71 / 160
続編
3 異議申し立て
しおりを挟む
「今年度から新入生代表挨拶を行う者は、王族や高位貴族、性別という垣根を一切考慮しないことになりました。そして、今年度の入試結果の最も良かった生徒がクラウディアさまだったのです」
「馬鹿なことを。うちの後継者たるライアンよりも、わたくしの方が成績が良かったと申しますの?」
わたくしはムカっとしてくちびるを尖らせて先生に文句を言った。ライアンは自分で言ってムカつくが、自分よりも頭が圧倒的に良いのだ。それに、わたくしはお世辞にも魔術、剣術がライアンよりも優れているとは言えない。何故自分が最優秀生徒であるのか納得できないのだ。
「………ライアンさまとクラウディアさまの成績は、全教科満点という異常なものでした。つまり、お2方とも上限を突破してしまっているのです」
ざわりとした驚きが室内に広がっていくが、わたくしには関係ない。わたくしは目立つこととりわけ面倒くさい分類のことを嫌うのだ。わたくしも確かに主席入学は嬉しい。努力が認められることは何よりも尊いことだ。けれど、同じ点ならばライアンが挨拶をしたって良いはずだ。わたくしは先生に反抗的な視線を向ける。
「なら、」
「ですから、クラウディアさまに新入生代表挨拶をお願いするのです。先程申し上げました通り、この学園は今年度から男女平等を謳うのですから」
「………だから、今まで挨拶の資格がないに等しかった女子に挨拶の資格を与えると」
つんと見下すような視線に傲慢な態度をとっても、先生は文句をいうどころか顔色すらも変えない。わたくしが公爵家の人間と知っていてこの態度をとれるからこそ、彼はこの学園の教師ができているのだということをわたくしは納得してしまった。
「はい」
「はあー、承知したわ。突っかかって悪かったわね」
「いえ、ご納得いただけたようで何よりです。他の生徒の方々からのご質問も受け付けようと思います。質問のある生徒は手をあげなさい」
「では、式典の会場へと移ってもらいます。教師の指示に従い、入場してください」
何やら隣からライアンの心底嬉しそうな気配がする。わたくしはどこで間違ったのだろうか。前途多難な予感しかしない学園生活の初めに、わたくしは彼にエスコートされながら深々とため息を吐くのだった。
▫︎◇▫︎
*******************
読んでいただきありがとうございます😊😊😊
「馬鹿なことを。うちの後継者たるライアンよりも、わたくしの方が成績が良かったと申しますの?」
わたくしはムカっとしてくちびるを尖らせて先生に文句を言った。ライアンは自分で言ってムカつくが、自分よりも頭が圧倒的に良いのだ。それに、わたくしはお世辞にも魔術、剣術がライアンよりも優れているとは言えない。何故自分が最優秀生徒であるのか納得できないのだ。
「………ライアンさまとクラウディアさまの成績は、全教科満点という異常なものでした。つまり、お2方とも上限を突破してしまっているのです」
ざわりとした驚きが室内に広がっていくが、わたくしには関係ない。わたくしは目立つこととりわけ面倒くさい分類のことを嫌うのだ。わたくしも確かに主席入学は嬉しい。努力が認められることは何よりも尊いことだ。けれど、同じ点ならばライアンが挨拶をしたって良いはずだ。わたくしは先生に反抗的な視線を向ける。
「なら、」
「ですから、クラウディアさまに新入生代表挨拶をお願いするのです。先程申し上げました通り、この学園は今年度から男女平等を謳うのですから」
「………だから、今まで挨拶の資格がないに等しかった女子に挨拶の資格を与えると」
つんと見下すような視線に傲慢な態度をとっても、先生は文句をいうどころか顔色すらも変えない。わたくしが公爵家の人間と知っていてこの態度をとれるからこそ、彼はこの学園の教師ができているのだということをわたくしは納得してしまった。
「はい」
「はあー、承知したわ。突っかかって悪かったわね」
「いえ、ご納得いただけたようで何よりです。他の生徒の方々からのご質問も受け付けようと思います。質問のある生徒は手をあげなさい」
「では、式典の会場へと移ってもらいます。教師の指示に従い、入場してください」
何やら隣からライアンの心底嬉しそうな気配がする。わたくしはどこで間違ったのだろうか。前途多難な予感しかしない学園生活の初めに、わたくしは彼にエスコートされながら深々とため息を吐くのだった。
▫︎◇▫︎
*******************
読んでいただきありがとうございます😊😊😊
4
お気に入りに追加
676
あなたにおすすめの小説

