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44 お父さまの誠意
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永遠にも感じられる長い長い時間の静寂が訪れた。誰もが息を潜めてお父さまの声を待っている。わたくしは自分が失敗したことに気がついていた。お父さまをお尻に敷いているお義母さまがいることに胡座をかいて、絶対に言ってはいけない要求をした。当然の結末だ。
「ーーーーーいいだろう。………クロエについて話してやる」
だから、わたくしは驚いた。お父さまの解答に。絶対に言わないと思っていた言葉がお父さまのお口から出てきたのだ。びっくりして当然だろう。わたくしはライアンにつけてもらったネックレスを握って微笑みを浮かべた。今日は本当に信じられないことばかりが起こる不可思議な日だ。夢ならば目覚めなければいいなと思う。だって信じられないほどに、舞い上がるほど幸せで、泣きたくなるほど嬉しいから。
「ありがとう存じます。お父さま」
「あぁ、………肖像画の部屋に行こう」
お父さまは自分勝手だ。自分の事情だけで他人のことを全くもって考えてくれない。今日だって、わたくしたちに予定があったらどうするつもりだったのだろうか。多分、自分を優先させろと言って終了、もしくは拗ねてもうやってくれなくなるの2択だ。
わたくしたちはお父さまに続いて肖像画室に向かった。この部屋には歴代の公爵家の人間とわたくしたち今代の公爵家の人間の肖像画が収められている。
「わあぁ………、あら?この鎧の鋳造、とっても丁寧なお仕事ね。あら、こっちの剣も。切れ味が良さそうだわぁ!!」
「ここは防虫、あれは防犯、これは色素保護、あっちは劣化保護、こっちは………映像?すごい、こんなにレベルの魔法陣がごろごろ転がっているなんて………!!」
初めてこのお部屋に来たお義母さまとライアンのはしゃいだ声に、わたくしは目を細めた。本当にとっても楽しそうだ。ま、まあ、お義母さまとライアンの楽しみ方はちょーっとだけ間違っているが………。普通は絵を褒めるのよ。絵を!!
「………すまなかった、ディア。これが俺なりの精一杯の誠意だ」
隣に佇んでいたお父さまの言葉に、わたくしは目を見開いた。
「っ、いえ、………………」
たくさん言いたいことがあったのにこれ以上何も言えなかった。頭の中が真っ白になってただただ嬉しかった。それもこれも全部あの天敵ライアンの母親、お義母さまのお陰だろう。今度お礼をしなくてはならないと思った。
*******************
読んでいただきありがとうございます😊😊😊
「ーーーーーいいだろう。………クロエについて話してやる」
だから、わたくしは驚いた。お父さまの解答に。絶対に言わないと思っていた言葉がお父さまのお口から出てきたのだ。びっくりして当然だろう。わたくしはライアンにつけてもらったネックレスを握って微笑みを浮かべた。今日は本当に信じられないことばかりが起こる不可思議な日だ。夢ならば目覚めなければいいなと思う。だって信じられないほどに、舞い上がるほど幸せで、泣きたくなるほど嬉しいから。
「ありがとう存じます。お父さま」
「あぁ、………肖像画の部屋に行こう」
お父さまは自分勝手だ。自分の事情だけで他人のことを全くもって考えてくれない。今日だって、わたくしたちに予定があったらどうするつもりだったのだろうか。多分、自分を優先させろと言って終了、もしくは拗ねてもうやってくれなくなるの2択だ。
わたくしたちはお父さまに続いて肖像画室に向かった。この部屋には歴代の公爵家の人間とわたくしたち今代の公爵家の人間の肖像画が収められている。
「わあぁ………、あら?この鎧の鋳造、とっても丁寧なお仕事ね。あら、こっちの剣も。切れ味が良さそうだわぁ!!」
「ここは防虫、あれは防犯、これは色素保護、あっちは劣化保護、こっちは………映像?すごい、こんなにレベルの魔法陣がごろごろ転がっているなんて………!!」
初めてこのお部屋に来たお義母さまとライアンのはしゃいだ声に、わたくしは目を細めた。本当にとっても楽しそうだ。ま、まあ、お義母さまとライアンの楽しみ方はちょーっとだけ間違っているが………。普通は絵を褒めるのよ。絵を!!
「………すまなかった、ディア。これが俺なりの精一杯の誠意だ」
隣に佇んでいたお父さまの言葉に、わたくしは目を見開いた。
「っ、いえ、………………」
たくさん言いたいことがあったのにこれ以上何も言えなかった。頭の中が真っ白になってただただ嬉しかった。それもこれも全部あの天敵ライアンの母親、お義母さまのお陰だろう。今度お礼をしなくてはならないと思った。
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