羽織ってくれ」
「上?」
「そうですわね。意地悪なお姉さまのお綺麗なお身体を隠す上着がないと、健全でピュアな男子の鼻血は止まりませんわよね」

 先生は意地悪そうに言ってから、ロング丈のコート風の制服の上着を出してきた。この学園は、制服の改造が自由だ。よって、みんな結構制服をいじっているのだが………、保健室の制服は何故こうも全部改造制服しかないのだろうか。ロング丈のジャケットなんて普通の制服ではあり得ないはずだ。

「先生。………趣味が変わってるって言われませんか?」
「言われたことりませんわ。あぁ、でも、よくとってもいいアイデアを持っているって言われますわ」
「そ、そうですか」

 わたくしは思いっきり溜め息をつきたいのを必死に我慢して、上着を羽織ってくるっとターンした。

「どうかしら?ライアン」
「………ディアは何を着ても可愛いよ」
「むうっ、似合ってないの」
「………最高に似合ってるから、これ以上俺を煽らないでくれる?」

 よく分からないことを言ったライアンは、帰るまで一切口を聞いてくれなかった。
 ちなみに、わたくしが着たこの不思議な改造制服は、これから数年間学園内で流行る改造制服となったのだった。

*******************

読んでいただきありがとうございます😊😊😊

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