もふもふ好きのお姫様

桐生桜月姫

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処置

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 私は今まで目を逸らし続けていた事実を目の当たりにして、ぎゅっとくちびるを結びました。そして、連絡用の風魔法を使います。

「『レムが、手引きしていました。』」

 たった一言。けれど、アインスお兄様は私の言いたいことを理解して、魔法の向こう側で息を飲みました。

「『………今、そっちに行く。』」

 アイリスお兄様のお返事にホッと息をついて、私は魔法を紡ぎ始めました。簡単な呪いのみに侵されている彼女の身体を癒すことは簡単で、けれど、周囲の人間の心の傷を癒すことは難しい。私は、自分の心がじくじくと痛むのを感じながら、すっと瞳を閉じました。
 目を閉じれば、彼女の笑みが今も思い浮かびます。無表情ながらに明るい笑み、無邪気な笑み。けれど、彼女はいつも苦しみを抱えていました。どんなに笑っていようとも、レナを失ってからは、どこか笑っていなかったのです。苦しんでいたのです。

「あなたは、何と戦っていたのですか?ずっとずっと、何と戦っていたのですか?」

 私の苦しみ紛れの言葉からは、深い後悔が滲み出ています。
 もう少しで、全てがうまく行くようになるはずでした。お父様が目指していたすべての種族が手と手を取り合う国へと変貌を遂げて、ケイがいないながらにも、充実した日々を送れるはずでした。睡眠時間もないくらいに忙しくて、それでも幸せな日々を送れるはずだったのです。
 ですが、それは雲となって遠いところへと飛んでいってしまったようです。
 ずっと裏切っていたレムに、そんな裏切り者がいた国へとたくさんの種族の王族がやってきてしまう。なんとも頭が痛くて、私はやってきたばかりのアインスお兄様に身体を預けて、絶望に染まったモノクロ色の世界を見つめます。

~~~すべての歯車が狂い始めた時、もふもふ好きのお姫様は、全ての誠を知るために動き始める~~~

****************************

読んでいただきありがとうございます😊😊😊
布石回収!!本格的にスタートです!!

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