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16 あたたかな気遣い

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 Side. クラウディア

 シーツに包まって丸くなっていたら、気がつけば、辺りはすっかり暗くなっていた。わたくしのお部屋が北向きで火が届かなくなるのが早いこともあり、もうお部屋の中は闇に包まれてしまっている。

(《『火焰ブレイズ』》)

 無詠唱魔法を使用し、お部屋の燭台全てに明かりを灯した。わたくしは魔力が強すぎるが故に魔道具の使用ができない。魔道具の核たる魔石がわたくしの魔力に耐えられないのだ。だから、わたくしのお部屋の家具は全てアンティーク調度で固められている。
 わたくしだってみんなと同じような普通の、魔道具を使った生活を送りたい。わたくしだって、わたくしだってみんなと………………。

 コンコンコン!

「失礼し、………え?開かない!?」

 ガンガン!ガチャガチャ!!

「ーーお嬢さま、開けてください!お嬢さまっ!!お嬢さまっ!!」

 アンティーク調度の鍵はなかなか開かない。いくら押しても引いても、わたくしが持っている鍵と室内にある予備の鍵からしか開かないのだ。開けられないのだ。

「………1人にして、メアリー」
(今は誰とも関わりたくない)
「明日にはちゃんと元通りにしておくから」
(だから、1人にして)

 わたくしは明日には元に戻ってライアンをいじめないといけない。今のわたくしはお義母さまやライアンに情が移りつつある。だから、さっさといじめなければならない。そして、追い出さなければならない。

「明日は第5の作戦を決行しないと」

 黒くて大きな虫は明日届くとのことだから、今日の謝罪と称して渡したら良いだろう。あの虫は男の子に人気だそうし。『虫が苦手だなんて軟弱ね』って言えばもっと心を抉れるかしら?

「………第6の作戦、思いついちゃった。お洋服もまともに持っていないあの人たちに煌びやかなお洋服をたっくさん着せなくちゃ」

 わたくしはぼーっとしながら、真っ白のシーツでお化けさんをした。

 フォン!!

「!!
 ………ケーキ?」

 唯一部屋にあるわたくしが使えない緊急連絡用の魔道具の上に、唐突にケーキと手紙が現れた。

『天使な
 クラウディアお嬢さまへ
 新鮮な苺が手に入ったそうで、料理長が苺のショートケーキを作ってくださいました。食欲がないにしても是非とも夕食代わりに食べてください。お皿は明日の朝回収しますので、心配は要りません。
 お願いです。何かは口にしてください。
 何もできなくて虚しくて悲しい侍女
 メアリーより』

「ふふっ、緊急連絡用の魔道具を使ってまで送るものじゃないわ」

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読んでいただきありがとうございます😊😊😊

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