もふもふ好きのお姫様

キャラの練り直し

「ん？アイン、お前シャルに何吹き込んだんだ？」

　怪訝な顔をしたアルノルトお兄様に向けて、アインスお兄様は楽しそうに笑いながら説明をします。なんだか、困惑しているアルノルトお兄様が可愛いです。

「これから僕は商家の次男のアイン。そしてシャルロッテは長女のロッテ。アルノルト兄上には、商家の長男のアルになってもらおうって話になったんだ。向こうライト王国に向かうとしても、僕らは王家の人間が寄越した遣いとしてだし、王族であることは明かさない方が賢明だと思ったんだよね。だから、僕らはこれからただの一般庶民の一向だ。」

「う～む、さっぱり分からん。」

　腹芸が苦手なアルノルトお兄様が、困ったように唸りながら言います。私はくすくすと笑って、揺れる馬車の中でケイに寄り添いながら口を開きます。

「簡単なお話よ。ただ名前と立場を変えるだけの、演劇ゲーム。アルお兄様は普通に今まで通り過ごせばいいだけよ。ただし、お名前を変えて、ね。」

　人差し指をお口の前に持ってきてウインクをすると、アルノルトお兄様がケイの方を向きました。

「ケイはどうすればいい？」

「ケイは私たちの幼馴染で、同じく商家の息子でケイトというお名前で過ごしてもらおうと思っているわ。」

「はあー、了解した。アインスとシャルロッテが満足しているのならば、俺に文句はない。好きにすればいい。」

　優しいアルノルトお兄様に、私とアインスお兄様はにっこり笑いました。王女としての仮面を脱いだ私は、ちょっとだけ、自由になった気がしてきらきらと輝く窓の外を眺めました。

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