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41 震える手

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 ライアンはわたくしにネックレスを手渡され、恐る恐る震える手でネックレスを持ち、わたくしの前に立った。不愉快極まりないほどに震えているが、もはやわたくしは慈悲の微笑みを浮かべ微笑ましく眺めてしまっている。だって、本当に可愛らしいんだもの。羞恥に震えているのか真っ赤になったお耳もお顔も、とーっても愛らしいのだもの。

「ほら、はやく」

 だから意地悪をする。
 困った顔をもっと見たくて、ついつい意地悪を言ってしまう。あ、これってもしかしなくてもいじめ大作戦になるのでは?気づいた時にはもういじめ大作戦を決行しているとは、わたくしにいじめというのが根付いてきているのかもしれない。嬉しい限りだ。

 シャラン、

「っっっっっっっ、で、できた」
「ん、ありがとう」

 首に冷たいものが当たったと思ったら、ライアンは直ぐにわたくしにネックレスをつけた。彼は見た目通り繊細で手先が器用だ。大雑把なわたくしとは大違い。

「じゃあ、お散歩………は遅くなってしまったから、朝食にしましょう」

 わたくしはライアンの手を引いて歩いた。メイドに質問すれば、お義母さまの居場所はすぐに割り出せた。どうやらいまだにお父さまと揉めているらしい。お父さまと正面切って堂々としたまま平然と殺り合えるのは、ご立派?なお義母さまくらいだろう。
 お父さまの執務室からは怒鳴り声が飛び交っていた。お父さまの従者は頭を抱え、お義母さまの侍女はこの世の終わりのようなそんな表情をしている。あぁ、これ、わたくしは止めるのが正解かしら?

「………お父さま、お義母さま、朝食のお時間です。食事が覚める前に食べましょう」

 ドスの効いた満面の笑みでの言葉に、お父さまは目を見開き、お義母さまは怯えたようにびくりと身体を揺らした。うん、助けてもらったのにその態度は流石にないと思うな。わたくしも一応傷つくのよ?

「ディアの言う通り、今は一旦停戦。食事にしましょう。料理長に悪いですよ」
「そうね、行きましょう。ライアン」
「そうだな」

 妙に息ぴったりなわたくしたちは、食堂に向かって歩き始めた。家族初の全員での朝食だ。嫌な経験にならなければいいなと願いながら、わたくしはライアンと並んで歩みを進めた。
 初めての経験にむずむずとしたものを感じたのは、多分、おそらく、気のせいだ。

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読んでいただきありがとうございます😊😊😊

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