もふもふ好きのお姫様

獣人さんと

「けもの落ち？」

　私は意味のわからない言葉に、思わず首を傾げます。不覚にも、ルグニカ王国では獣人に関する書類はもちろんのこと、多種族に関する書類が圧倒的に少ないと言うのが現状です。どうにかこうにか手に入れていましたが、それもこれも雀の涙程度。私の獣人さんに関する情報は、とっても少ないのです。

「私、ルグニカ王国出身だから、獣人さんにあんまり詳しくないの。」

　癪ですが、無知を明かした私に対して、案の定獣人さんは嫌そうな顔をします。だって人間至上主義国家出身だと明かしたのですもの。獣人さんを下に見ていると言ったも同然です。

「へー、なのになら何故俺と平気そうに関わっている。あの国は気本的に人間至上主義だろうが。」

「それは私の幼馴染が可愛い可愛い獣人さんだから。いっつも私のそばにいるとーってもいい子。

「………その獣人はどんな見た目だ？」

　彼の問いかけに、私は可愛い可愛い最高に愛らしいケイのことを思い出します。

「私の幼馴染の獣人さんは猫さんよ。とっても気高くて綺麗で愛らしい黒猫さん。私に撫で撫でされるのが大好きで、いっつもふわふわの毛で擦り寄ってくるの。お耳を触るとふにゃってなって『もっと』って言いながら甘えてくるのがとっても愛らしいの！！尻尾をお洋服の中に入れてくるのはくすぐったいけれど、私はいつも怒れないのよね………。だって愛らしいんだもの。」

　いつのまにかうちの子自慢へと移行していたをへと、獣人さんから痛いぐらいに唖然とした視線が向けられます。えっと………、私、何かやらかしたんでしょうか。

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