【完結】氷の王太子に嫁いだら、毎晩甘やかされすぎて困っています
21時完結
恋愛
王国一の冷血漢と噂される王太子レオナード殿下。
誰に対しても冷たく、感情を見せることがないことから、「氷の王太子」と恐れられている。
そんな彼との政略結婚が決まったのは、公爵家の地味な令嬢リリア。
(殿下は私に興味なんてないはず……)
結婚前はそう思っていたのに――
「リリア、寒くないか?」
「……え?」
「もっとこっちに寄れ。俺の腕の中なら、温かいだろう?」
冷酷なはずの殿下が、新婚初夜から優しすぎる!?
それどころか、毎晩のように甘やかされ、気づけば離してもらえなくなっていた。
「お前の笑顔は俺だけのものだ。他の男に見せるな」
「こんなに可愛いお前を、冷たく扱うわけがないだろう?」
(ちょ、待ってください! 殿下、本当に氷のように冷たい人なんですよね!?)
結婚してみたら、噂とは真逆で、私にだけ甘すぎる旦那様だったようです――!?

継母の品格 〜 行き遅れ令嬢は、辺境伯と愛娘に溺愛される 〜
出口もぐら
恋愛
【短編】巷で流行りの婚約破棄。
令嬢リリーも例外ではなかった。家柄、剣と共に生きる彼女は「女性らしさ」に欠けるという理由から、婚約破棄を突き付けられる。
彼女の手は研鑽の証でもある、肉刺や擦り傷がある。それを隠すため、いつもレースの手袋をしている。別にそれを恥じたこともなければ、婚約破棄を悲しむほど脆弱ではない。
「行き遅れた令嬢」こればかりはどうしようもない、と諦めていた。
しかし、そこへ辺境伯から婚約の申し出が――。その辺境伯には娘がいた。
「分かりましたわ!これは契約結婚!この小さなお姫様を私にお守りするようにと仰せですのね」
少しばかり天然、快活令嬢の継母ライフ。
▼連載版、準備中です。
2025年内には続きから投稿開始します。
■この作品は「小説家になろう」にも投稿しています。
ゲーム序盤に殺されるモブに転生したのに、黒幕と契約結婚することになりました〜ここまで愛が重いのは聞いていない〜
白鳥ましろ@キャラ文芸大賞・奨励賞
恋愛
激甘、重すぎる溺愛ストーリー!
主人公は推理ゲームの序盤に殺される悪徳令嬢シータに転生してしまうが――。
「黒幕の侯爵は悪徳貴族しか狙わないじゃない。つまり、清く正しく生きていれば殺されないでしょ!」
本人は全く気にしていなかった。
そのままシータは、前世知識を駆使しながら令嬢ライフをエンジョイすることを決意。
しかし、主人公を待っていたのは、シータを政略結婚の道具としか考えていない両親と暮らす地獄と呼ぶべき生活だった。
ある日シータは舞踏会にて、黒幕であるセシル侯爵と遭遇。
「一つゲームをしましょう。もし、貴方が勝てばご褒美をあげます」
さらに、その『ご褒美』とは彼と『契約結婚』をすることで――。
多分悪役令嬢ですが、うっかりヒーローを餌付けして執着されています
結城芙由奈@コミカライズ発売中
恋愛
【美味しそう……? こ、これは誰にもあげませんから!】
23歳、ブラック企業で働いている社畜OLの私。この日も帰宅は深夜過ぎ。泥のように眠りに着き、目覚めれば綺羅びやかな部屋にいた。しかも私は意地悪な貴族令嬢のようで使用人たちはビクビクしている。ひょっとして私って……悪役令嬢? テンプレ通りなら、将来破滅してしまうかも!
そこで、細くても長く生きるために、目立たず空気のように生きようと決めた。それなのに、ひょんな出来事からヒーロー? に執着される羽目に……。
お願いですから、私に構わないで下さい!
※ 他サイトでも投稿中

