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36 第11の作戦決行!!

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「………………ごめんなさい」
「え?」

 ぽつりと呟くと、お義母さまが目を見開いた。わたくしにも、謝罪くらいはできる。本当に失礼な人だ。

「心配をかけてしまったようだから」
「あぁ、そのことなら構わないわ。それに、………あなたの体調不良は私達のせいでもあるもの。申し訳ないのは私の方よ。大人であるのにも関わらず、子供であるあなたの環境の変化に気を配ってあげられず、挙げ句の果てに高熱で倒れるまで全くもって気が付かなかったなんて。………ファン失格ね」
「ふぁん?」
「ん?あ!!えっと、そのっ、わ、忘れてちょうだい!!」

 よく分からない単語の意味が知りたくて仕方がありませんが、これだけ慌てているのだったらおそらくはどんなに問い詰めても教えてはもらえないだろう。しばらくしたら、教えてもらおう。

「ディア、って母上も来てたんだ」
「えぇ、そうよ。なんか悪い?」
「いえ、………ディアこれ果実水。あと、昨日のお礼に新しいティッシュ」
「………きれい」

 ライアンが持ってきてくれたティッシュは、すみれの柄が入ったティッシュだった。いつも真っ白ではなくて淡いピンクのティッシュを使っていたが、ここまで愛らしいものは生まれて初めてだった。

「………………ありがとう、ライアン」

 わたくしは今までで1番上手に笑えていたことだろう。だって、心の底からとっても嬉しかったのだもの。わたくしはぎゅっとティッシュを抱きしめた。汗ばんだ肌で握るのはいかがなものかということには抱きしめてから気がついたが、それもこれもどうでもよかった。わたくしにとって、今が1番大切なのだ。

「けほっ、けほ、けほ、………お薬を飲んで休むわ。本当にありがとう、ライアン。そして、申し訳ありません、お義母さま」
「どういたしまして」
「………謝らないで。悪いのは私よ」

 お義母さまは苦々しそうに呟いて出ていった。わたくしは次の瞬間、新たないじめを思いつき、ライアンに向けて微笑みを浮かべた。第11の作戦、『お勉強をわたくしに教えなさい!!』を決行だ。

「ーーー今日の分の授業、わたくしに教えに来てちょうだい。わたくし、1日でもお勉強を疎かにしたくないの」
「………分かった。しっかりと学んでくる」

 ライアンは、わたくしが意地悪で言っていることに気がつかない。ムカつくが、素直でいい子すぎる義弟だ。

*******************

読んでいただきありがとうございます😊😊😊

新作です。
題は、

『小さな別れは、淡く儚い恋を呼ぶ』

です。
紹介文は、

 久遠心菜は惰性的に学校生活を送っていた。
 けれど、中学3年生の秋、初恋を自覚して学校生活に晴天が訪れる。
 初恋の男の子は不器用だけれど優しい子で、面倒くさがりでコミュニケーションが苦手な心菜には憧れの存在だった。3年生の終わりが近づき、好きな男の子と高校が絶対に分かれてしまう心菜は、初恋の男の子、立花颯に卒業式で告白することを決意する。
 けれど、颯は卒業式を目前に唐突に引っ越してしまうことに。
 迷いに迷いながらも、幼馴染の高梨優奈に背中を押された心菜の告白は颯に届くのか………!?

です。
是非是非読んで見てください。
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