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10 みんなみんな大っ嫌い

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 結局、わたくしは意地悪が成功できたか否か分からないまま、自室に戻ることになってしまった。

「ほら、言ったでしょう?失敗するって」
「………失敗はしていないはずよ」

 わたくしは作戦最中のお義母さまやライアンの様子ではなく、散歩帰りのライアンの様子を思い出した。結局わたくしもぐっさりと傷つくことになってしまったが、十分に傷をつけられただろう。
 左胸がズキリと痛んだが、わたくしはその痛みを無視してベッドにダイブした。

「………今日はもう終わるわ。ずっと寝る」
「え?作戦、考えないのですか?」
「………………紙には残さない。頭の中でだけで構想を練るからしばらく話しかけないで」

 わたくしはふて寝をした。ライアンが来たせいで、昨日から7日後まで家庭教師が来てくれないのだ。課題も渡された初日に全部終わってしまった。

「あ!………思いついた」
「え?早くないですか?」
「ふふふ、これなら………!!」
「また碌でもないこと考えているんじゃないですよね?」

 メアリーがじとっとした目でこちらを見てくる。本当に失礼な侍女だ。
 わたくしはただ新たな公爵家の一員に相応の教育を受けてもらおうと思っているだけなのに。

「わたくし、お2人に公爵家の一員としての教養を身につけてもらおうと思いましたの」
「あぁ、それならもう手配されていますよ。ライアンお坊っちゃまに至ってはお嬢さまと一緒に授業を受けることになっています」
「………お父さまの手配?」

 メアリーはこくんと頷いた。わたくしには何も話が来ていない。お父さまは勝手な人だ。わたくしの気持ちを知らずに勝手に行動をしている。お義母さまを連れてきたのもそうだ。わたくしには当日までなんの話もなかった。

『今日、お前の新しい母親と弟が来る。1週間全ての授業を停止するから、仲良くするように』

 たったこれだけ告げられ、そしてお義母さまとライアンに会わされた。
 わたくしが微笑みながら怒るのも当然だ。

「………わたくしはみんなが嫌いよ。だって、みんな自分勝手だもの。わたくしも含めて、ね」
「クラウディアお嬢さま………」
「………………今日、昼からライアンの元に向かうわ。先触れを」

 頭を下げて去って行くメアリーを一瞥したわたくしは、またふかふかの寝台に沈み込んで目を閉じた。

「………みんなみんな大っ嫌い」

 昼から第4の作戦を決行することにしたわたくしは、小さく呟いて眠りに落ちた。

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読んでいただきありがとうございます😊😊😊

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