【完結】地味令嬢を捨てた婚約者、なぜか国王陛下に執着されて困ります
21時完結
恋愛
「お前とは釣り合わない。婚約は破棄させてもらう」
長年の婚約者であった伯爵令息に、社交界の華と称される美しい令嬢の前でそう告げられたリディア。
控えめで地味な自分と比べれば、そちらのほうがふさわしいのかもしれない。
――いいわ、だったら私は自由になるだけよ。
そうして婚約破棄を受け入れ、ひっそりと過ごそうと決めたのに……なぜか冷酷と名高い国王陛下が執着してきて!?
「やっと自由になったんだろう? ならば、俺の隣を選べ」
「えっ、陛下!? いえ、あの、私はそんな大それた立場には——」
「俺のものになればいい。お前以外に興味はない」
国の頂点に立つ冷酷な王が、なぜか地味なはずの私にだけ甘すぎる……!?
逃げようとしても、強引に腕を引かれ、離してくれない。
「お前を手に入れるためなら、何だってしよう」
これは、婚約破棄をきっかけに、なぜか国王陛下に異常なほど執着されてしまった令嬢の、予想外の溺愛ラブストーリー。

転生先は男女比50:1の世界!?
4036(シクミロ)
恋愛
男女比50:1の世界に転生した少女。
「まさか、男女比がおかしな世界とは・・・」
デブで自己中心的な女性が多い世界で、ひとり異質な少女は・・
どうなる!?学園生活!!

【完結】勤労令嬢、街へ行く〜令嬢なのに下働きさせられていた私を養女にしてくれた侯爵様が溺愛してくれるので、国いちばんのレディを目指します〜
鈴木 桜
恋愛
貧乏男爵の妾の子である8歳のジリアンは、使用人ゼロの家で勤労の日々を送っていた。
誰よりも早く起きて畑を耕し、家族の食事を準備し、屋敷を隅々まで掃除し……。
幸いジリアンは【魔法】が使えたので、一人でも仕事をこなすことができていた。
ある夏の日、彼女の運命を大きく変える出来事が起こる。
一人の客人をもてなしたのだ。
その客人は戦争の英雄クリフォード・マクリーン侯爵の使いであり、ジリアンが【魔法の天才】であることに気づくのだった。
【魔法】が『武器』ではなく『生活』のために使われるようになる時代の転換期に、ジリアンは戦争の英雄の養女として迎えられることになる。
彼女は「働かせてください」と訴え続けた。そうしなければ、追い出されると思ったから。
そんな彼女に、周囲の大人たちは目一杯の愛情を注ぎ続けた。
そして、ジリアンは少しずつ子供らしさを取り戻していく。
やがてジリアンは17歳に成長し、新しく設立された王立魔法学院に入学することに。
ところが、マクリーン侯爵は渋い顔で、
「男子生徒と目を合わせるな。微笑みかけるな」と言うのだった。
学院には幼馴染の謎の少年アレンや、かつてジリアンをこき使っていた腹違いの姉もいて──。
☆第2部完結しました☆

求職令嬢は恋愛禁止な竜騎士団に、子竜守メイドとして採用されました。
待鳥園子
恋愛
グレンジャー伯爵令嬢ウェンディは父が友人に裏切られ、社交界デビューを目前にして無一文になってしまった。
父は異国へと一人出稼ぎに行ってしまい、行く宛てのない姉を心配する弟を安心させるために、以前邸で働いていた竜騎士を頼ることに。
彼が働くアレイスター竜騎士団は『恋愛禁止』という厳格な規則があり、そのため若い女性は働いていない。しかし、ウェンディは竜力を持つ貴族の血を引く女性にしかなれないという『子竜守』として特別に採用されることになり……。
子竜守として働くことになった没落貴族令嬢が、不器用だけどとても優しい団長と恋愛禁止な竜騎士団で働くために秘密の契約結婚をすることなってしまう、ほのぼの子竜育てありな可愛い恋物語。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる