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25 第8・第9の作戦決行!

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 仕立て屋と話していると、ライアンがもじもじしながらやってきた。

「あら、可愛いですわね」
「………もう性別変更にしちゃいます?」

 わたくしはライアンの元にてくてくと歩いて行き、ソファーまで彼をエスコートした。

「えっと、あの義姉上?」
「髪を結うから動かないでくださいまし」
「え、えぇ?」

 そう、ライアンの髪は肩上で切り揃えられたサラッサラストレートなのだ。本当に朝から毎度ボンバーなわたくしからしたら、羨ましいことこの上ない髪質だ。
 わたくしはサラッサラな髪をスルスルと編み込み、て直にあったドレスと同じ生地のりぼんで縛った。うん、可愛い。というか、クールヴューティーだ。

「わたくしより似合いっていかがなものね」
「えっと、その、ごめんなさい?」
「謝られるともっと惨めかしら。今日1日は楽しくそれで過ごすことね」
「え、えぇー………」

 ライアンは無表情のまま困り果てたような表情を作った。

「今日1日で女性のドレスの大変さを身に染みて学ぶといいですわ」

 第8の作戦、『妙ににあったドレス姿で周りに笑われろ大作戦!!』と、第9の作戦、『重たいドレスに耐えて見せろ大作戦!!』を決行させることにしたわたくしは、意地の悪い微笑みを浮かべた。男どもは血が滲むような世の女性の美しさの秘訣を、身をもって学ぶべきね!!

「お義母さま、お義母さまはこの20着を仕立てますわ。そのドレスも今のウエストよりも5センチ大きく作ってありますから、その貧相な身体つきから2週間以内におさらばくださいまし。さもなくば、コッテリご飯地獄に致しますわよ」
「が、頑張るわ」
「5センチくらい増えなければ、健康を害してしまいますから、太ることには我慢くださいましね」

 わたくしはお義母さまから目線を外し、仕立て屋の散らかしたもののお片付けをしながら言った。お義母さまには体調を崩されると面倒臭いのだ。またわたくしの怪談話が増えてしまう。あ、不名誉なお名前もだったわね。

「ともかく、ライアンもさっさと身長を伸ばしなさい!男の子なのに、年齢不相応に小さいわたくしより小さくてはいけませんわよ!?」

 わたくしはライアンに微笑みかけると、仕立て屋にライアンとお義母さまのお洋服を最優先で仕立てるように耳打ちした。お金を少し弾む必要が出てくるが、仕方があるまい。それもこれも、2人のお洋服を事前に用意しなかったダメな父親のせいだ。他人に優しく、身内に厳しい、ね。

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読んでいただきありがとうございます😊😊😊

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